西鉄バスジャック事件の時、犯人の少年に「牛刀」で切りつけられた被害者が語ったあまりに「意外な想い」

牛刀をふりかざし、大人たちを支配した少年

2000年5月3日、ゴールデンウィークの最中、佐賀発福岡行きの高速バスが17歳の少年に乗っ取られ、1人が死亡、2人の負傷者を出した。薄暗いバスの中、鋭く光る刃渡り30センチの牛刀を持って歩く犯人の映像は、日本中を恐怖に陥れた「西鉄バスジャック事件」である。

家庭の中にも外にも居場所を見つけられず、犯罪によって怒りを社会にぶつける若者による事件はその後も続いている。

本件の被害者でありながら、加害少年と対峙した山口由美子さんに話を伺った。

PHOTO by iStock
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23年前の5月3日、山口さんは友人と一緒に天神でのコンサートに行くため、高速バスに乗っていた。バスが高速道路に入ってしばらくした頃、一番前に座っていた少年が突然立ち上がり、牛刀を振りかざしながら、全員後方に座るよう命令した。

その言葉に凄みはなく、山口さんは、

(なぜこんな子がこんなことを言うのだろう……)と唖然としていた。

すると、眠っていて少年の行動に気が付かなかった乗客が突然刺され、車内に戦慄が走った。

しばらくして、運転手はトイレ休憩が必要だと少年を説得し、一部の乗客がバスを降りることを許された。トイレに行くとバスを降りた乗客のひとりが、隙を見て警察に通報した。

その様子に気が付いた少年は腹を立て、

「あいつは裏切った。連帯責任です」

そう言って、いきなり山口さんを切りつけた。山口さんは倒れ込み、通路は傷口からの出血で血の海に見えたという。

その後も、隙を見て窓から飛び降りた乗客がいた。少年は次に、山口さんの友人を刺し、友人はしばらくして息を引き取った。

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