ART PowerMIX III レビュー ~あると便利な小型ラインミキサー~
今回は非常にコンパクトなオーディオミキサー、ART(エーアールティー)さんの「PowerMIX III(パワーミックススリー)」について紹介させていただきます。
ミキサーと言えばPA音響などで様々な音を集約し、音質を整えてスピーカーに送る役割のものですが、
ニッチなジャンルとして「ラインミキサー」と呼ばれる機材があり、主にライン入力の数を増やすためのサブミキサーとして使われます。
また、ラックマウントできるサイズとなっていて、他の機材と一緒にラックに収めて運用できるようにつくられています。
今回はそんなラインミキサーの中でも最小サイズのPowerMIX IIIを紹介させていただきます。
きっかけ
以前、UR44CをiPadからミキサー操作するのが便利という記事を書きました。
この機能は便利ではあるのですが、UR44Cにはいくつか弱点がありまして、その1つに入力数が少ないという点があげられます。
全部で6チャンネルとなっていて、主に前面の4チャンネルの使い勝手が良くなっているのですが、背面のライン入力はちょっと使い辛いです。
そのライン入力を活用しつつ、少ないチャンネル数を補う方法はないかと探していて見つけたのがPowerMIX IIIでした。
サイズ

PowerMIX IIIの1番の特徴と言っても良いのが、このとても小さなサイズ感です。
そこまで本格的なミキサーじゃなくていいので、ちょっとした複数の音を一か所にまとめたい、という用途のミキサーだと思うのですが、
このコンパクトさが入力をちょい足ししたい目的と合致して、非常に使い勝手が良いです。
PA音響での業務用途に使うのはもちろんのこと、家でPCやゲームの音をスピーカーの接続するために使われる方も少なからずおられるそうで、
このサイズ感なら家庭用としても違和感なく使えるかなと思います。
PowerMIX IIIはラインミキサーと銘打っていますので、ラックマウントも可能です。1Uのラックに収まる高さになっています。
UR44Cと組み合わせる場合はちょうど横の空いているスペースにPowerMIX IIIが収まるので、相性も良いです
(ただし、UR44Cは高さがギリギリ1Uより大きいので、収めるには工夫が必要です)
前面(操作部)

前面にはボリュームを調整するツマミとヘッドホン用の端子が備わっています。
ボリュームの上にある小さなツマミはパン(音の左右のバランス調整)をするためのものです。

さすがにイコライザーまでは備えていませんが、パン機能も削らずに備えていてくれているのが嬉しいですね。
左にはヘッドホン端子が2つあります。ヘッドホン端子からの音質は若干良くないという声もありますので、あくまで確認用として割り切った方が良さそうです。
真正面から見るとどれがどれか分からないので、ラックマウントする際はテプラか何かを使うと混乱せずに済みそうですす。

何となく雰囲気が出るかと思って私は正面にはダイモのラベルを使っています。
裏面(入出力)

裏面には入出力のフォン端子が備わっています。
入力はステレオ3系統(合計6口)となっています。3つもあればサブミキサーとしては十分な入力数かなと思います。
判断が分かれそうなポイントととしては、入出力が全てフォンジャックになっている点があげられます。

使い勝手が良いRCAのピンジャックの方が良いと思う方もおられるかもしれません。
フォンが採用されているのは、おそらく楽器用途を想定してつくられた機材なのだと思います。
フォン端子の方が堅牢なので耐久性という点では期待できるのですが、楽器以外で使いたい方にはやや使い勝手は悪いかもしれません。
解決策としては、変換アダプターをかませることでピンプラグでも入力が可能になります。
ちなみにPowerMIX IIIの兄弟機種として「MacroMIX」というモデルがありまして、こちらはRCAピンジャックになっています。
ただし「出力がモノラルになってしまう」という点がちょっと残念なので私は購入を控えました。
出力モノラルでいいからRCAの方が良い!という方には選択肢になると思います
良かった点 モノラルにも対応
実際使ってみて嬉しい誤算だったのですが、ステレオミキサーではあるものの、モノラル入力をしても音は左右どちらからも音が出ます。
詳しく説明しますと、各入力チャンネルの「L」にだけ音を入力した場合、それは出力の「L」と「R」どちらからも聞こえます。
これができるのは「L」側だけの話で、「R」にだけ入力があった場合は出力も「R」だけです。
実際に使ってみるまでは「L」に入力した音は「L」からしか出ないだろうなと思っていたのですが、
モノラル入力でも左右から音が出せるということは嬉しい誤算でした。
注意点 マイクは入力できない

PowerMIX IIIはラインミキサーなので、当たり前ですがマイクを接続することはできません。
マイクのレベルは非常に低いので、ライン専用のこのミキサーに入力してもとても小さな音しか入力できません。
どうしてもマイクを接続したい場合はマイクプリをかませてレベルを上げる必要があります。
ただ、マイクプリアンプを挟んでまで使うとなってくると、このミキサーのコンパクトさの価値が薄れてくるので、そこまでする意味があるかは難しいところです。
PowerMIX IIIの兄弟機種として「ProMIX」というモデルもあり、こちらはマイクを3チャンネル入力することができます(代わりにライン入力がない)
サブミキサーのラインの入力を増やしたい方はPowerMIX IIIを、マイクの入力を増やしたい方はProMIXを、という感じで使い分けることができます。
できればラインかマイクどちらかだけではなくて、このサイズ感のままマイク2系統ステレオ1系統ぐらいのミキサーがあったら嬉しいと思わなくもないです。
マイクとラインどちらも入力できることを叶えるには、サイズが大きくなってしまいますがARTのMX622が選択肢になってきます。
注意点 完全にミュートできない
PowerMIX IIIの注意点のひとつとして、ボリュームを最小にしてもかすかに音が出力されてしまうという点があります。

この仕様が落とし穴となって、使いたい用途で使えないという方も出てくるかもしれません。
PowerMIX IIIの導入を検討される方はご注意ください。
実際に使ってみて
UR44Cとの組み合わせ
まず最初にUR44Cと組み合わせてみた感想ですが、UR44Cの背面のライン入力は本体で音量調整ができず、ソフト側でしか調整できません。
ですが、PowerMIX IIIと組み合わせることで入力数を補うだけでなくハード側での音量調整ができるようになるので非常に便利です。
先ほども書きましたが、1UのサイズにUR44CとPowerMIX IIIが収まるので、とても相性が良いです。

ただし、マイク入力には対応できないので、UR44Cのマイク入力4チャンネルで数が足りると確定しているときしか使えません。
やはり1口でもいいのでマイク入力もあったらなと思わなくもないです。
これはUR44Cと組み合わせる時に限った話なので、通常のオーディオミキサーと組み合わせて使う場合は問題ないかと思います。
サブミキサーとして
オーディオミキサーと組み合わせた場合、現場ではステレオライン入力が足らなくなることが多いので、サブミキサーとしてのPowerMIX IIIは打って付けです。
事前に知らされていなかった急な持ち込み機材ってライン入力をつかうことが多いです。
例えばスマホから音を出したいであるとか、持ち込みのプレイヤーから音を出したいといった感じです。
急な入力の対応のためにPowerMIX IIIをお守り的に持って行くのも全然アリかなと思います。
入力をまとめる使い方も
現場でCDプレイヤーを交互に使うことが多いのですが、2台のプレイヤーをミキサーにつなぐとステレオ2系統の合計4チャンネル使用するので、
ミキサーによってはそれだけでステレオライン入力が枯渇してしまうことがあります。
ですが、間にPowerMIX IIIをかませれば入力をまとめることができるのでミキサー側はステレオ1系統で済みます。
ラックマウントできることを活かして、業務用CDプレイヤーと一緒にラックに収めておけば配線の作業も省略して持ち込めるので楽になります。
また、音響PAのみならず、家で1つのスピーカーに様々な入力を接続したい場合にもPowerMIX IIIは有効です。
PC・ゲーム・スマホ等々をスピーカーにつなぎたい場合に、いちいちケーブルを抜き差しするのは面倒なので、
PowerMIX IIIをセレクター代わりにして、どの入力をスピーカーに送りたいか選ぶ用途としても使うことが可能です。
まとめ
というわけで、今回はコンパクトなステレオラインミキサーの「PowerMIX III」を紹介させていただきました。
機能は最小限ですが、このサイズ感でステレオが3チャンネル入力できてステレオで出力できるラインミキサーがなかなか無いので、
用途がバシッとはまる方にとっては非常に有用なアイテムになるかと思います。
注意点としてはマイク入力ができない点や完全にミュートできない点があります。
この記事がどなたかの参考になれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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