演奏会
演奏会(えんそうかい)とは、聴衆の前で行われる音楽の生演奏のこと[1]。個人宅や小さなナイトクラブから、中規模のコンサートホール、さらには大規模なアリーナやスタジアム、あるいは野外での特設ステージや公園などの屋外の会場に至るまで、多種多様な場所や規模で開催される。
一般的な呼称としてコンサート(英: concert)、ライブまたはライヴ(英: live)があり、その他に音楽会(おんがくかい)、ギグ(英: gig)やショー(英: show)とも呼ばれる[2]。単独の音楽家によって行われる演奏会はリサイタル(英: recital)と呼ばれることもある。
クラシック音楽以外では、多くの場合プロ仕様の音響機器が用いられ、レコード、CDなどの録音音楽が普及する以前は演奏会が音楽家の演奏を聴くための主要な機会であった。「アリーナ・コンサート」や「アンフィシアター・コンサート」が最大級の会場に該当し、大規模なコンサートやコンサートツアーにおける会場、機材、観客、チケットの手配といった運営業務はプロモーターが担う。
歴史
[編集]17世紀初頭にオックスフォード大学やケンブリッジ大学などヨーロッパのいくつかの大学で演奏会が行われ、17世紀後半にイギリスのヴァイオリニストであるジョン・バニスターが入場料を徴収する最初の公開演奏会を創始した[3]。
その後数世紀の間に演奏会の聴衆が増加し、クラシック音楽の交響曲などが人気を博すようになる。第二次世界大戦後、現代的なコンサートへと変化していった[4]。
リサイタル
[編集]リサイタルとは、「独奏会」「独唱会」を指し[5]、1人のソリストを主役とした演奏会を指す。鍵盤楽器など1人で音楽作品を演奏できる楽器であれば1人だけが舞台に登場し、旋律楽器や声楽の場合は伴奏者などを伴う。ピアノ独奏によるリサイタルという形式を創始したのは、フランツ・リストであるとされている[6]。
「コンサート」は、本来は演奏会全般を指す言葉だが、狭義にはオーケストラや合唱団など大人数の団体が主役となる場合や、複数のソリストが次々に登場する演奏会など「リサイタル」とは呼べないものを指す[7]。例えば、「アンネ=ゾフィー・ムター ヴァイオリンリサイタル」「マリア・カラス ソプラノリサイタル」「オペラ・ガラ・コンサート」など。
演奏会に関連する用語
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定期演奏会
[編集]オーケストラ、吹奏楽団、合唱団など常設の演奏団体が、自ら主催し定期的に開催する演奏会を定期演奏会、あるいは予約演奏会という。シーズンを通じて一括して演奏会の入場券を予約できる権利が設定されていることが多く、そのような権利を購入した者を定期会員と称する。
コンサートツアー
[編集]「コンサートツアー」あるいは「ツアー」とも言う。演奏者が普段活動している地域を離れて、各地を巡回し演奏会の興行を行う。ポピュラー・ミュージックの分野においては、イベンターやプロモーターとレコード会社、所属事務所が協力して、大規模なツアーが組まれることが多い。近年の音楽業界では重要な収入源となっている。
ガラ・コンサート
[編集]何かを記念して行われる特別企画の演奏会。「ガラ・コンサート」(gala concert)という名称を和訳するとすれば、「特別公演」「記念演奏会」「祝賀音楽会」となる。"gala"は祝祭を意味し、年末年始(例えば年始であれば「新年ガラコンサート」と銘打って行われる)や、文字通り主な祝祭に合わせて行われることが多い。ソリストの演奏を中心に組み立てられ、オペラやオペレッタのアリアや、協奏曲の一つの楽章、オペラの序曲、間奏曲や演奏会用序曲、バレエ音楽の一部のような短い管弦楽曲、といったプログラムが多い。
卒業コンサート
[編集]日本の音楽グループ、特にアイドルグループにおけるメンバーの脱退は、円満にグループ活動を終えることを印象付けるために「卒業」と表現することもあり、卒業を伴うコンサートは「卒業コンサート」と呼称される[8]。これを略し、「卒コン」とも呼ばれる[9]。卒業コンサートは2001年4月にモーニング娘。を「卒業」した中澤裕子以降定着し始めた[10]。
演奏会の構成例
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オーケストラの演奏会の場合
[編集]- 序曲など短めの曲
- 協奏曲、小規模な交響曲、中規模の管弦楽曲
- 休憩
- 交響曲、大規模な管弦楽曲などメインの曲
4.がとくに重厚かつ長大な場合は、2または1、さらには1・2なしでマーラーの交響曲など一曲の4だけということがある。
1.の序曲を演奏しないで、リゲティなどの現代音楽など あまり一般的ではない曲(委嘱作品や初演作品等も)を最初に挿入する方法がある。それを聴衆が嫌って遅れて入ってくる場合は意図的に順序を逆にして協奏曲の後などに入れる場合もある。
クラシックにあまり詳しくない人向けに、上記の構成を採らず短めの曲(小品)を集めたものをプロムナードコンサート(略称プロムス)と呼ぶ。
こうした構成で演奏される演奏会は、通例、司会進行役は無く、奏者の入場・ソリスト等の入場・指揮者の入場、演奏開始、といった流れになり、開演中にアナウンスなどが流れる事は無い。指揮者がアンコール曲の作曲者と曲名を言うことはある。ただし、ホールによっては開演前に注意喚起(携帯電話の電源断や時計のアラーム機能のオフの要請など。携帯電話に関しては、電波を遮断する機器を設置しているホールではその旨の周知が行われることがある。)のアナウンス等が流れることはある。また、プロムナードコンサートや初心者向けコンサートなどは、曲紹介や聴くためのポイント、豆知識などを司会者などが解説する場合がある。
舞台演劇
[編集]音楽と演劇、舞踊が融合したものとしてオペラ、バレエ、ミュージカルなどがあり、これらはいずれも、指揮者や演出家によってまとめられた様々な歌手やダンサーたちによって上演される[11]。これらは「演奏会」とは呼ばない場合が多い[要出典]。
オペラなどにおいて、通常のオペラの公演とは異なり、舞台装置などの演劇上の演出をせず、舞台にオーケストラや合唱団が上がり、その前でソリストが歌う形式で公演を行う場合がある。このような公演の形態を演奏会形式という。
観客のマナー
[編集]一般に静寂のメリハリが必要なクラシック音楽の演奏会などでは、携帯電話や咳、飲食などの観客が音を出す行為は忌避される[12]。また、ある程度許容されるロックやポピュラーソングの演奏会においても、演奏者と観客が一緒に歌う行為などは議論を呼ぶ余地がある[13]。
一方、トーキング・ヘッズのデイヴィッド・バーンは、著書『音楽のはたらき』の中で、「真面目な観客」が生まれたのは20世紀初頭であり、それまではクラシック音楽の演奏会でも、観客が飲食と会話をしながら楽しむのが当たり前だったと指摘している[14][15]。
脚注
[編集]- ↑ “演奏会(エンソウカイ)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2026年8月8日閲覧。
- ↑ “音楽会(オンガクカイ)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2026年8月8日閲覧。
- ↑ “John Banister | Baroque Composer, Violinist, Teacher” (英語). Britannica. 2026年8月8日閲覧。
- ↑ “Concert | Types, Benefits & History” (英語). Britannica. 2026年8月8日閲覧。
- ↑ 『リサイタル』 - コトバンク
- ↑ “How Franz Liszt Became The World's First Rock Star”. NPR (英語). 2011年10月22日. 2026年8月8日閲覧.
- ↑ 精選版 日本国語大辞典 - コトバンク
- ↑ ハフポスト日本版編集部 (2020年1月24日). “「脱退」と「卒業」の違いは? 平手友梨奈さんの決断に様々な憶測が飛び交う”. ハフポスト. 2026年8月8日閲覧。
- ↑ “「さようならじゃなくて、行ってきます!」 つばきファクトリー浅倉樹々、卒コンでグループ活動に別れ”. 中日スポーツ・東京中日スポーツ. 2026年8月8日閲覧。
- ↑ “アイドル「脱退」「卒業」の20年史 いかに表現が変わっていったか”. J-CAST ニュース (2020年1月25日). 2026年8月8日閲覧。
- ↑ “Kinds of Concerts: How To Enjoy A Live Concert”. Naxos. 2017年2月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年8月8日閲覧。
- ↑ “いまさら訊けないクラシックコンサートの基本マナー【初心者向け】”. edy music (2023年10月27日). 2026年2月27日閲覧。
- ↑ “「あんたの歌を聴きに来てない」B'zライブでの“客の大熱唱”に批判殺到。”. 女子SPA! (2025年12月21日). 2026年2月27日閲覧。
- ↑ “「金払って素人の歌を聴きたくない」なぜKing Gnuの“合唱肯定”は批判されるのか?”. 女子SPA! (2026年2月26日). 2026年2月27日閲覧。
- ↑ “音楽のはたらき”. イーストプレス (2023年). 2026年2月27日閲覧。