ハワイ大学88インチ望遠鏡
| UH88 | |
|---|---|
|
| |
| 座標 | 北緯19度49分23秒 西経155度28分12秒 / 北緯19.8231度 西経155.47度座標: 北緯19度49分23秒 西経155度28分12秒 / 北緯19.8231度 西経155.47度 |
| 形式 |
光学望遠鏡 |
| 口径 | 2.2 m (7 ft 3 in) |
| ウェブサイト |
www |
ハワイ大学88インチ望遠鏡(ハワイだいがく88インチぼうえんきょう、英語: University of Hawaiʻi 88-inch (2.24-meter) telescope、UH88、UH2.2)はマウナケア天文台群を構成する望遠鏡の1つで、ハワイ大学の天文学研究所(IfA)が所有・運用している口径2.2mの反射望遠鏡である。ハワイのマウナケア山山頂が天体観測に適しているとの調査結果から1968年に建設され、1970年に運用が開始された際は、まだ他に大望遠鏡がなく単にこの望遠鏡施設そのものが「マウナケア天文台」と呼ばれていた。現在はマウナケア山で最も小さい望遠鏡の1つとなっている[1]。コンピューターで制御される最初の大望遠鏡の1つとなり[2]、2008年以降は完全な遠隔操作で運用することも可能となった[3]。太陽系探査ミッションを支援する地上望遠鏡として、NASAも資金提供を行っている[4]。この望遠鏡の成功により、マウナケアが天文学の観測において非常に価値が高いということが実証・認識された[2]。
特徴
[編集]この望遠鏡はF値が10のカセグレン式望遠鏡で、大型のオープンフォーク式の赤道儀に搭載されている。マウナケアをはじめ世界中で建造される望遠鏡がオープントラス式の構造が主流となっていく中で、マウナケアにおける最後の筒型に側面が完全に閉じた鏡筒を採用した望遠鏡となった。また、隣接する3.6mのカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡がイギリス式赤道儀を採用し、それより大型の望遠鏡では経緯台式架台が主流となっていく中で、フォーク式赤道儀を採用するマウナケアで最大の望遠鏡となっている。
現在2種類のCCD撮像装置と、グリズム分光器、SNIFSが観測装置として搭載されている[5]。過去には名古屋大学が開発した赤外3色同時撮像装置「SIRIUS」を搭載していたが、現在は南アフリカ天文台に同大が所有する望遠鏡に移設されている[6]。 また同じく名古屋大学が開発した可視光分光撮像装置WFGS2も搭載していたが、現在は兵庫県立大学西はりま天文台の2mなゆた望遠鏡に移設されている[7]。
天文学研究所は利用可能な観測時間について他の研究機関とも協定を結んでいる。たとえば日本の国立天文台は、同じくマウナケアにありはるかに大型で高価な望遠鏡であるすばる望遠鏡で観測するにはオーバースペックすぎてもったいないような研究プロジェクトについては88インチ望遠鏡を使用する[8]。すばる望遠鏡よりも観測枠の競争が厳しくなく計画的な観測が可能なため、学位論文のための観測でも多数使用されている[9]。ローレンス・バークレー国立研究所などが行っている近傍超新星ファクトリープロジェクトでも使用されており、他の広視野望遠鏡で発見された超新星候補を分光確認するための超新星積分視野分光器(Supernova Integrated Field Spectrograph:SNIFS)を88インチ望遠鏡に搭載させて使用している[10]。
2011年6月に望遠鏡と近くの気象観測所が落雷を受け、多くのシステムが損傷を受け機能を停止した。望遠鏡は同年8月までに修理が完了した[2]。 観測所のシステムの中には損傷当時既に41年間使用されていたものもあり、リバースエンジニアリングによって修理する必要があった[2]。気象観測所も新たに改良されたうえで、ドームの頂上に設置されて再開している[11]。
観測成果
[編集]
1984年12月4日、この望遠鏡は開口マスキング干渉法を用いて天体光源の光学閉鎖位相測定に成功した最初の望遠鏡となった。 他にも、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡など多数の赤外線宇宙望遠鏡に使用されているテレダイン・テクノロジーズ社の赤外線検出器HAWAII (HgCdTe Astronomical Wide Area Infrared Imager) などの実証観測など[12]、様々な最新技術の試験観測の場となり、2025年にはIEEEマイルストーンにも指定された[13]。
ハワイ大学が単独で管理する唯一の研究用望遠鏡として、この望遠鏡は同大学の教授から博士研究員、大学院生に至るまで長年にわたって主に使用された望遠鏡となり、その結果多くの成果を生み出している。デビッド・C・ジューイットとジェーン・ルーは88インチ望遠鏡を用いて冥王星以外の最初のエッジワース・カイパーベルト天体及び太陽系外縁天体である(15760) アルビオンを発見し[2]、ジューイットとスコット・S・シェパードは多数の木星から海王星にかけての外惑星の衛星を発見した[14]。
そのほか小惑星センターから天文台コード「T12」を割り振られており[15]、デービッド・トーレンらが中心となって地球近傍小惑星の多数の追跡観測を行っている[16]。
ギャラリー
[編集]- 望遠鏡のドーム
- ドーム内部の望遠鏡と赤道儀
- 鏡筒のカセグレン焦点部に取り付けられた観測装置
- 鏡筒側面部に取り付けられた観測支援装置群
- コントロールルーム
- 望遠鏡の手動コントローラー
- 望遠鏡の記念銘板
関連項目
[編集]脚注
[編集]出典
[編集]- ↑ KHON2 News. “Maunakea's first large telescope celebrates 50 years of science”. KHON2. 2026年8月31日閲覧。
- 1 2 3 4 5 “UH IFA Newsletter No. 40 - 2011, UH 2.2-meter Telescope Recovers from Lightning Strike”. 2012年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月14日閲覧。
- ↑ UH News (2020年6月26日). “Maunakea’s first large telescope celebrates 50 years of science”. University of Hawaiʻi System News. University of Hawaiʻi. 2026年8月31日閲覧。
- ↑ Donald N. B. Hall (1997年1月1日). “Operation of the University of Hawaii 2.2 M Telescope on Mauna KEA”. NASA Technical Reports Server. NASA. 2026年8月31日閲覧。
- ↑ “University of Hawaii 2.2-meter telescope - Observer Information”. Institute for Astronomy, University of Hawaiʻi. 2026年8月31日閲覧。
- ↑ 名古屋大学赤外線研究室. “SIRIUSについて:概要”. 名古屋大学理学研究科物理Z研. 2026年8月31日閲覧。
- ↑ 兵庫県立大学西はりま天文台. “WFGS2-Top”. 兵庫県立大学西はりま天文台 WFGS2. 2026年8月31日閲覧。
- ↑ すばる望遠鏡 (2008年8月29日). “ハワイ大学2.2m望遠鏡(UH88)および英国赤外線望遠鏡(UKIRT)日本人研究者向け観測時間(2009A期)公募について”. すばる望遠鏡. 2026年8月31日閲覧。
- ↑ 大朝由美子. “UH88日本時間の報告と今後について”. 国立天文台 岡山天体物理観測所. 国立天文台. 2026年8月31日閲覧。
- ↑ Greg Aldering. “About the SNfactory”. The Nearby Supernova Factory. Lawrence Berkeley National Laboratory. 2026年8月31日閲覧。
- ↑ Prinzing, Heather; Calder, Bob; McKay, Luke; Aspin, Colin (2012年10月). “A New Environmental Monitoring System For The UH88 Telescope”. 2012 Society for Advancement of Hispanics/Chicanos and Native Americans in Science National Conference. Society for Advancement of Hispanics/Chicanos and Native Americans in Science National Conference.
- ↑ Teledyne Space Imaging. “Infrared HAWAII Focal Plane Array”. Teledyne Space Imaging. 2026年8月31日閲覧。
- ↑ University of Hawaiʻi System News (2025年6月26日). “UH telescope on Maunakea earns global honor”. University of Hawaiʻi System News. 2026年8月31日閲覧。
- ↑ アストロアーツ (2002年5月17日). “木星に11個の新衛星発見、計39個に”. アストロアーツ. 2026年8月31日閲覧。
- ↑ “Observatory Codes: F”. Minor Planet Center. International Astronomical Union. 2026年8月31日閲覧。
- ↑ “Station Statistics T12”. MPEC Watch. Minor Planet Center / Small Bodies Node. 2026年8月31日閲覧。