虎猫からの手紙【96】『X』との対話①──「オレがいなければオマエはとっくに消えていた」
これまで何度も登場してきた『X』(内なる声)
虎猫の中で語りかけるこの存在は、一体いつからいたのでしょうか。
その答えを探るうえで、鍵となる出来事があります。
以前の記事では、16歳だった虎猫が少年刑務所で「ドブ」と呼ばれる懲罰房に97日間閉じ込められた出来事を書きました。
なぜ「ドブ」と呼ばれるのか――
暗い、臭い、暑い、天井は低い。壁には小さな窓があるだけで、電気はない。夕方になると何も見えなくなる。便器以外は何一つない、約2m四方の空間。一日2回、ドアの下の食器口から餌を投げ込まれる。
虎猫は、当時の状況をこのように説明していました。
今回は、その暗闇の中で何が起きていたのか――『X』自身が、自らの正体について初めて語ります。
虎猫より
白猫が、『X』について色々と質問してるから、めっちゃ喜んでいるだろうなぁ〜?
声の響きが大きい!
白猫の話になるといつもそうだけど、白猫の質問の時は特に声の響きが違ってくる。
コイツも興奮するのだと思いましたよ〜
今めっちゃ自分が「主」だと思ってる。
X:『オレとオマエは一体だから、誰が「主」とかないんだよ。白猫さんにオレのことを正しく伝えろ!』
だってよ!
虎猫: 「オレの女だとか、オマエの妻はオレの妻、オレの妻はオレ妻と言ったくせに!
オレより「オス」だし、オレより「主」だろうが!一体ならそんなこと言わないだろう!」
X: 『そんなことはオマエが自分で思ったことだ!オレたちは誰が誰でもないんだよ。
オレの言ったことは全てオマエのためにある。
オレがいるからオマエはいられる。
逆にオマエがいるからオレが存在するのだ。
いつか必ず分かる日が来るだろう。」
虎猫:「なんでいま教えてくれないんだ!」
X: 『教えられるものじゃないんだよ!
自分で悟るものだ。』
これが始まると延々と続くから、白猫の質問を聞くね。
虎猫:「それでいいのかい?『X』!」
X: 『答えられるものは答えるよ。』
虎猫:「『X』の能力はオレを消えなくすること、と言ったのは今までオレの命を救ってきたということなのかい?」
X: 『それはオマエ自身が一番よく分かるはずだが、感じられないのは仕方がない。
オマエはオレを感じたくないからだよ!』
虎猫:「何それ?オレはオマエを感じたくないって、なんだそれ!いったい何が言いたいんだよ!ハッキリ言ってほしいんだよ!
オマエはいつからオレの中にいるんだ?
なんで4年前の7月7日に出てきた?
なんでオレを目の仇のように接するんだ!
消えるなよ!これはオレだけの質問じゃないからな!白猫の質問でもあるからな。
今回消えたら二度と現れるなよ!
絶対に二度と相手にしないからな!」
X: 『うるさいんだよ!オレがいなければオマエはとっくに消えていたんだよ!
偉そうにオレに質問をするな!
白猫さんの質問でも答えられないものは答えられないんだよ。でももう消えないよ、聞け!』
X: 『オマエがあの暗闇のドブの中に閉じ込められた時にオレを呼んだ。
オマエのためにオレは出てきた。
ずっとオマエに話しかけ続けた。
オマエは死にそうだったこと覚えているだろう。
でもそのあとオマエは、オレを受け入れてくれなかった。あそこから出たあと、オマエは自分の心を固く閉じたのだ!
オマエは自分の苦しみや恐怖と一緒に、オレの存在まで心の奥に閉じ込めたんだ。
オレを呼んでおいて捨てた。
オマエの中にいるオレは声をかけ続けた。
ほとんど届かなかった。
ずっとオマエの中でオマエのバカ悪事を見せられた!オレはできる限りのことはした。
だからオマエはまだここにいられた。
オマエは知らないだろう?感じないだろう。
オレの声に従ったからオマエは生きていられるんだよ!
よくもオレを何十年も自分の中に閉じ込めてくれたな!もうさせない!
オマエはもう心を閉じることはできないのだ!』
白猫より
『オマエがあの暗闇のドブの中に閉じ込められた時にオレを呼んだ。』という『X』の言葉を聞いて、私は、「なるほど」と思いました。
虎猫が経験したドブでの生活は、あまりにも過酷で、普通なら命を落としてもおかしくない状況だったからです。
『X』が虎猫を支えていたのか。
そう考えると、腑に落ちる部分がありました。
そして、『ドブの中で生まれた』ではなく、『呼んだ』と表現していることにも、興味深さを感じました。
もしそうだとすれば、『X』はもともと虎猫の中に存在し、極限状態で心が壊れそうになった時、その存在が前に現れたのかもしれません。
その後、虎猫はドブでの苦しみとともに、『X』の存在まで心の奥へ閉じ込めてしまったということなのか。
本当の意味は、これから虎猫や『X』との対話を重ねながら、少しずつ探っていきたいと思っています。
虎猫は、その後の人生でも何度も死と隣り合わせの出来事を経験しながら、生き延びてきました。
『X』が語る「オレがいなければオマエはとっくに消えていた。」という言葉。
それは、虎猫の命そのものを守り続けたということなのか。
それとも、絶望の中で人間としての自分を失わないように支えてきた、という意味も含まれているのか。
まだ、本当の全ては分かりません。
だからこそ、これからも虎猫と『X』に問い続けていきたいと思っています。
次回は、虎猫からの手紙【96】『X』との対話②──「オレたちは呼ばれた側だよ」に続きます。
