見出し画像

Jazzの歴史と進化について

意外とジャズの歴史って対面だと語ることがないので、もういっそのこと、ここにざっくりまとめてみます。

Jazzの歴史は、「音楽理論の拡張の歴史」とほぼイコールだと思っているので、当時の演奏を聴きながら、サウンドが新しくなっていく様に注目していただけたらと思っています。



Big band

1940年代半ば、デューク・エリントン楽団やカウント・ベイシー・オーケストラをはじめとするBig bandが精力的に活動を行い、当時のSwing Jazzを牽引していました。

今ではセッションでお馴染みの曲ですね。

その最中、NYのライブハウス「Minton's Playhouse」で2人の天才が出会いました。

Charlie ParkerDizzy Gillespieです。

Charlie Parker
Dizzy  Gillespie

この2人が完成させたコンボスタイル(小編成の演奏)が、Bebop(ビバップ)と呼ばれる音楽ジャンルです。


Bebop

Bebopの特徴として、8分音符や3連符を多用していることや、裏拍を意識したリズムであることが挙げられます。
またアルペジオやジャンプを多用していることから、ソロフレーズだけでコード進行が聞こえてくるといったことも特徴的です。

黒本2 p24収録

情報の密度がすごい。

Bebopは当時爆発的に流行し、ジャズプレイヤーの標準語とまで言える立ち位置となりましたが、そのあまりに難解すぎる性質と1955年にCharlie Parkerが逝去したこともあり、1950年代半ばになると急速に勢いを失っていきました。

そこでBebopから派生した2つの新しい音楽ジャンルが生み出されました。
Hard bop(ハードバップ)Modal Jazz(モードジャズ)です。



Hard bop

Hard bopの歴史はArt Blakey & The Jazz Messengersが牽引していきました。

Hard bopは、トランペット、テナーサックス、トロンボーンを中心とした2〜3管のリッチなハーモニーキメダイナミクスを作曲に取り入れていることが特徴的です。

Bebopよりも情緒豊かで、キャッチーなサウンドといえると思います。

黒本p123収録

Bebopからの揺り戻しでメロディは比較的シンプルなものも多いです。


Hard bopの進化

Hard bopの進化はめざましく、1958年にJohn Coltraneによって発表された"Blue Train"によってHard bopは一つの到達点に至ります。

黒本p140収録

よりコードは複雑にハーモニーは豊かになっていきます。

Art Blakey & The Jazz Messengersも1960年以降、Wayne ShorterFreddie HubbardCedar Waltonなどメンバーを入れ替え、さらにアフロキューバンなどの新しいリズムや後述するModal Jazzの手法を取り入れ進化を遂げていきました。



Modal Jazz

1959年、Miles Davisによって発表された"Kind of Blue"によりModal Jazzの歴史は始まりを迎えました。

特徴的なのは、既存のコード進行という概念から完全に脱却したことです。

黒本p191収録

Aセクションの8小節はずっとDm7で表現されています。

これによりコードの変化による劇的な進行、解決感から解き放たれ、飛躍的に自由なアドリブを行えるようになりました。

またModal Jazzの新奇性はスケールにもあります。

Miles Davisはクラシックよりもはるか前の、中世の教会音楽から着想を得て、7つの教会旋法(Modal Scale、モーダルスケール)を作曲やアドリブに取り入れました。


教会旋法

Cメジャースケールから7つの教会旋法を見出せる

教会音楽の時代には、現代におけるメジャースケールやマイナースケールといったものは定まり切っておらず、現代よりも多くのスケールが存在していました。

7つの教会旋法は1つのメジャースケールにおいて、どの音を主音(開始音)を取るかによって派生していくとも考えられます。

最終的にこの7つのスケールのうち、Ionian scaleとAeolian scaleはそれぞれメジャースケール、マイナースケールとして現代にも残っています。

Milesはこの"失われた"スケールを現代に呼び戻すことで、新しい音楽を追求していきました。


より厳密には、初期のModal Jazzは二つのコードによって、スケールを特徴付けようとしていました。
So whatでは、Em7とDm7を交互に引くことでD Dolian Scaleを表現しています。

4度積み(Quartal harmony)という新しいコンピングもこの時広まっていきました。(通常のD F A Cとは異なり、D G C Fとコンピングする手法)


Modal Jazzの発展

Modal Jazzはその後、様々な作曲に取り入れられ1960年代を象徴するサウンドになりました。(一方で、既存のコード中心の作曲のことはChordal Jazzと呼ばれるようになりました。)

特にModal Interchangeという手法により、新しいコード進行が作曲に取り入れられるようになりました。


Modal Interchange

Modal Jazzにより7つの教会旋法を作曲に用いることができるようになり、新しい音楽理論が形成されるようになりました。

今まではメジャースケール(Ionian scale)と平行調のマイナースケール(Aeolian scale)の2つを、同じ調と捉えていました。

Modal Interchangeでは、同主調(?)の7つの教会旋法を、調という枠組みを超えた一つのモードとして捉えることができ、自由に行き来することができます。

この7つのスケールを"転調"ではなく、同じグループとして捉える。

これにより既存のChordal Jazzの作曲においてもノンダイアトニックコードの使い方がより洗練された形で巧みに用いられるようになりました。



もっと知りたい人へ

Wayne Shorterの生涯についてのドキュメンタリー映画、"Zero Gravity"のエピソード1で詳しく描かれています。結構面白いのでおすすめです。

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0BX3YT161/ref=atv_dp_share_cu_r

Apple Musicのプレイリストもついでに載っけます。いい曲集めたからよかったら聴いてね。


いいなと思ったら応援しよう!