虎猫からの手紙【63】私たちが知るべき世界─「無関心」が最も深刻な社会問題である
世界の社会問題に関心を向け始めた虎猫に、
「リアルな現状を知ってほしい」そう願い、一冊の本を贈りました。

虎猫の手紙
「知らないほうが、幸せに生きられたかもしれない」
本の冒頭にあるこの言葉の意味を、読み進めるうちに、なるほどと思うようになりました。
これまで分かっていたつもりでいたことが、実はまったく違う側面が存在していたこと。
そして、その違う一面こそが真実であることに、衝撃を受けた。自分の無知さや無学を、思い知らされることになった。
数ページ読むだけで、視界がどんどん広がっていく感覚があった。
同時に、自分たちの都合による思い込みの中でしか物事を考えられない、人間の思考の狭さに落ち込みました。
私も、その一人なのです。
「善意は、ときに悪意よりも恐ろしいものになり得る。その行為が誰かを苦しめることにつながっていたとしても、気づきにくいからです。」
この言葉は、心に深く残りました。どこか切なさも感じました。
被災地に千羽鶴がいらないという話は、現実的に考えればもっともです。けれど、それが思いやりであることも、また事実ですよね。
ただ、ニーズのない寄付は、結果的にゴミを押し付けることと同じになる。
それもまた、紛れもない事実なのです。
関心があると思っていたことが、私はあまりにも実態を知らなすぎた。
断片的な知識や思い込みでしか、この世界を見ていなかった。
この本に出会わなければ、私はいつまでも、自分の狭い思い込みの世界に閉じ込められていた。
これまでの人生で私は、社会を脅かす存在、問題を生み出す側にいたが、
白猫は私を「社会問題を解決する側」に意識を向けさせてくれた。
社会問題に貢献したいという課題は、以前の私の中には存在しないものだった。
それが今では、人生の一つの目標になっています。
とはいえ、
「何をすればいいのか」
「この社会や世界は、一体どんな問題を抱えているのか」
正直なところ、私はほとんど何も知らなかった。
難民、紛争、戦争、気候変動。
テレビや新聞で断片的な情報に触れ、それで分かったつもりになっていただけでした。
刑務所にいても、社会問題とは無縁ではありません。私たちの生活は、社会や環境に、何らかの負担や犠牲を与えることで成り立っています。
これまで無関心だったけど、社会の実態を知った今は、自然と意識するようになりました。
特に衝撃だったのは、アフリカの貧困についてです。そこには、想像以上に多くの要因が絡み合っていました。
善意による寄付や支援が、現地の産業に打撃を与え、人々に迷惑や被害をもたらしている現実。
良いことだと信じてきた行為の裏側で、別の問題が生まれていると知ったとき、物事の見え方は180度変わりました。
先進国で大量生産・大量消費された古着が、さまざまな名目でアフリカへ流れ着く。
その量は、到底消化できるものではない。
結果として現地の産業と環境を破壊し、経済的自立を奪っている。
その事実を、先進国のアパレル産業が知らないはずがない。
立ち上がろうとしたアフリカを、今度は超大国が潰しにくる。
とても悲しい現実です。
先進国の一部は、構造として官民一体となって正義の仮面を被り、アフリカ人の血を吸い取る吸血鬼の群れのようだと感じた。
援助や寄付を表でうたいながら、その裏にある思惑は欺瞞的だ。
もちろん、貫太さんのように、本気で助けたい人が多くいることも事実だと思います。
しかし同時に、アフリカを食い物にしている国があるのも、また事実なのです。
コンゴで起きた紛争では、約600万人以上の犠牲者が出ており、その多くが飢餓や医療機会の欠如によるものだと書かれていました。
一方で、世界では毎年13億トンもの食料が、まだ食べられる状態のまま廃棄されている…
なぜ、こんなにも歪んだ世界なのかを考えずにはいられなかった。
紛争と貧困の原因が、豊富な天然資源を持つがゆえの「資源の呪い」であるという事実も、皮肉だと思った。
その資源を巡り、先進国の介入や現地での争いが貧困を生み出している。
一部の権力者と外国企業に独占され、アフリカに眠る豊富な資源を収奪する巧妙な仕組みによって、国民がその恩恵を受けられない。
さらに、紛争地域でレイプが武器として使われているという記述を読み、これはフィクションであってほしいと願った。
でも実際にいま、起きている事実なのですね…
人間はなぜ、ここまで獣になれるのかと、言葉を失いました。
もう、無関心ではいられない。
いま世界が直面している社会課題を、偏った情報や断片的な知識ではなく、その裏側にある実態を正しく見ることが必要不可欠だと思いました。
刑務所の中にいても、社会問題とつながっている。
それを伝え、考え続けることが、自分自身が関心を持ち続けるためにも大切だと思っています。
「人々の無関心が、最も深刻な社会問題である」
この言葉は、とても響きました。
白猫より
「いい話」より、「本当の話」が知りたい。
感情ではなく、構造で考えたい。
この本は、SDGsをきれいごとにしない一冊だと思います。
私たちは、「かわいそう」「支援すべき」という感情だけで、世界を見るべきではありません。
「助けたい」という気持ちより先に、何が起きているのかを正しく見る力。
それは「支援する側」ではなく「共に生きる側」に立つ視点でもあります。
人々を、意思と誇りを持つ生活者として見ること。
その視点を欠いた支援は、たとえ善意であっても「構造的暴力」になり得ます。
「本当の支援とは何か」
それを考える上で、ぜひ手に取ってほしい本だと思いました。
