虎猫からの手紙【87】仮釈放という現実①──反省ではなく危険性が問われる
無期懲役の仮釈放面接について調べ、虎猫に伝えました。
釈放は決して簡単ではないことを、現実的に考える必要があると思ったからです。
虎猫より
今まで「罪と真摯に向き合い、偽りのない反省の心で臨めば、いつかは理解してもらえるだろう」と思っていたのは、本当に甘かったね。
人の命を奪った罪の重さは、この段階になってもなお、はっきりと思い知らされますね。
改めて、無期懲役の仮釈放に対する向き合い方そのものを、考え直さなければならないと思いました。
審査で問われるのは「どれだけ反省しているか」ではなく、「この人を社会に戻しても、もう危険はないかどうか」
それを証明できるかどうかで、ほぼ決まるのね。
ただ、これをどうやって証明すればよいのか。
話を信じてもらうしかないと思うけど、それは自分が、どれほど真剣に罪と自分の心と向き合ってきたかにかかっていると思うんだよね。
審査官の方々はプロだから、口先だけのアピールは見抜かれてしまう。
彼らが重視するのは、「この人の話は現実として成立しているか」というより、「この人の話に宿る思いは、信用できるかどうか」という点ではないかな。
30年以上の長い服役生活の中で過ごしてきた、その人の内面を特に見るのだと思う。
「なぜ事件を起こしたのですか?」
「今、被害者に対してどう思っていますか?」
この二つは、裁判のときから今日まで、何度も何度も繰り返され、私自身も自分の心に問い続けてきました。
私は、「自分の弱さがすべてを招いた」としか答えられなかった。
仮釈放の面接でも、同じことを言うに違いないと思います。
被害者の苦しみや悲しみは、いくら想像してもその領域でしかないのです。
実際に同じ体験をしなければ、実感できないものですが、それでも自分が被害者なら、どんなことを思い、どんな苦しみ、痛みを感じるか。
突然大切な人と永別させられたことへの強い憤りや悲しみを自分に置き換えながら、何度も何度も被害者の心情を理解しようと考えました。
私が被害者なら、こんな形で命を奪われたことを絶対に許せない、怒りと恨み、悲しみや無念さを感じると思います。
自分が何を起こしたのかを、被害者の立場で考えれば考えるほど、自分が犯したことの重大さ、影響の大きさを思い知るのです。
被害者の心情を完全に理解することはできませんが、私はこの形でその思いと向き合うことしかできない。
答えはないが、「申し訳ない」と、被害者が感じたであろう思い、その感情を一生背負い続けていくしか道がないと思いました。
これは、変わることのない被害者に対する思いなので、15年後の面接でも、同じことを言うでしょう。
他の質問は、状況に応じて正直に答えていくしかないと思います。
出所後の環境や、支えてくれる人は白猫のことを正直に話します。
「今の自分は昔と何が違いますか?」これも、違う自分を正直に答える。
私は、内面より外的な環境が問われそうだね。
実際に、白猫がいなければ社会には誰もいない状態ですからね。
妹たちのことは、もう考えないほうがいいと思います。そこはどうにもならないよね。
出所後の生活は、私たちの養蜂と農園作りだね。これもこのまま言うしかない。
「再犯のリスクの自己分析」は何を言えば良いのか?
私は、自分の感情に対して抑えることができるようになったこと。
裏社会という環境にはもう絶対に戻らないこと。
そして、白猫がいるので私は孤立しないし、家庭という居場所があります。
自分が崩れる条件は、白猫が被害を受けたこと以外にないです。
金銭的なトラブルで、人を傷つけることは、被害者への思いを背負っている限り絶対にありません!
あと、支援者を現実に得るのは難しいと思います。外国人の場合でも、日本の支援団体を利用しても大丈夫ですか?
こうやって実際に見てみると、無期の釈放は本当に難しいことが分かるよね。
考えることや、現実的に準備することは沢山ある。今まで、「その時はその時で」と、成り行き任せに考えていたのは、本当に甘かったなと思います。
面接時の質問や、必要な心構え、現実的な準備が分かると、本当に心強くて助かるなと感じました。これを知るのと知らないとでは、天と地ほどの違いと言ってもおかしくないよね。
ありがとうね〜白猫!
この釈放に関する情報を、ノートに写していきます。これから必ずやってくる仮釈放の面接に必要なことなど、一緒に考えて計画していこうね。
白猫より
虎猫がこうして自分の思いを率直に語ってくれたのは、罪と真摯に向き合い、仮釈放という現実を改めて見つめ直そうとしている姿の表れだと、私は感じています。
ただ、手紙の言葉の端々に、まだ「危うさ」が残っていることも見て取れます。
一つは、「自分の弱さがすべてを招いた」という言葉です。
そこには自分を厳しく見つめる心はありますが、「弱さ」という一言だけでは、人が人を傷つけるまでの過程を説明しきれていないように思います。
もう一つは、「自分が崩れる条件は、白猫が被害を受けたこと以外にないです」という部分です。
これは率直すぎて、とても危ういです。
読み方によっては、「白猫が傷つけられたら、再び法を踏み越える」という自白にもなりかねません。
彼には少年の頃、大切な存在が傷つけられたとき、強い感情に突き動かされて行動してしまった経験があります。
そのため、この部分については今後も丁寧に向き合い続ける必要があると考えています。
これらの危うさは、彼が物事を真剣に受け止める性格や、人への思いの強さとも無関係ではないように感じます。
だからこそ、その点を自らがはっきりと自覚し、トラブルを避ける生き方を選び、心が揺らいだときでも衝動に任せず理性的に対処できるようになることが、最も大きな課題だと思います。
虎猫は「気になる点があれば教えてほしい」と望んでいましたので、率直な思いを伝えました。
今後は彼の反応も記事にし、そのやり取りも記録していきたいと思います。
仮釈放の審査は厳しい道のりですが、お互いの思いや不安を隠さずに伝え合いながら、これからの生き方を一緒に考え、備えていきたいと願っています。
