「先生は商売だから⋯」と言った中3娘が、覚悟を決めた!
前回の続きです。
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中3娘、腹をククレカレー🍛だそうで
「ここで腹をくくれ!!」
塾長先生にそう言われても、
娘はまだ迷っていた。
塾長先生が勧めるトップ高校を受けるのか。
それとも、自分が希望していた高校を受けるのか。
そんな娘が、私に言った。
「塾長は商売だもんね。
そりゃ、トップ校へ入ったほうが、
先生は塾の実績上、今後のためにも助かるもんね。
公立のトップ校に合格した生徒が出れば、塾の宣伝にもなるし。
だから、
私を受けさせたいんじゃない?」
私は黙って聞いていた。
確かに、そういう面はあると思う。
塾長先生だって経営者だ。
実績は大事だろう。
公立のトップ校に合格した生徒が出れば、塾としては大きな実績になる。
私だって、
「娘を実績にしたいのかな」
と思ったことはある。
だから、
「そんなことないよ。
先生はあなたのことだけを考えてるよ」
なんて、簡単には言えなかった。
すると娘は、さらに言った。
「だって、
仮にそこ落ちたって先生は困らないじゃん。
先生が受験するわけじゃないし。
落ちても
『ごめんね』って言えば終わりでしょ。
でも私は、そうはいかないもん。
落ちたら、その高校には行けないんだよ。
そしたら、行きたくない併願校に行くしかなくなるんだよ?」
……確かに。
娘の言うことは、もっともだった。
かといって、
塾長先生のことを完全に疑っているわけでもなかった。
そこが、また難しいところだった。
私も、
「実績が一番なんだろうな」
と思う気持ちはあった。
でも。
塾長先生の娘への接し方を見ていると、
どうしても、それだけでは説明がつかなかった。
娘は選抜生なので、
月曜日だけ、お隣の駅にある系列塾へ通っていた。
そこには、いつもの塾の仲間はいない。
誰とも喋れず、ただ授業を受ける。
しかも、ほとんどが他校の子。
その中で一人、よその校舎から来た娘。
完全にアウェー。
しかも、
「よその校舎から来た、噂のクイーン」
というみんなの好奇の目もあった。
娘からすると、
かなり居心地の悪い場所だったと思う。
私はそんな娘の様子を、
塾長先生に事細かにメールしていた。
すると先生も、
あれこれ考えてくれた。
教室は9割以上が男子。
そこで先生は、
わざと数少ない女子の隣に娘を座らせて、
コミュニケーションを取れるようにしてくれた。
……が。
功を奏さず。
娘、動かず。
先生、作戦変更。
母、また報告。
最初の日は、大雨に暴風雨。
すると塾長先生、
なんと自分の車で娘を自宅まで送ってくれた。
翌週。
娘は、他の子が教室を出ようとしたのに続いて、
自分も帰ろうとしたらしい。
すると塾長先生が、
娘の鞄を無言で引っ張った。
他の子には分からないように、
娘を教室に残した。
そして、また車で送ってくれた。
しかも。
その車の中で流れていたのは、
娘が一番好きなアーティストの曲。
先生、
スマホにちゃんと入れていた。
カーステレオにつないで、
娘に聴かせてくれたらしい。
わずか5分ほどのドライブ。
その5分のために、
娘が何なら喜ぶのか、
どんな話題なら食いつくのかまで
先生は調べてくれていた。
……先生。
そこまで調べたんですか。
何十人もの生徒を抱えているのに、
我が子のことを、ここまで気にかけてくれる。
ありがたいと思った。
親として、尊敬の念さえ覚えた。
だから私は思った。
塾の実績が欲しい。
それは、きっと一番にある。
だけど。
それだけではないのかもしれない。
娘も、
先生が何をしてくれているのかは
分かっていたのだと思う。
それでもまだ迷っていた。
そこで娘は、別の講師の先生に
意見を聞いてみることにした。
経営者である塾長先生とは、
また違う立場の先生。
自分の気持ちを話して、
意見を聞いてみたらしい。
すると。
やっぱり、同じ意見だった。
塾長先生と同じ高校を勧められた。
そして、
塾長先生が娘に対して
どんな思いで接しているのかも
話してくれたらしい。
そこで、やっと。
娘は腹をくくった。
講師の先生と話をして帰ってきた日。
娘が言った。
「トップ校受けるよ。頑張るよ。」
私は、
「ああ、やっと納得したんだな」
と思った。
娘は、一度口にしたことを
簡単にはひっくり返さない。
自分で決めて、口に出す。
そして、
「言った以上はやり遂げる」
という子なのだと思う。
一度決めたことを、なかったことにはしない。
「武士に二言はない」
じゃないけれど、自分には二言はない。
そんなところが、娘にはある。
だから私は、
塾長先生へメールをした。
「腹をくくったようです。
もう迷わないと思います。」
娘自身も、塾長先生に、
「私、頑張るよ」
とだけ伝えたらしい。
すると先生から、
「腹をくくった受験生は強くなります。
私も全身全霊でやっていきます」
と返事が来た。
あとはもう、
どんな結果になっても、
がむしゃらに行くしかない。
それでも駄目だったら、
それは縁がなかったと思おう。
時々、娘の態度にムカつくけれど、
今はジッと受け流す。
受験が終わるまでは、
流しておいてあげましょう。
さぁ、今週は学校の三者面談だ。
併願先は、これで決まる。
でも、併願先へは入学しない予定。
だから、頑張ろうね。
……と、ここまではいい。
問題は。
冬期講習代。
大みそか・元旦特訓代。
来月の二泊三日の強化合宿代。
すごい痛いんですけど。
実は、すでに金銭感覚が壊れてきてます。
受験検定料も高いし。
併願校の入学金、
なんで公立の発表まで待ってくれないのかなぁ。
行かない予定なんですよ?
行かない予定なのに、
入学金何十万円も払うんですよ?
……つらい。
でも。
もう、娘は決めた。
だったら母は、応援するしかない。
頑張れ、娘。
そして母のお財布も、
そろそろ腹をくくります!
