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日本を蝕む「極論」の正体 (新潮新書)
極論を目にすることが増えた。
政界、教育現場、論壇、職場、メディア……
あらゆる場所で左右も保革も関係なく、ちょっと冷静になれば明らかに変だとわかることを声高に主張し、他人を糾弾する「極端な人たち」が目立つ。
それはかつての連合赤軍やオウム真理教を想起させる存在だ。
「バブル賛歌」「TPP亡国論」「地方消滅」「憲法九条無殺生論」等々、はびこる極論の奇怪さを嗤い、その背景を考察する
序 章 電子時代の囚人たち
極論に群がる人々/閉鎖的な集団が極論を生む/世界革命という幻想/
ハルマゲドンという極論/殺しあう市民/電子時代の疑似監獄
第1章 「教育現場」の極論――組体操と二分の一成人式
閉ざされた教育空間/藤子不二雄Aが描いた学校の暴力性/組体操の重圧/
マスゲームを望むのは誰か/「二分の一成人式」という奇習/『サザエさん』的世界観/
第三者の不在が非常識を生む/大麻を自慢する教師/豹変する問題教師たち/
いじめ問題の解決法
第2章 「日本共産党」の極論――内部留保は本当に存在するのか
謎の政党/極論の訴求力/「九条の会」を訪ねて/
憲法九条無殺生論/忘れられた共産党の良心/輸出戻り税のウソ/
架空の税/内部留保批判のウソ/バードウォッチングで逮捕という極論/
『ドカベン』発禁説/身内のための論理
第3章 「TPP亡国論」という極論――トランプがすべてを吹き飛ばした
右翼も左翼もTPP嫌い/経済右翼の主張/ネット右翼の支持/
韓国は中国の属国ではないという事実/韓国は救うべき対象か/あいりん地区の光景/
『TPP亡国論』のヒット/アメリカの陰謀のはずが……/異形の「TPP反対決起集会/
会員制の論壇/トランプ大統領が黙らせた/ネット左翼・三宅洋平の主張/
三宅選対で観た光景
第4章 「バブル賛歌」という極論――リアル半沢たちの悪しきノスタルジー
豪華絢爛な時代/リアル半沢直樹たちの昔話/バブル賛歌への懐疑/
バブル期の食卓/貧しい日本の貧しい住宅/憲法違反の住宅水準/
蓮舫の優雅なバブル生活/マイカー保有率は上昇し続けている/増加する海外旅行/
マスコミ人種の勘違い/競争なき時代の特権階級/悪質なノスタルジー/
貧困はいつもある
第5章 「地方消滅」という極論――夕張はずっと衰えていた
一〇年で二五〇万人の減少/秋田県の消滅可能性/「意識高い系」のアピール材料/
人口減少は日本だけではない/労働力としての子供/フランスの成功もやはり移民が支えている/
人口減少は昔からの問題/誰も誘拐されていない/ほんとうの夕張の姿を知っていますか/
夕張は日本の未来図ではない/廃れる地方は廃れるべき
第6章 「プレミアムフライデー」という極論――土日休みは常識ではない
土日も祝日も関係ない生活/半ドンの復活/本気で賛同しているのか/
空回りの根本原因/実施率二・八パーセント/インパクを憶えていますか/
官の無力と民の実力
第7章 「日本会議黒幕説」という極論――原稿料はクオカード
右派は儲かるのか/日本会議という黒幕/私の靖国参拝/
白髪の会議/光り輝く頭皮/フィクサーKからのクオカード/
「保守派」の台所事情/陰謀論に誘導する本/開かれた日本会議
第8章 「男系・女系」という極論――小林よしのりとゆかいな仲間たち
『戦争論』の衝撃/小林のスタンス/小林への罵詈雑言/
男系と女系で対立/理屈の上では男系だが/生前退位のご意向/
退位に反対する人たち/「保守論壇」の論理/小林の極論/
筆者も登場/民進党の裏切り/「ゴー宣」の論理/
不倫は罪か
終 章 二一世紀のインパール
七三年後のインパール/感覚を重視せよ/だから私は嫌われる/
冷笑の価値
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2018/1/16
- ISBN-104106107511
- ISBN-13978-4106107511
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商品の説明
著者について
登録情報
- 出版社 : 新潮社
- 発売日 : 2018/1/16
- 言語 : 日本語
- 本の長さ : 224ページ
- ISBN-10 : 4106107511
- ISBN-13 : 978-4106107511
- 商品の重量 : 160 g
- Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 846,302位 (本の売れ筋ランキングを見る)
- 新潮新書 - 784位
- 社会・政治 (本) - 76,869位
- ノンフィクション (本) - 124,827位
- カスタマーレビュー:
著者について

古谷経衡(ふるやつねひら)
文筆家。1982年北海道札幌市生まれ。立命館大学文学部(史学科―日本史学)卒。社)日本ペンクラブ正会員。特非)江東映像文化振興事業団理事長。
時事問題、政治、ネット右翼、アニメ評論など多岐の評論活動を行う。テレビコメンテーターの他、ラジオMCなどメディア媒体でも出演多数。株)オフィス・トゥ・ワン所属。
主な著書:『意識高い系の研究』(文藝春秋)、『日本を蝕む極論の正体』『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『道徳自警団が日本を滅ぼす』(イースト・プレス)、『ネット右翼の終わり』(晶文社)、『女政治家の通信簿』『草食系のための対米自立論』(小学館)、長編小説『愛国奴』(駒草出版)ばど多数。
古谷経衡公式サイトhttp://www.furuyatsunehira.com/
カスタマーレビュー
日本からのトップレビュー
- 星5つ中5つ
極論があふれる世界を進むための手引き
2020年11月1日に日本でレビュー済み日本の保守論壇事情に通じる筆者だけに、日本会議や男系•女系天皇を扱った章はたいへん充実しています。
日本共産党への考察も鋭い。日本会議や共産党に抱いていた「得体のしれないモヤモヤとした感じ」がすこし晴れて、見通しがよくなりました。あと古谷氏の著作に共通していますが、ものごとを斜めにみるような少々ひねくれた言い回しが良いスパイスになっていて、読みものとして楽しめます。
「極論は目立つ。好事家には受けが良い。しかし広く浸潤しない。大衆の常識がそれを許さないからだ」(P38)
とあるように、本来極論は大衆の良心によって淘汰され、広まっていきません。。しかし「閉鎖的空間にいると、人間の感覚は徐々にではあるが確実に狂っていく」のです。ネットの閉鎖された空間ではマイノリティの意見が先鋭化し、あたかも大多数の意見かのように歪められる。私たちが自明としていること、「この界隈では〇〇は言わずもがなだから、あえて言わなくていいよね」と片付けているものごとには、極論が潜んでいるかもしれません。
「この集団で共有されているこの考え方はおかしい」と思ったら、その感覚を大切に大切にしていきたいと思いました。
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読む価値があります
2018年1月28日に日本でレビュー済み「意識高い系」や「道徳自警団」といった、小振りの仮想敵
への攻撃を続けていた著者が、今回は「外部から監視や点検
がなく、競争のない閉鎖的な空間」が産み出す極論を、纏め
て批判して行きます。
序章では、この閉鎖集団事象として、中核派、オウム真理教
の事例が挙げられています。
納得の滑り出しです。
第1章では、教育現場の極論として、学校自体の構造的な暴
力性、組体操、二分の一成人式、著者の中学校時代の教師達
が挙げられます。
そこから話は、いじめ問題や冤罪問題へと展開されて行きま
す。
1970年代の小中学生であった身としては、当時の自身の組
体操批判を思い出しました。
第2章では、日本共産党が取り上げられます。
憲法九条無殺生論を批判します。
輸出戻し税には驚かされましたが、内部留保批判は共産党以
外に、政権を含めて唱えられていたような気がしますが。
『ドカベン』発禁説も、みんなの党による発信のようですし。
全体的には、紋切り型の共産党批判に感じられました。
ポイントは支持者確保のために極論を意図的に発信している
という見解にあります。
第3章では、「TPP亡国論」を叩きます。
首魁である中野剛志氏を始めとして、三橋貴明氏、日本共産
党、三宅洋平氏といった、右派、左派纏めて批判しています。
米国陰謀説のおかしさが、トランプ大統領の誕生で立証され
たとする論理展開には無理を感じました。
第4章では、「バブル賛歌」を批判します。
ここまでの第1~3章は低調でしたが、これ以降は最後まで好
調ですので、安心して読み進めて下さい。
リアル半沢世代の身としては、バブルを礼賛し、返す刀で若
者批判をしているとは、思いもしませんでした。
競争なき時代の特権階級とは、言い得て妙でした。
第5章では、「地方消滅」が取り上げられます。
この章が本書の一つ目の山でしょう。
著者が小学生時代に見た、本当の夕張の姿には、当然の帰結
としての地方消滅という、この章の主旨を裏付ける凄みがあ
りました。
第6章では、「プレムアムフライデー」を取り上げます。
「官」の政策が、閉鎖集団事象の典型であることが示されま
す。
第7章では、「日本会議黒幕説」を取り上げます。
著者による「保守派」の内部事情が語られ、冷静な目で日本
会議が捉えられて行きます。
この章が、二つ目の山でしょう。
第8章では、皇位継承の「男系・女系」問題が取り上げられ
ます。
CS放送局「S」を中心とした「男系」、小林よしのり氏を中
心とした「女系」が共に、冷静に斬られています。
生前退位反対派への批判も強烈です。
この章が、三つ目の山です。
終章では総括として、インパール作戦、尼崎連続変死事件な
どが語られます。
今回の閉鎖集団による極論批判こそが、「意識高い系」や
「道徳自警団」といった小事ではない大事です。
今後もこれを深めて行って頂きたい処です。
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これもまた極論であるか
2018年2月12日に日本でレビュー済み最初に申し上げておきますと、この本に取り上げられた内容について、概ね筆者と同じ意見を持っています。ただし、だからと言って、私は自分の意見が100%正しいとは思っておりません。筆者は、反対の意見をすべて「極論」として切り捨てていますが、その姿勢も一種の「極論」ではないでしょうか?民主主義の基本は、自分と違う意見にも耳を傾けることです。筆者は自分の意見の正しさの根拠として、常識で考えればとか、大多数の国民(マス)がそう考えていると述べてますが、非常識な発想が正解になることもあるし、大多数の意見が大間違いのこともあります。
もうひとつ苦言を呈するならば、企業の内部留保の説明がデタラメです。一個人がすべてのことに精通できる訳ではないので、別に古谷さんが会計学やバランシートの知識がなくても恥ずかしいことではないのですが、せめて本にする以上は、専門家に聞くとかして、しっかりした知識の上で書いてほしかった。知らないことを、あたかも知っているように断言する、これもまた「極論」ですよね。これでは、内部留保の意味もわからずに騒ぎ立てている左翼の人たちとあまり変わりないですよ。
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荒唐無稽の本質はどこにあるのか
2018年3月6日に日本でレビュー済み本書の核となるのは、「外部からは見えづらく、第三者から監視や監査がされない、競争のない、閉鎖的な集団や組織から生まれる極論は、その集団内において正論となり、極論という意識がないまま、外部に漏れ出していく」という主張だ。
筆者は、この主張をもとに、教育現場の歪み、日本共産党の主張、日本会議陰謀論、TPP亡国論、地方消滅論などの極論が生まれる背景を丁寧に解説していく。筆者の著書に共通することだが、極論そのものの良し悪しを問うているわけではなく、あくまで自身の主張、今回で言えば「閉鎖的空間から生まれた極論は、身内では誰からも批判されることなく正論として扱われていく」ということを突き詰めている。
一方で、冒頭でスタンフォード監獄実験を例に挙げ、そもそも閉鎖的空間にいる個人は、元来常識を持った、極論に違和感をもつ人々であり、つまるところ私であり、あなたであり、そして何より筆者自身もそんな極論に支配されていたかもしれないと回顧している。
本書の白眉は、終章で述べている総括である。
著者は見解の相違から政治的左右から袋叩きにあい、それが遠因で友達を失い、そんな自分を冷笑系と卑下しながらも、これが「私の考えだ」と意見を発信し続けている点だ。
冷笑系大いに結構である。
筆者の著書では、漫画、アニメ、映画といったサブカル作品がたびたび取り上げられ、論考の例や文章の物語性を補強している。本書もその例に漏れず、いわゆるオタクとしての実力を遺憾なく発揮している。加えて本書では、執筆や講演にまつわる自身のエピソードや生活スタイルも赤裸々(?)に描かれており、ディープな古谷ファンはニヤリとするはずだ。
著者のますますの勇躍に期待したい。
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いまいち論考が不足
2018年1月21日に日本でレビュー済み世にはびこる極論の普遍的要因の分析を期待しましたが、その論考は浅かったです。
著者の主張はただひとつ、「外部から監視や点検がなく、競争のない閉鎖的空間」では異論排除の理屈と極論が渦巻いている、とただそれだけの論考でした。あとは著者自身の周辺で起きている事象をこまごまと綴っただけ(ちょっと「こじつけ感」あり)のものでした。
「外部から監視や点検がなく、競争のない閉鎖的空間」で極論がはびこるのが事実だとしても(それはまあ概ね事実だろうと首肯できます)、なぜそうなるのかを分析しなくては、ただ現象をなぞって示しただけで終わってしまっていると言わざるを得ません。
閉ざされた教育空間で起こる非常識も授業参観日には起こらないと述べていますが、外部の目が入るとなぜそうなるかを分析しなくてはいけないでしょう。インパール作戦立案当初は多くの反対意見もあったのに、なぜ強行されてしまったのかが論考されなくては何とも頼りない。
著者の主張自体に反論する部分は特にありませんが、一方で「それで?」「それから?」といった感を強く持ちます。
以上、肩すかしの著作でしたが、「二分の一成人式」なる奇習の存在を知り得たことと、プレミアムフライデーのドタバタ(第6章)があまりにおかしかったので★2つです。
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特に政治思想分野の「極論」のバカバカしさが生々しく説得力あり。
2018年2月10日に日本でレビュー済みこの著者がどういう人なのかは知らないが、書かれている「極論」のバカバカしさは読んでいておかしかった。どうもこの人自身がー思想性はともかくーここで非難されている閉鎖的政治思想集団に関わっていたようで、その意味で生々しく説得力を感じる話が多い。
もっとも「論考」と言う程理論的な裏付けは感じられず、基本的に著者個人の感覚で語っているので、その点で疑問を感じる話もある。特に著者自身の出身地夕張について語った「地方消滅」と言う極論では、この人自身が極論を主張しているように思われた。自分の出身地だからあえて自虐的に言えたのだろうけど、何とか過疎を克服しようとする取り組みを貶め、人口が集中する大都市に資本を集中せよ、と言うのは「極論」と思うのだが、どうか?
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面白い!
2018年2月15日に日本でレビュー済み古谷さんの新刊は、「外部から監視や点検がなく、競争のない閉鎖的な空間」に住む人たちの言論で、「極論」となるいくつかのケースを批判的に検証したものです。
要するに日本的なムラ社会の「論理」を丁寧に論評していくもので、取り上げられた話題とそれへの批判的な視座には納得のいくものが多かったです。
日本共産党の経済鈍感、「TPP亡国論」の極論ぶり、モンサント陰謀論への批判、日本会議陰謀論への批判など、時にはジョークのようなエピソードや、また畳みかけるような文体を駆使して、現代のムラ社会をあぶり出していきます。
古谷さんの論評は型にはまることを拒否するので、型にはまってしか思考できない人にはイライラさせるものでしょう。そのことは本人も十分に自覚していて、それが本書でも「つまり私は、左翼からも右翼からも嫌われている」という発言に集約されているのでしょう。
また本書の最後では、古谷さんの論説の姿勢ームラ社会的極論への冷笑的態度ーが丁寧に書かれているので、ぜひ古谷さんの方法論を知りたい人は読まれることをすすめます。
9人のユーザーが役に立ったと感じていますフィードバックを送信中...フィードバックを送信中...参考になったフィードバックをお寄せいただきありがとうございます。申し訳ありませんが、投票の記録に失敗しました。 もう一度お試しくださいありがとうございます。数日中に調査いたします。申し訳ありません。このレビューを報告できませんでした。 もう一度お試しくださいコミュニティガイドライン新しいタブで開きますに照らしてこのレビューが適切かどうか確認します。 そうでない場合は削除されます。
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古谷経衡氏の論理的、人間的な誠実性は★0!?
2018年3月10日に日本でレビュー済み最近、石平氏を散々攻撃した挙句、とある編集長に連れられ謝罪した古谷氏の新著です。
私は古谷経衡氏がチャンネル桜時代に、半ケツでフジテレビデモに参加してた時から見てました。
彼は以前、TPPについてtwitter上でこう語っています。
↓
古谷経衡@aniotahosyu2011年10月27日
勉強すればするほどTPPは反対に傾かざるを得ない。TPPはデフレを加速させる
古谷経衡@aniotahosyu2016年11月11日
「TPPで日本は亡国になる!」「韓国経済は崩壊する!」「中国経済は崩壊する!」この手の商法でいつも、自称「保守系言論人」はネット右翼に恐怖をばらまいて本を売り、講演会で儲けてきた。全部嘘だと分かったじゃないか。いつか全部、お前たちのウソを丁寧に検証してやるからな。覚えておけ。
一旦、自らが勉強して反対したものに対し、「全部嘘」だったと言い切る彼にどんな論理展開があるのか楽しみで拝読しました。なので、本レビューが第三章の「『TPP亡国論』という極論」に偏ってる事をお許し下さい。
まず、本書は「外部から監視や点検がなく、競争のない閉鎖的な空間」から『極論』が生まれると何度も記されています。理由は外部からの点検が無いかららしいですが、「大阪都にしないと沈没する~!」や民主党への政権交代劇を見せられた立場からすると、「そんな事も無いなぁ。」と、その文が目に入るたびにげんなりしました。
そして、古谷氏が自らの意思でTPPに反対していた記述は一切出てきません。反対派の決起集会に「招集された」程度です。それどころか「私は、TPP反対論者や経済右翼の主張が間違っていた、と糾弾しているのではない。」と「全部嘘」を論じることを諦め、話はすぐに脱線します。
古谷氏は反対派の「韓国みたいになる」(←TPP亡国論からの引用かも不明)の意見に対し、嫌韓だと決めつけ韓国の話に移ります。それも本章の1/3にあたる9ページ!ここの内容にとても違和感があるのは他の箇所は数字を用いて進めるのに対し、なぜか体験談や抽象論ばかり。反対派のように韓国との貿易依存度の差や政策に対しての違いなどへの反論は一切ありません。左上の『「TPP亡国論」という極論』の文字をチラチラ見つつ「おいおい、マジかよ。」と思いながら読み進めると、どうやら筆者はたびたび韓国に行ったことがあるようで(それが言いたいだけように見えた)、あいりん地区を例に出しながら日本と韓国の差異はさほど感じ無いと言います。特に酷いは「韓国の若年失業率・自殺率・ジニ係数はOECDの中で高いほうだが、日本も同様。(P.71要約)」とした所。ちなみに日本の若年失業率は5.6%(15年)で、韓国は9.2%(15年)。彼がどのデータを見たのか見てないのかも不明なので、数字は色々出せますが一貫して日本の方が低く、そりゃ9.2%より5.6%の方が良いので、TPPが韓国寄りの政策であれば「韓国みたいになる」と警告くらいするでしょう。
敢えてやってるかは知りませんが、数字を抽象的にし、肌感覚を用いて韓国のフォローをしたのです。
【トランプ誕生で証明されたアメリカ経済政策の転換】
そして、古谷氏は奇妙なことにTPPで右翼と左翼が反対で一致してる事を不思議がります。
「ひとつの政治的問題に対し、左翼と右翼が同じ姿勢をとるのは、現代日本政治上、TPPがほぼ唯一ではないだろうか。(P.63要約)」
まず、消費税もそうだし、原発についても右派で反対論者もいます。欧州の経済問題でも海外の安い労働力や商品が入って来ると自国の雇用が守れない。福祉も危うくなるという理由で国境の壁を高くしようと左派からもナショナリスティックな動きになってる事は指摘されてます。最近では中野剛志氏が「右派・左派」と「国民経済・グローバル経済」の4元構造のグラフを使って世界の政治経済を解説しています。「TPP亡国論」にもそういった記述があったと思うのですが、今頃になって何を驚いてるのでしょう?極論にしか目が行かないのかな?
さらに中野氏はアメリカも一枚岩で無く、グローバル経済と反グローバルの国民経済に分かれてると指摘しています。ヒラリーと最後まで争った左派のサンダースも反TPPで反グローバル。大統領になったトランプは右派ですが反グローバルで三橋氏や中野氏に近い考えです。自身がTPPに反対してた事すら棚に上げた古谷氏は、トランプ誕生がアメリカ経済の政策転換だったと気付かないようで、アメリカがTPPから離脱した事に狂喜乱舞します。
古谷経衡@祝増刷!『日本を蝕む極論の正体』2016年11月11日
「TPPで日本は亡国になる!」とか言っていた連中、TPPアメリカ側から拒否されたんですけど。どうなってるんすか。TPPってアメリカの日本支配の巨大な陰謀なんざんじょ。
でもアメリカが拒否してるんですけど。恐怖を煽って適当な事ばっか言ってんじゃないよ、自称「保守系」経済評論家どもよ。
古谷経衡@祝増刷!『日本を蝕む極論の正体』2016年11月12日
TPP推進賛成でも最初から反対でも、まあ理屈があればよいのです。が、当時、「TPP亡国論」なるものを唱えた連中が何を言っていたかご存知か?
「国体まで危うくなる」といったのだ。そんで恐怖でネット右翼を扇動してさんざやったんです。それは保守派として「もう過ぎたこと」と看過できますか?
古谷経衡@祝増刷!『日本を蝕む極論の正体』(新潮社)?2016年11月25日
極端な陰謀論やトンデモや恐怖を煽ってネット右翼をエンクロージャーしていたニセモノの自称「保守」が、いよいよ2016年になって続々墜落している。
保守長期政権のもと、敵を失って闘争目標がなくなった事を前提に、田母神の逮捕およびトランプ当選によるTPP消滅がトドメを刺した格好である。
さて彼が好きな陰謀論批判ですが、元々出したのは推進派側で当時の前原外務大臣などがTPPを過度に怖がる勢力を「TPPおばけ」、「陰謀論者」とレッテル貼りをしていました。それに対して中野氏は、オバマの一般教書演説などを引用し、「陰謀でも何でも無くアメリカは何を欲しいか公に打ち出してる」と反論します。当時、「日本はガラパゴス化」とネガティブな印象を植えつけられ、世界と画一的なルールを作ることが善であるようなグローバル化が蔓延。何が正しいか判断出来ずに求心力を失いきった民主党が飛びついたのが『TPP』。それまで「工業は衰退産業」だったのに、TPPになった途端、「日本の強み」と真逆の論調をしたり、辺野古基地移設問題でアメリカに対し強いしこりを抱えた民主党が強く交渉出来たのかどうか常識的に考えてどうでしょうか?
政権が自民党に移り、甘利氏が担当しましたが交渉で相当憔悴しきっており、報告書が黒塗りになっているなど過酷さが伺えます。TPP批判が高まり、テレビの討論番組などで「国益を守る」と何度も宣言させられてのこの状態なので、あのまま民主党が交渉を進めていたらどうなっていたでしょうか?
中野氏の「アメリカの都合で進んでいく」くらいの警告は合致してたのでは無いでしょうか。
そして、この話には最大のオチが待ち受けています(笑)
散々、呆れ返った後に古谷氏はこう締めくくります。↓
「反自由貿易、反TPPで結束していた経済右翼は、2016年末のトランプ政権誕生以後、全くこの問題について総括をしないばかりか、寧ろ無かったのごとくだんまりを決め込んでいる。自らの主張が根拠のない荒唐無稽な極論であることが明々白々になったので、あえて言及しない方が得策と踏んでの行動だろうか。私は今でも釈然としない。(P.84)」
しかし、この本の発売後、トランプがTPPへの参加を再度検討し始めたのです!普段は対米自立を掲げてるくせにTPPの是非を安直にアメリカに一任した古谷氏に罰が当たったのでしょうか。アメリカが離脱した事で鬼の首を獲ったかのようにTPPの論理や三橋氏らの態度を批判していたので、さぞかしバツが悪い、もしくは拙速な主張をした事を反省をしてるだろうと、本人のtwitterを覗いたら名前の欄がこう変更されてました。
↓
『古谷経衡@祝増刷!『日本を蝕む極論の正体』(新潮社)@aniotahosyu』
なんと古谷氏は反省するどころか自分で自分をお祝いしていたのです!散々三橋氏らには「極論で商売しやがって」と批判していたのに、自分が紛い物を売っていたことには何の非も感じない様子。どうやら古谷経衡氏の中に古谷経衡は存在しない事が分かってきました。
【反対派の極論が必要だった理由】
私は、今回のTPP反対派のやり方がマズかったとは思っていません。それは古谷氏本人が既に仰ってます。まず、TPPが初めに報じられた時はどういう状態だったか思い出してください。「TPPは平成の開国」「バスに乗り遅れるな」「鎖国して生きていくのか?」。結局、バスは日本が乗るまで動きませんでした。TPPの参加国は11カ国な上に、入らなくてもこれまで通りなので「TPP拒否=鎖国」でもありませんね。TPPの議論が『極論』で始まってる事がお分かり頂けますでしょうか?古谷氏が言うように、『極論』が日本を蝕むのであれば、当時、日本が蝕まれた状態になります。現に古谷氏は、中野氏らの主張の正当性を否定出来ていません。穏やかに批判してして動く世の中であれば良いですが、朝日新聞の慰安婦誤報を認めさすのに32年間かかったように、どのように反応するかわかりません。
古谷氏のようにご当事者意識の低く、孤立を好み、『極論』に対しニヤニヤしておきたいだけの冷淡系(P.219)を自認してる人であれば、のらりくらりしてれば良いですが、TPPで誰かが被害を受けると危機感や正義感を持つ言論人がいれば、なりふり構わず止めにかかるのではないしょうか。
TPPの『極論』を論じるのであれば、賛成派反対派のどちらも取り上げないと公平じゃないと思うですが、なぜ一方だけを批判してるのでしょう?論理よりも私怨を優先させるために敢えてやってるのでしょうか?もし、敢えてやってるのであれば人間的誠実性は★0という事になりますし、気付かずにやってるのであれば論理的誠実性が★0だと言わざるを得ません。
【おまけ】
先日、入水自殺した西部邁氏を「真正保守」と評する古谷氏ですが、もしかしたら自身が褒められた(らしい)からそう言ってるだけで、全く西部氏の話を聞いて無い疑惑も本書で浮上します。
第5章の「『地方消滅』の極論」で、「秋田を始め、山形、高知、島根、大分は人口は戦後がピークで、それから魅力的な街づくりを怠ったから衰退していった。(P.131要約)」「そして、これらは自由競争の結果であり、地方への補助金や予算措置は非合理な再分配だ。(P.132要約)」と続く。
古谷氏が例に挙げた地域は新幹線未開通であり、インフラ格差が及ぼす影響は西部邁氏の弟子の藤井聡教授が論じています。あとデフレに陥ると地方から衰退して行き、都市化や東京一極集中へと進む。古谷氏は都市に行く傾向を「若者の憧れ」と言っていますが、地方に仕事が無く、都会に行かざるを得ない状況であれば、本来、地方で経済活動するはずであった人的資本を借りて、東京や都市が発展してる訳ですから地方に再分配することは何も非合理ではありません。
新幹線整備計画も国策(民営化されましたが、民間企業であれば儲けが優先で、太平洋ベルトに走らせておけば半永久的に儲かる)で、デフレ解消も国がなんとかするしかない問題です。インフラ格差やデフレを散々放置しておきながら、衰退した頃に、自己責任のように扱うのは非人道的な行為に思います。
古谷氏が真正保守と評する西部邁氏も「競争の『競』と言う字は、同じ大きさだから成立する(競える)のだ」と、解説しています。
西部邁氏が亡くなってから古谷氏は、白々しく「あと10年はご教導頂きたかった」などとつぶやいていましたが、それなら生きてる間にもっと話を聞いておくべきだし、西部邁ゼミナールでゲストの方が来られる度に、死ぬ理由も、「そろそろ死ぬ」と何度も報告しており、それを聞いたゲストの方が毎回何も言えないでいる様子を見ていれば、軽々しく「あと10年」だなんて言えないと思います。
【なんのための言論活動か?】
ここまで来ると古谷氏はなんのために言論活動を行ってるのか分かりません。藤井聡教授であれば「普通の人が普通に生きられるように」と、仰っていましたが、 大学生時代に月収50万円を超えており(経済右翼の金儲けは批判してますが、自身は「お金のためには何でもやった」そうです。)、月収20万の企業に就職していく同世代を見下していた(P.144)彼に何の目的があるの分かりません。見えてくるのは自己顕示欲くらいでしょうか?だから、褒めてくれた人を慕い、意見も変える。
「日本を蝕む」というタイトルも、「自分を蝕む」に感じてきました。
twitterを見てると古谷氏の根源的な言論活動の考えなるものが流れてきました。
真偽は不明なので紹介だけにトドメて、終わりたいと思います。
孫向文@sun_koubun 2月13日
2014年に某サヨク週刊誌にて安田が古谷のインタビューをして都内の居酒屋で収録。安田は僕を誘って、古谷と初対面。当時はまだSEALDsがないから僕にサヨクメディアのオファーが多かった。安田「孫さんは石平を批判したら注目を集めるよ」と汚い戦略を勧められた。安田と古谷はこんなクズともです。
以上。
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