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今週のフラクタル135 (cz(z-1))

どうも、108Hassiumです。

今回は$${cz(z-1)}$$に関するフラクタル図形をお届けします。

cz(z-1)

☝cz(z-1)のマンデルブロ集合(z_0=1/2,a=-2~2)
☝cz(z-1)のマンデルブロ集合(z_0=1/2,a=-5~3)

マンデルブロ集合は点対称(上下対称なので左右対称でもある)ですが、中心点は$${c=0}$$ではなく$${c=1}$$の点になっています。

ちなみに、この関数はロジスティック写像として知られる$${cz(1-z)}$$の$${c}$$を$${-c}$$に書き換えたものと一致します。

☝cz(z-1)のマンデルブロ集合(1.833048+0.008677i付近の2000000倍拡大)
☝cz(z-1)のマンデルブロ集合(1.359564+0.180137i付近の2000000倍拡大)
☝cz(z-1)のマンデルブロ集合(-0.98159+0.213109i付近の2000000倍拡大)
☝cz(z-1)のマンデルブロ集合(1.827295+0.000635i付近の20000000倍拡大)

拡大図です。

☝(-0.86+0.55i)z(z-1)のジュリア集合
☝(0.35+0.95i)z(z-1)のジュリア集合
☝(0.99+0.15i)z(z-1)のジュリア集合
☝(-0.97+0.25i)z(z-1)のジュリア集合
☝(0.02+i)z(z-1)のジュリア集合

ジュリア集合です。

以下の記事で説明した通り、2次関数のジュリア集合は全て$${z^2+c}$$という形の関数のジュリア集合と相似なので、この関数のジュリア集合も$${z^2+c}$$のものとよく似ています。

☝(-0.56+0.83i)z(z-1)のジュリア集合(90周期)
☝(0.76+0.65i)z(z-1)のジュリア集合(111周期)
☝(0.83+0.56i)z(z-1)のジュリア集合(111周期)
☝(-0.01+i)z(z-1)のジュリア集合(157周期)
☝(1.54+0.02i)z(z-1)のジュリア集合(196周期)
☝(-0.33+0.95i)z(z-1)のジュリア集合(196周期)

いつもの実部と虚部の小数点以下が2桁以下の長周期パラメータTOP5です。

なお、今回はマンデルブロ集合の対称性を考慮して集計範囲を「$${0\leq\text{Im}(c)}$$かつ$${-1\leq\text{Re}(c)}$$」としています。

☝(0.96+0.28i)z(z-1)のジュリア集合
☝(-0.96+0.28i)z(z-1)のジュリア集合
☝(0.8+0.6i)z(z-1)のジュリア集合
☝(-0.28+0.96i)z(z-1)のジュリア集合

無限周期のジュリア集合です。

変な対称性

前述の通り、$${cz(z-1)}$$のマンデルブロ集合は点対称(上下にも対称なので左右対称でもある)です。

$${c\left(\frac{z^3}{3}-z\right)}$$や$${c\left(z+\frac{1}{z}\right)}$$とは違って周期分布も対称になっているのですが、ジュリア集合を並べて比較してみると奇妙なことになっています。

☝(-1.99+i)z(z-1)と(-0.01+i)z(z-1)のジュリア集合(x=-0.5~1.5)

見ての通り、対称な位置にある値から生成されるジュリア集合は相似ではあるものの合同にはなっていません。

$${cz(z-1)}$$と同じ「点対称かつ線対称」というマンデルブロ集合を生成する関数といえば$${z^3+c}$$や$${c\left(\frac{z^3}{3}-z\right)}$$等がありますが、それらの関数のジュリア集合ではこういった現象は見られませんでした。

※☟$${z^3+c}$$に関する記事

※☟$${c\left(\frac{z^3}{3}-z\right)}$$に関する記事

この現象を分析するには、ジュリア集合マンデルブロ集合の合同・相似変換を両方とも考える必要があります。

$${g(z)=az+b}$$とするとき、$${f(z,c)}$$のジュリア集合とマンデルブロ集合について以下のような性質が成り立ちます。

  • $${g^{-1}(f(g(z),c))}$$のジュリア集合は$${f(z,c)}$$のジュリア集合と相似

  • $${g^{-1}(f(g(z),c))}$$のマンデルブロ集合は$${f(z,c)}$$のマンデルブロ集合と合同(位置関係も同じ)

  • $${f(z,g(c))}$$のマンデルブロ集合は$${f(z,c)}$$のマンデルブロ集合と相似

また、相似変換の相似比はいずれも$${|a|}$$に依存し、相似比が1になるのは$${|a|=1}$$のときで、特に$${a=-1}$$の場合は180度回転(中心は$${b}$$に依存)になる、という性質がありました。

※マンデルブロ集合の合同・相似変換を考える上では臨界点についても考えなければならないことがあるのですが、今回はあまり気にする必要が無かったので無視することにします。

まず、

  • $${f(z,c)=cz(z-1)}$$

  • $${a=\frac{-c-2}{c}}$$

  • $${b=\frac{c+1}{c}}$$

  • $${g_1(z)=az+b}$$

…として$${g_1^{-1}(f(g_1(z),c))}$$を計算します。

$${g_1^{-1}(f(g_1(z),c))\\=\frac{1}{a}(c((az+b)^2-az-b)-b)\\=acz^2+(2bc-c)z+\frac{1}{a}(b^2c-bc-b)\\=(-c-2)z^2+(c+2)z\\=(-c-2)z(z-1)}$$

以上より、$${g_1^{-1}(f(g_1(z),c))=f(z,-c-2)}$$が成り立つことがわかります。

この式の左辺である$${g_1^{-1}(f(g_1(z),c))}$$のマンデルブロ集合は$${f(z,c)}$$と全く同じですが、右辺の$${f(z,-c-2)}$$のマンデルブロ集合は$${g_2(z)=-z-2}$$という関数で相似変換をしたものです。

詳しく言うと、$${g_2(z)}$$による相似変換は「$${c=-1}$$を中心に180度回転」という操作になっています。

この変換の結果が$${g_1^{-1}(f(g_1(z),c))}$$と一致するということは、$${cz(z-1)}$$のマンデルブロ集合は「$${c=-1}$$を中心に180度回転」という操作をしても何も変わらない、つまり$${cz(z-1)}$$のマンデルブロ集合は$${c=-1}$$について点対称であるということがわかります。

次は、この現象をジュリア集合の視点から見てみます。

先述の計算結果により、$${f(z,c)}$$と$${f(z,-c-2)}$$のジュリア集合が相似になることがわかります。

そして相似比は$${g_1(z)}$$の$${z}$$の係数である$${a}$$の絶対値に依存するわけですが、$${a=\frac{-c-2}{c}}$$なので$${|a|}$$の値は1以外の値をとり得ます。

ということは$${f(z,c)}$$と$${f(z,-c-2)}$$のジュリア集合は相似であるものの合同ではない、という現象が起きることになります。