人は何度でも別の自分になれる ジェーン・フォンダの第三幕
自分の過去を振り返って考えると、“自然体でありながら、揺るぎのない芯を持った女性”に惹かれてきた気がする。あえて目立とうとはせず、女性性を前面に出すのでもなく、気づけば静かにそこにいて、歩いた後ろに信じる道が出来上がってきたような人物像。その視点で見ると、今回のジェーン・フォンダは、全くの別サイド。有名俳優を父に持ち、その後舞台女優になるも、母の死が父の浮気が原因だと知るや、父を許せず葛藤を抱えたまま同じ俳優人生を歩む。ある時は反戦運動家、またある時は、エアロビクスで大儲け。恵まれた有名人であるにも関わらず、常に怒りが行動の中心にあり、かつ利益をあげていくというイメージ。それは私の憧れではなかったし、どこか疑いを持って観察していた、という感じだろうか。
ところが今、人生100年、または120年といわれる時代。ジェーンも80代後半、現在現役(1990年代後半に一度引退するが、2005年に女優復帰)。そのキャリアの裏側で、父との確執、摂食障害、癌を乗り越えた今の彼女の姿には、“変化し続ける生命力としての美”を感じる。かつて主演男優賞を渇望する老いた父に、映画『黄昏』(1981年 マーク・ライデル監督)をプロデュースして二人は初共演。父と娘の確執を扱った戯曲の映画化である。その甲斐あって父ヘンリー・フォンダは、ついに初受賞。その翌年、父は他界。彼女が“時間”に対して正確に、誠実に生きてきた証である。自身が60歳を過ぎてからは、人生を「第三幕(Third Act)」と呼び、自己形成時代の第一幕、社会的役割時代の第二幕、そして再編集の第三幕とし、人生を総括する時間に焦点をあてる。過去の理解をやり直し、家族的、社会的役割から解放された本当の自由を謳歌していく。“人生は後半で意味をもつ”かの如く。美容院へ行けないコロナ禍ではグレイヘアになったり、82歳でスローエクササイズのTikTokを始めたり、何度でも別の自分になって輝く。若き日(私には)“自然体”に見えなかった彼女が、それぞれ全女性の自然体を大らかに許してくれるかのようだ。
自分の中にあるホンモノ(核)を大切にしてきた私にも、時は別の自分を照らす日もあるのだと、変わり続けるジェーン・フォンダをみて思う。
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