VR(仮想現実)空間では「VRタレント」や「VR建築家」といった職業が生まれている。先進的な企業も宣伝や販売を目的に、VR空間を目指し始めた。新たな経済圏が立ち上がろうとしている。

 美少女「Yuri(ゆり)826」は目覚めた。同じ部屋で寝ていたほかの美少女たちも起き上がり、退室し始めている。隣で寝ていた、青い羽を持つ美少女「mystia(みすてぃあ)777」はすでにいない。もう仕事に行ったのだろう。

 みすてぃあは実社会では宇都宮市に住む30代の男性だ。毎晩午前0時を過ぎた頃、一人暮らしをしている自宅でVR(仮想現実)ゴーグルを着け就寝する。世界最大のソーシャルVR「VRChat」の世界に行き、大部屋で皆と一緒に寝ている。朝を迎えるとVRゴーグルを外し、職場に向かうのが日課だ。

手前は「Yuri(ゆり)826」、後列は左から「mystia(みすてぃあ)777」「tanabe」「リーチャ隊長」の仲良しメンバーだ
手前は「Yuri(ゆり)826」、後列は左から「mystia(みすてぃあ)777」「tanabe」「リーチャ隊長」の仲良しメンバーだ

 VR空間で寝ることを「VR睡眠」と呼び、VRChatの住民の間では一般的な生活習慣になっている。慣れればVRゴーグルを着けたまま熟睡できるようになる。

 みすてぃあにとって夜は、1人でいる自宅よりも虚構の世界の方が安心できる空間だ。「夜中に目が覚め、VRゴーグルを外して天井を見ると、『寂しい光景だな』と思ってかぶり直している」と言う。

職業は「VR建築家」

 みすてぃあがVRChatで登録している「フレンド」は360人。その中にはVRChat内での活動で収入を得ている者が少なくない。

 VRChatには世界中から入れ代わり立ち代わり、常時2万数千人が参加している。大勢の人がVR空間を暮らしの一部とすることで、独自の経済が回り出している。

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