旅と整いと、黒いバッグ
概要文
もともとは、お金を使うのが好きな自分がいる。
それでも日常では、倹約や我慢を選ぶことが多い。
けれど、旅先で“黒いバッグ”に出会ったとき、
何かがふっと緩んだ気がした。
これは、
「整うって、こういうことかもしれない」
そんな感覚の記録。
① 衝動じゃなくて、素直だった
その日、広島の街を歩いていた僕は、
ふとしたきっかけでモルビダの店舗に立ち寄った。
目的は、キーケースだった。
何か気の利いたものがあれば…という軽い気持ち。
まさかバッグを買うことになるなんて、まったく思っていなかった。
店員さんと話す中で、僕がすでにモルビダのラウンドバッグを持っていることを伝えると、
「実は、展示品でひとつだけ別のタイプがあるんです」と紹介された。
それが、黒のシボ革ラウンドバッグだった。
目の前に差し出されたとき、
「あれ、これ…セットみたいだな」と直感した。
ゴルフ用に使っているバッグと並べたくなるような、絶妙な相性。
値札には、定価の7割引とあった。
でも、その割引より先に、心のなかで何かが“ストン”と落ちた。
理由じゃない。理屈じゃない。
「これはもう、自分のものだ」と思った。
僕はもともと、いいモノにお金を使いたいタイプだ。
でも日常では節度を守り、
“欲しい”より“必要”を優先して生きている。
そんな自分が、旅先でふと、素直になった。
これは衝動じゃない。
偶然のようで、ちゃんと“導かれた”出会いだった。
② すぐに送ったのも、自分らしさだった
ホテルのチェックアウト後に買ったバッグは、
そのまま自宅へ配送した。
このあと友人と会う予定があり、
「また買ったの?」って言われるのが、ちょっと照れくさかったからだ。
自分でも笑ってしまうけれど、
**「これ、やっぱり自分らしいな」**と思った。
欲しいものをどう使うかじゃなく、
どう扱うかにも人のらしさは出る。
旅先で得た“ちょっといいモノ”を、
大事にそっと送り返すようなその感じが、
今の自分を少しだけ好きになれる理由になった。
③ 整えるって、余白をつくることかもしれない
最近の僕は「整える」ことをテーマにしている。
服、空間、言葉。
どれも、詰め込むのではなく、
“余白をつくる”ことに近い。
あの黒いバッグは、モノとしての機能以上に、
“素直であること”や“出会いを受け取ること”を
思い出させてくれた気がしている。
旅に出ると、少しだけ自分に戻れる。
整ったまま、また日常に帰れる。
だから僕は、またどこかへふらっと行きたくなるのだと思う。
