反日の幻影に惑わされるな!
江崎道朗『コミンテルンとルーズヴェルトの時限爆弾』(展転社、2012年)
我が国は、戦後80年を迎えた現在においても、いまだ「歴史認識問題」で揺れ動いている。具体的には、「靖国神社に総理大臣が参拝してもよいのか」といった問題である。
さすがに、「太平洋戦争は全面的に日本が悪かった」とする歴史観を持つ人は減少してきたものの、「諸外国を刺激するのは良くないのではないか」と考える人は、依然として多いだろう。
本書は、そうした「諸外国」の反日世論が、中国など一部の国によって煽られた「作られた世論」にすぎないという現実を明らかにする。天安門事件などで国際的非難に晒された中国が、歴史認識問題などを持ち出して日本、日米同盟を強固にさせないようなプロパガンダを展開している、という視点である。
また、大東亜戦争における日本の行動を、アジア独立の一助として評価しているインドネシアなどの国々の存在、さらにはアメリカ国内にも、ルーズヴェルト政権の外交方針に批判的な共和党勢力が存在し、決してアメリカ世論が一枚岩ではなく、「ニューディール連合批判」という点での日米連携は可能であるという事実も描かれている。
加えて、よく問題となる靖国神社の戦後史についても丁寧に論じられている。国会で、いわゆる「戦犯」とされた人々の名誉回復の決議がなされているし、諸外国も、例えば「戦犯」とされた賀屋興宣元蔵相の政治復帰を当然のように認めている。
しかも、諸外国の元首、大使、駐在武官などは靖国神社に何度も参拝しているのだ。
歴史認識問題は、単なる過去の評価ではなく、国際政治を動かす「武器」となり得るものである。「強い日本はアジアを安定させる」と考えるのか、それとも「日本は弱い方がアジアは安定する」と考えるのか。
歴史認識の違いが、現在の政治的行動を大きく左右するのである。
