449『ゼロ打ち』聴評:魑魅魍魎の暗躍する選挙
■Op:外れない相場ってすごくない?
「相場英雄にハズレなし」。
本読みたちの間で囁かれるこの言葉は、決して誇張ではない。
BSE問題を抉った『震える牛』。
非正規雇用の闇を告発した『ガラパゴス』。
巨額の粉飾決算に迫った『不発弾』。
相場英雄のペンはいつだって、誰も触れたがらない社会のタブーへ冷徹に向けられてきた。
その引き金が引かれるたび、我々は現実の醜悪さに直面し、ただ立ちすくむしかない。
今回、彼が狙いを定めた標的は──
投票日の夜、開票率ゼロ%にもかかわらず特定候補の当選が告げられる、あの奇妙な瞬間だ。
業界用語で「ゼロ打ち」。
民主主義の祭典という虚飾の裏で、どれほど醜悪な利権が渦巻き、オールドメディアが自尊心のために魂を売っているのか。
本書はその危険な癒着を暴き、泥沼で抗う人間の姿を描き出す社会派サスペンスの傑作である。
相場英雄の新たな弾丸は、今回もこの国の暗部を正確に撃ち抜いた。
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