第7回|日本ブランドは、ミラノで何を見せていたか② ミラノデザインウィーク2026レポ
第7回は、日本を代表するラグジュアリーブランドLEXUSの展示について書きたいと思います。
毎年楽しみにしているブランドの1つです。
今年もトルトーナ地区のSuperStudio Più が会場でした。
入口に大きく掲げられていたテーマは、「SPACE」。

LEXUSの展示は、毎年かなりコンセプチュアルな印象があります。
クルマそのものを見せるというより、ブランドの思想や未来の移動体験を、光、音、映像、素材、空間構成によって表現する。
自動車メーカーの展示でありながら、かなりインスタレーションに近い。
今年のテーマ「SPACE」も、モビリティを単なる“空間”と捉えるのではなく、移動中の時間、余白、身体感覚まで含んだ言葉として使われていました。
入口を抜けて最初に現れたのは、ヨットの模型でした。

公式資料では 「LEXUS Catamaran Concept」 として紹介されています。
LEXUSの展示なのに、いきなりクルマが出てこない。
LEXUSは今回、陸・海・空がシームレスにつながる未来のモビリティを提示しており、移動を単なる交通手段ではなく、生活を豊かにする体験として捉えていると説明しています。(トヨタ自動車株式会社公式企業サイト)
つまりこのヨットは、「LEXUSが船をつくりました」という話ではなく、移動する空間の可能性を、クルマの外側まで広げる、という提案でした。
メイン展示は LS Concept
そして、展示の中心のターンテーブルに置かれていたのが、2025年のジャパンモビリティショーで発表された LEXUS LS Concept でした。

これは、個人的には少し意外でした。
これまでのLEXUSのミラノ展示は、抽象度の高いブランドイメージの提示が多かった印象があります。
もちろん今年も、360度映像、音、光による没入型の演出はありました。
しかし、今年は明確に“車両そのもの”が展示の中心にありました。
イメージより現物へ。
コンセプトより実車へ。
そんなシフトを感じました。

公式発表でも、今回の展示はLS Conceptに着想を得たインスタレーションであり、LSの“S”は、これまでの“Sedan”から、これからは“Space”を意味するものになる、という考え方が示されています。(トヨタ自動車株式会社公式企業サイト)
LEXUSは、クルマを“移動するための道具”ではなく、“人が過ごすための空間”として再定義しようとしているように見えました。
Discover Together 2026
展示の最後には、LS Conceptの室内空間を、クリエイターたちがそれぞれの視点で解釈した作品が並んでいました。
これは 「Discover Together 2026」 という共創プロジェクトで、2026年のテーマは 「Discover Your Space」。
4組のクリエイターチームが、LS Conceptから着想を得て、それぞれの“自分だけの空間”を表現しています。(Lexus EU)

こちらはイタリアのGuardini Ciuffreda Studioによる 「WEARABLE SPACE」。
光ファイバーを縫い込んだコートによって、身体そのものが空間を生み出すという作品です。

林響太朗さんと黒谷優美さんによる 「VISIBLE INVISIBLE」。
茶室をモチーフに、光の移ろいによって時間と空間を感じる作品です。
茶室の要素を現代的な映像と光で表現していました。

Random Studioによる 「A Moving Sanctuary」。
柔らかなポッドの中に横たわることで、光と音に包まれる、ヒーリングポッドのような空間です。
自動運転の移動中の時間を、ただの待ち時間ではなく、自分を整えるための時間として捉え直しているようでした。
まとめ
イメージより現物に。
コンセプトより実車に。
今回のLEXUS展示を見て感じたのは、これまでのような抽象的なブランドイメージの提示から、より具体的なモビリティ提案へと軸足を移している、ということです。
「これからLEXUSは、こういう移動空間を提案していく」という意思が、かなり具体的に伝わってきました。
特に欧州の来場者に向けて、LEXUSが単なる日本発のラグジュアリーブランドではなく、次のモビリティのあり方を提示するブランドであることを、より明確に、具体的に示そうとしていたのではないか、と感じます。
