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未完成婚・セックスゼロで母になる!?#17 EDについて|お医者さん、ありがとう!!

未完成婚のままではあるが、「夫と愛し合った」とはじめて思うことができた翌日、男性不妊と女性不妊と両方同時に診てくれる大きい病院へと向かった。

初診受付は長蛇の列、早めに着いた甲斐もなく、受付だけで1時間もかかった。身体に不調を抱えている人がこんなにたくさんいるんだな…と今まで見る機会のなかった、大きい病院の光景に驚いた。

まずは夫の診察、男性不妊も扱う泌尿器科。ちょっとぽっちゃりめの男性の先生は、ざっくばらんな感じで漫画のキャラにでできそうな雰囲気…
夫の細かい質問にも丁寧に答えてくださり、「あ、この先生はいい先生だ、夫も信頼するだろう」と直感した。

夫の診断は、まずは別の病院で判明した精索静脈瘤。精巣の静脈に瘤があるのだ。この瘤が静脈にあることで、精巣からの血液が心臓へ戻らずに一部の血液が逆流する。そして、精巣が酸欠気味となり、精子の生産機能に影響する、ということらしい。

夫自身の命に影響を与えることはない。だから、静脈瘤による痛みもなく、妊活も関係しなければ、手術する必要もまったくないのだ。

手術するならば、この静脈瘤のある静脈を切ってルートを閉じ、別の静脈をメインに使えるようにするらしい(よくわかんないけど、なんかすごい!)
今回の先生は、この手術が得意とのことで、前の病院から紹介していただいたのだ。

あともうひとつの診断は、「精子運動率が非常に低い」ことだった。精子運動率の正常率はWHOの基準では42%、夫の初回の診断は13%だった。

この精子運動率の低さは、精索静脈瘤が原因とも考えられる。ただし、精索静脈瘤を手術をしたからと言って、必ずしも効果があるとは限らない…。個人差がかなり大きいようなのだ。

夫を診察しながら医師は「絶対手術しなきゃいけないレベルでもない、でも全然手術しなくていいですよってレベルでもない。ちょうど中間くらいです。」と言った。素人にとって、とてもわかりやすい言い方だった。

「手術をしたら、必ず運動率が上がるとも限りません。手術をしたら精子を出せない時期もあり、3カ月くらい不妊治療がストップする方もいます、人によりますが。

手術の効果があり、運動率が上がるとしても数ヶ月後が多く、結果が出るのに時間がかかります。個人差がかなりあります。奥さんの診断もしていただいた上で、手術のことは考えましょう。」

と言われた。このあとに、私の婦人科受診を控えている。男性不妊と女性不妊と、ワンフロアで隣あった部屋で診断してもらえる、私たちにとってこれが最大のメリットだった。

男性不妊外来と違い、女性不妊外来はとても待つ…1時間くらいしてから、私の診察となった。


男性の先生が、早速質問を始めた。

先生「今回がはじめての受診ですね。どこか他の病院に通っていたことはありますか?」

ひと通り、これまでの検査結果をお渡しし、前の病院での経過を説明した。

先生「この結果から見ると、子宮内膜症と診断はつかないですね。だいぶ良くなってるんじゃないかと思いますが…

では、避妊なしの性行為は、どれくらい前からしていらっしゃいますか?」


きた、ついにきた……この質問が………
不妊外来で避けられない質問である。

前の婦人科でも聞かれた、この質問。前回のときは私1人で、夫はいなかったため、間髪を入れず「いや、まだしたことないんです」と答えた。

でも……今回は、夫が横にいる……
なんて答えたらいいのか………

私は言葉が出せずにうつむいた。夫も一瞬、固まったのがわかった。

夫「いや……あの、なかなかする機会がなくて……タイミングが合わなくて……」

先生「お仕事忙しいんですね。どのくらいのペースで、していらっしゃいます?避妊はいつやめましたか?」

重い空気が立ち込める……
なかなか答えない私たち……
いや、答えないのではない…答えられないのだ。

もやもやした回答をくり返す私たちに、先生は業を煮やしたのか、私たちの方を向いてはっきりと言った。

先生「大丈夫ですよ、恥ずかしがらなくて。私たちはプロですし、不妊治療するためには大事な情報ですから。恥ずかしいことではないんです。」

先生にうながされ、私は意を決して答えた。

私「まだ………したことが、ないんです。」

先生「避妊なしでは、したことないんですか?中で射精ができないんですか?」

先生が聞きたい本質は、『子供ができるようなセックスを、どれくらいの期間しているのか?』だ。当たり前だ、不妊治療なんだから。

私「いえ………まだ挿入をしたことがないんです……」

先生が一瞬びっくりした顔をして、こちらを見た。でもすぐに、普通の顔に戻った。さすが、プロだ。

夫は今、どんな顔をしているんだろう……言ってしまった、私の口から……
診察室に入ってから、私は一度も夫の顔を見ることができない。

私は半泣きだったに違いない、ポーカーフェイスはできなかった。するつもりもなかった。

卑怯かもしれないが、これは医学的に私たちの未完成婚の状態を訴え、打開できるかもしれない、私にとっては貴重な一度しかないチャンスだ。

正直に答えると、半泣きのしおらしい顔の下には、『このチャンスを逃すものか!』というしたたかな気持ちがあった。悪いけど、私は本来、セックスするのが好きな肉食女子だ。

先生「まだ、一度も性行為をしたことがないんですか?」

私「はい、挿入ありの性行為を…したことがまだないです。」

先生「いつ、ご結婚されたんですか?」

私「籍を入れたのは今年の1月ですが、一緒に暮らしたのは4月から、約9ヶ月です。」

ちょっと間をおいて、先生が夫を見た。

先生「旦那さん、マスターベーションはしてるんですか?」

夫「はい、まぁ回数は少ないかもしれませんが…」

先生「じゃあ、1人ではできるんですね?射精はできるんですね?」

夫「はい。」

先生「性行為のときは、勃起しないんですか?」

夫「……うーん、まぁ、するのはするんですが……」

私「あの…勃起しなかったりとか…維持しなかったりとか……です。」

先生「それはEDですね。」


先生がきっぱりとおっしゃった。
夫が一瞬絶句したのが、顔を見なくても、なんとなく空気でわかった。

先生「大丈夫ですよ、薬飲めば治りますから。飲んでる人もたくさんいますし、病院から出せますから。別におかしいことじゃないです。」

それだ、それだよ!!!!
私がずっと!!言いたかったやつ!!!

なんなら!!はじめて性行為にチャレンジした、6月に私が言ったやつ!!

『たぶんね…言いにくいし、傷つけるかもしれないけど、たぶんね、EDだと思うよ。年齢的にもよくあることだし、お仕事忙しいしストレスもあるから、別に珍しいことじゃないと思う。私の男友達もED薬飲んでるって言ってたし。泌尿器科で、出してももらえるらしいよ?』

すでに全部、私が言ったことあるセリフ!!
そして、一瞬で「違う、病院に行く必要はない」と、夫にはねのけられたアドバイスだったのだ。

今思うと…女性慣れしていない男性が、一緒に暮らしてまだ2ヶ月の奥さんと初めてしようとした後に言われたセリフとしては、ヘビーだったろう。受け止められなかった夫の気持ちは、わからんでもない。

先生グッジョブ!!!ありがとう!!!


私は、心の中で大きくガッツポーズをきめた。
医者が言うことなら、夫も素直に聞くはずだ。

そして、驚くことに夫はすぐに先生に尋ねた。

夫「この病院で、薬を出していただけるんですか?」

先生「はい、先ほど診察された泌尿器科の先生が出してくれますから。」

夫が、ED薬を飲む意思を示してくれている……
薬ギライの、あの夫が………!!

先生は続けて、きっぱりとした口調でおっしゃった。

先生「あのですね、性行為がなくても子供はできるんです。私たちは不妊治療の医者なんです。

でも、セックスでお互いに気持ちよくなりたい、とか、夫婦関係を深めたいとか、そういうことは私たちの役目じゃないです。それは、心の問題ですから、心療内科になります。だから、そっちに行ってください。

私たちは、子供を作るようにすることが仕事なんです。それでいいですか?」

一見冷たくも聞こえるかもしれないが、きっぱりとしたこのセリフ……
ここまではっきりとした、こんなセリフを言ってくれた先生は、これまでいなかった。

この一見冷たいセリフでもって、私は先生に信頼感を感じ、すっきりとした気分で答えた。

私「はい、お願いします。」

先生「それではですね…『不妊』の定義から、まずは説明しますと、産婦人科学会では『妊娠を望む健康な男女が、避妊をせずに性交をしても1年間妊娠しない状態』のことを『不妊』と定義しています。

なので、お二人はまだ何もしてないので、『不妊』とも診断できないんです。

だって、まだ何も試してないわけですから。」


目からウロコだった。
自分が『妊娠できる状態に至ってない』ことで、私は自分が不妊だと、知らず知らずのうちに思い込んでいたのだ。

そもそも、何もしてないから
そもそも、中出し挿入セックスを一度もしていないんだから、不妊かどうかもわからない。当たり前のことだが、見えなくなっていた。

私の身体は、本当は不妊じゃないかもしれない……
救われた気がした。

先生「まぁなので、私はまずは人工授精から試してみることを考えます。」

夫「この精子の検査結果でも、ですか?」

前の病院では、『この低い精子運動率では、体外受精一択』と、2名の医師から断言されていたので面食らった。同じ提案をされるだろうと、思い込んでいた。

先生「確かに、数値は低いですが、このくらいの数値でも人工授精で妊娠した夫婦も何組も見ています。だから、人工授精では妊娠しないとも言い切れないんです。本当にこればっかりは、やってみないとわからないですから。」

そうか……そうなのか……!!

先生「いいですか?通常の不妊治療は、まずは『一定期間、避妊なしのセックスをする』それを1年くらい続けても妊娠しなかったら『不妊』の可能性があるので病院に来て、治療を開始するんです。

一番最初に試すのがタイミング法、排卵日を予測して、指定された日に避妊なしで性行為をしてもらいます。

その次が、人工授精です。旦那さんに採精してもらった精子を、カテーテルで奥さんの中に入れます。

そして最後にするのが体外受精、奥さんにホルモン剤を注射して卵子を複数個育ててから採取して、旦那さんの精子と受精させて、再び身体に戻します。

本当にこの体外受精は最後なんです。身体への負担も大きい、やらないに越したことはないんです。」

なんてすっきりとした、論理的な説明だろう。まったくその通り、最初のステップでつまづいていることで、根本的な不妊治療の流れを、知ってはいたのに忘れていたのだ。

夫「そうなんですね、でも最初の病院では2人の先生から体外受精一択と言われたので、そうなのかと思っていました。」

それを聞いて、先生がうっすらと笑った。

先生「前は◯◯病院でしたっけ?まぁ、個人病院はそうでしょうね。体外受精のほうが、高くて儲かりますから。経営も大変ですからね。でも、ここは公益性が大事なので、営利が第一じゃないんです。まぁ、これ以上は言いませんけど。」

ちょっぴり毒のあるセリフ、歯に衣着せぬ物言い、好き嫌い分かれると思うが、私はこの男性婦人科医師の毒舌がだんだんクセになってきた。

先生「治療方針については、お二人でも話し合ってください。とりあえず、内診してみましょう。」

『避妊なしの性行為を、どれくらいしていますか?』

この質問で凍りついていた空気が、先生のきっぱりとした診断と、ちょっと毒のある裏話でもって笑いも生まれ、いつの間にかほぐれていた。

内診室に向かうために、いったん診察室を出た私の心は、診察室に入ったときよりも段違いに軽くなっていた。


さて、この診察の続きは次回に書くとして、タイトルにある『EDについて』私なりに書いてみようと思う。

EDは、男性にとってトップシークレットのスーパーコンプレックスであることはわかっている。

『こんなことを書いて、旦那さんがかわいそう!旦那さんを傷つけることを書いて、なんてひどい嫁だ!』そう言われても仕方ないと思っている。 

でも、私はこのnoteを始めるときに決めたのだ。

私のこの、ぐちゃぐちゃな赤裸々なありのままの気持ちを書いて、私のように未完成婚に悩み苦しむ人たちの参考に少しでもなればいいな、と…。 

夫には、このnoteの存在は絶対に知らせない。私を直接知る誰にも、このnoteの存在は明かさない。墓場まで持っていく秘密だ。

バレなきゃいいって問題でもないことも、わかっている……
秘密に夫のプライベートを明かす罪悪感はあるが、それでも私はこうして書いている。

未完成婚は、つらいから
セックスレスは、つらいから

絶対に、一人で抱え込めるレベルの辛さじゃないから。

自分のためにも、書いている。


EDについて、多くの女性は男性ほどマイナスに捉えてないんじゃないかと思う。

「あっ、最近EDっぽいの?じゃ、一回病院に行ってみれば?」
多くは、そんな反応じゃないかと予想する。

EDには何種類かの薬があるし、改善できる可能性があることは、ある程度の年齢の女性なら、大抵知っていると思うからだ。
(ED薬が効かない、または飲めない体質の人もいると思うが…)

私たち女性が傷つくのは、愛するパートナーがEDだから、ではない。

EDなのに、何もしようともしない、病院に行こうともしない、パートナーがセックスしたいと思っている気持ちを軽んじて、自分がEDであることに向き合わず、ただコンプレックスから逃げてるだけの

無駄に高いプライドだけ守っている、その情けない自己中な姿に幻滅し、傷つくのだ。


セックスは、相互作用だ。一人ではできない。

相手がセックスをしたいと思っている、その立場が男女どちらにせよ、相手が持っている願望を無視することは、その人を大切にしていないことに他ならない。

できなくたって、なんだって、相手の望みを叶えようと、解決策を出そうとじたばたしてる、その様子を見て「自分は大切にされているんだ」と感じ、安心するのだ。

EDがかっこ悪いんじゃない。

EDと向き合わない、その姿勢がかっこ悪いんだ。


EDをパートナーに明かさず、こっそり病院に行って治したいと思う男性もいるかもしれない。

でも、ED薬には深刻な副作用を及ぼすリスクが伴う。ED薬を飲んで性行為をする前には、必ずパートナーに「この薬を飲んでいるからね」と、告知する必要がある。

もし万が一、ED薬を飲んで行為に及び、重篤な副作用が出て救急車を呼ばなければいけない事態になったときは、意識のない男性に代わり、パートナーが「この薬を飲んでいます」と、救急隊員に伝えなければいけない。

ED薬には飲み合わせの悪い薬があり、呼吸困難になった男性を救うために救急隊員が投じた薬で逆に、死のリスクを高める場合があると読んだ。

だから、EDであることは、どうあっても性行為をする相手に打ち明けることになる。

もし、EDを打ち明けて、それがただ無理だというパートナーならば……
そんなヤツなら、とっとと別れてしまえ、と私は思う。

相手がせっかく勇気を出してカミングアウトした悩みであるEDを共有しようとしないなら、そこまでそもそも好きな気持ちがなかった、ということ。長々一緒にいる理由もない。

自分が本当に好きな男ならば、EDが理由で別れようとは大抵の女は思わないはずだ。だって、EDにはチャレンジできる解決策があるから。

もし、EDを理由に別れようという女がいたならば…実は、他に本当の別れたい理由は別にあって、それを隠してEDが理由で別れたいことにしている可能性もある。

それくらいに、EDは別に女にとって、別れる別れない事案にもならないレベルの話なのだと思う。

もう一度言うが、別れる別れない事案になるのは、EDではなく「EDと向き合って、パートナーとの関係をより良くする努力があるのかどうか」だ。

男性としてそそり立つプライドとか、そんなものはいらんのだ。
女が求めているのは、「私と向き合ってくれる優しさと愛」なのだ。


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