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冬瓜とエビ、夏野菜のグリーンカレー|Jardin d’épices

どうして、こんなにも魅力的なのか。
その香りを吸い込めば、思わずうっとり。

その刺激は、一口食べるたびに幸福感となり、
身体を軽くし、
汗と一緒に余計なものまで流してくれる。
呼吸のたび、滞っていたものが巡り、
気分まで軽くなる。

たべ終わる頃には、
スッキリ爽やか。
じんわり幸せ。

それらはかつて、
金銀より高価なものだったり、
薬だったものたち。

何百年ものあいだ人を魅了し続け、
今もなお、食卓で私たちを魅了している。
だから今日もまた、その香りと刺激に惹かれる。

ここはジャルダンデピス。
世界中のスパイスが季節の風とともに育つ、ふしぎな庭園。
めくるめく、スパイスの世界へ。




もう、げんなりだー!!
暑っ!夏っ!ダルっ!
不思議なくらい食欲がなくなる。

暑い外を歩いて職場へ着き、
出勤前に、既に一仕事終えた感がでてしまう。
仕事を終えたら、また灼けるような外へ出る。

冷たい飲み物を何杯も飲み、
アイスやそうめんで
食事を済ませる日も増える。
夜になって休もうにも、寝苦しい。


気が付けば胃は重く、
身体はむくみ、
何となく疲れが抜けない。

食べなければ元気は出ない。
でも、重たいものは食べたくない。
そんな日が、夏には幾度もある。

こんな時は、ジャルダンデピスの入り口へ。


庭の奥から、香りを含んだ風が流れてくる。
香りを追いかけると、あちらの扉が開いていた。

今日はこれか。

「ゲーン・キャオ・ワーン」

タイの人々に愛されるグリーンカレー

「ゲーン」は汁気のある煮込み料理。
「キャオ」は緑。
「ワーン」は甘い。

ここでいう「甘い」は砂糖の甘さではなく、
淡く美しい緑色を表現する言葉として使用されている。

響きは小型犬の鳴き声のようだし、
名前だけ聞くと優しそうな料理だけど、
一口食べると印象は変わる。

最初にクミンのカレーの香り、ココナッツミルクのまろやかさ。
さらに、コリアンダーシード、レモングラス、ガランガル、こぶみかんの皮や葉、バジルの爽やかさ。
そのあとから青唐辛子の鮮烈な辛味が追いかけてくる。

何層にも重なった香りが口いっぱいに広がり、食べ終わっても余韻が長く残る。

タイでは鶏肉を使うことが多いそうですが、魚介や牛肉など地域や家庭によってさまざまな作り方があるようです。

辛く、汗をかきながらも、
爽やかさが全面に推し進められ、
いつのまにか夢中で食べ進めたくなる。

それがグリーンカレーの魅力。


夏だからこそ、魚介で軽やかに
今回は少し、季節に寄り添った材料で。

冬瓜とエビ、旬野菜のグリーンカレー

日本の夏に寄り添うver.
本場は、鶏肉となすを使うことが多いそうですが、
今回は、日本の夏の食卓に合わせて少しだけ姿を変えてみる。
もちろん、鶏肉でも大丈夫です!

エビの甘みを冬瓜となすがたっぷり吸い込み、
オクラがやさしいとろみを添える。
ヤングコーンの歯応えが加わることで、
一皿の満足感が生まれる。


材料
* エビ…200g
* 冬瓜…300g
* オクラ…6本
* なす…2本
* ししとう(またはピーマン)…6本
* ヤングコーン…6本
* バジル…ひとつかみ
* グリーンカレーペースト…40~50g
* ココナッツミルク…400ml
* 顆粒ブイヨン(コンソメ)…小さじ2
* 水…150ml
* ナンプラー…大さじ1~2
* きび砂糖…小さじ1
* 米油…大さじ1

市販のグリーンカレーペーストを使えばお手軽。
本来は次のような材料を石臼で丁寧にすり合わせて作られるそうです。

* 青唐辛子
* レモングラス
* ガランガル(タイしょうが)
* にんにく
* エシャロット
* コブミカンの皮
* コブミカンの葉
* パクチーの根
* コリアンダーシード
* クミンシード
* 白こしょう
* エビペースト(カピ)
* 塩

地域や家庭によって配合は少しずつ異なるそうですが、
青唐辛子の鋭い辛味、レモングラスの爽快感、ガランガルの清々しい香り、コブミカンの葉の柑橘香、それらをエビペーストのうま味がひとつにまとめている。

複雑なのにまとまりがある。
それがグリーンカレーペーストの魅力。

作り方

冬瓜は皮を厚めにむき一口大に切る。
オクラはガクを取り、なすは乱切り、ししとうは切れ目を入れる。ヤングコーンはそのままか、半分に切る。

鍋でグリーンカレーペーストを油とともに弱火で炒め、香りを引き出す。

ココナッツミルクを少しずつ加えて混ぜ、ブイヨン、水、冬瓜、を加えて10分ほど煮る。

エビ、なす、オクラ、ししとう、ヤングコーンを加え、火が通るまで煮る。
エビは硬くなるので、火が通ったら食べる直前まで取り出しておくか、最後に入れる。

ナンプラーと砂糖で味を整え、最後にバジルを加えて完成。

汗をかくことは、夏には少し億劫。
でも、何故かスパイスをまとった汗はどこか心地よい。

身体の内側からじんわり温まり、
食べ終わるころには重かった胃も、
ゲンナリしていた気分も少し軽くなっている。

世界には、その土地の暑さとともに育まれてきた料理がある。

暑い国の人々は、暑いのコツを知っている。

だからこそ、その知恵は今の日本の夏にも、きっと寄り添ってくれる。

夏のジャルダンデピスから、たべる魔法。

コリアンダーシード

  消化液の分泌を促し、お腹のガスだまりを散らすスパイスです。
  香りの特徴:レモンや橘を思わせる、甘く爽やかな柑橘系の芳香。
  歴史的背景:地中海沿岸原産で、古代エジプトのピラミッドからも発見された世界最古のスパイスの一つ。古代ギリシャ・ローマ時代から薬用・調理用として重宝されてきました。

薬膳(中医学)の視点
性味: 辛/温
帰経: 肺・脾

・発汗透表(はっかんとうひょう): 体表の不要な滞りを外へ押し出します。
・健脾消食(けんぴしょうしょく): 脾胃を元気にし、消化吸収を助けます。
・リナロール: 消化管平滑筋のけいれんを沈静化させつつ、胃液や膵液の分泌を促進します。

クミン

  脂質の分解を強力にサポートし、消化能力を底上げするスパイスです。
  香りの特徴:特有の強い芳香と若干の苦味・辛味を持つ、カレーの香りといえば、の代表。
  歴史的背景:古代エジプト時代からミイラの防腐剤や薬用として利用され、旧約聖書にも記述が残る歴史あるスパイス。中東からシルクロードを経て世界中に広がりました。

■薬膳(中医学)の視点
性味: 辛/温
帰経: 脾・胃

・理気和胃(りきわい): 胃の調子を整え、食の停滞や消化不良を防ぎます。
・散寒止痛(さんかんしつう): お腹の冷えによる痛みを和らげます。

・クミナルデヒド: 膵臓からの消化酵素(特に脂質を分解するリパーゼ)の分泌量を増加させ、脂質代謝をアシストします。

青唐辛子

  放熱作用、お腹の温め、そして脳内物質エンドルフィンによるストレス軽減・免疫ケアの要となるスパイスです。
  香りの特徴:フレッシュで青々しい刺激的な香りと、突き抜ける強い辛味。
  歴史的背景:中南米原産で、大航海時代にコロンブスによってヨーロッパへ持ち帰られ、その後アジア・タイへと伝播し、タイ料理の辛味の根幹となりました。

薬膳(中医学)の視点
性味: 辛/熱
帰経: 脾・胃

・温中散寒(おんちゅうさんかん): お腹の芯を温め、冷えによる痛みを和らげます。
・活血行気(かっけつこうき):滞っていた気血の巡りを劇的に高め、血行不良による肩こりや冷え性を改善します。
・健脾消食(けんぴしょうしょく):消化液の分泌を促し、消化不良や食欲不振を解消します。

・カプサイシンが舌の知覚神経に「痛み」としての刺激を与えると、脳は痛みを和らげるために「脳内麻薬」と呼ばれるβ-エンドルフィンやドーパミンを分泌します。
これにより、強いリラックス感・多幸感がもたらされ、夏のストレスや神経疲労を緩和します。また、血流を劇的に改善して免疫細胞の巡りを促進するほか、腸管神経系を通じて腸管免疫を活性化します。
※もともと体に熱がこもっている人や、のぼせ・炎症がある人、胃腸の弱い方は摂り過ぎに注意が必要です。

白こしょう

 お腹を温め、血流改善・血圧ケアと共に栄養素の体内吸収率を引き上げる。
  香りの特徴:黒こしょうよりも穏やかでありながら、芯のある芳香とシャープな辛味。
  歴史的背景:インド原産。完熟したこしょうの果実の水漬け・皮むきによって作られ、かつては金と同等以上の価値で取引されたスパイスの王様です。

薬膳(中医学)の視点
性味: 辛/熱
帰経: 胃・大腸

・温中下気(おんちゅうかけ): 腹部を迅速に温め、冷えによる逆流や嘔吐感を沈めます。

・ピペリン: 血管を拡張させて血流改善や血圧低下をもたらし、冷えやむくみを緩和します。
さらに、小腸粘膜の上皮細胞や酵素代謝に働きかけることで、
同時に摂取する他のスパイス成分や、ビタミン・アミノ酸などの体内吸収率を飛躍的に高める
「ブースター効果」を発揮します。

【香りを支える仲間たち】

レモングラス

爽やかなレモンの香りで、ストレスでこわばった気と自律神経をほぐすハーブです。
 
薬膳(中医学)の視点
疏肝理気(気のめぐりを整える)、化湿和胃(胃の湿気を払う)。
・シトラール: 脳内のGABA受容体に作用して神経の過剰な興奮を抑制。抗ストレス作用や強力な抗菌作用を発揮します。

ガランガル(タイしょうが)

薬膳(中医学)の視点
・温中散寒 お腹を温める
・健胃消食 消化を高める

・強い抗炎症・抗酸化作用を持ち、アレルギー症状を緩和させる働きがあるとされる。
エキスには覚醒感や集中力を高める働きも研究されている。

コブミカンの葉(バイマックルー)

  濃厚なコクに爽快感を与え、自律神経をケアする柑橘ハーブです。
 
薬膳(中医学)の視点
性味: 辛・苦/温
帰経: 肝・脾
理気寛中 香りで気の巡りを整え、胸や腹の張りを解消する

・シトロネラール: 交感神経の過剰な興奮を抑える鎮静作用を持ち、酸化ストレスを軽減します。

パクチーの根

  消化管の滞りをほぐし、体表から不要なものを発散させるハーブです。

■ 薬膳(中医学)の視点
性味: 辛/温
帰経: 肺・脾
・発汗解表 発汗を促し、滞りを発散させる
・健胃消化を助ける

・リナロール: 消化管の平滑筋を緩めて胃腸のけいれんや張りを和らげます。

【旬の食材たち】

冬瓜

薬膳では、
清熱解毒:夏の暑さによる体内の熱や、ほてり、イライラを取り除く。
利水消腫:余分な水分と老廃物を尿として排出し、むくみを改善。
生津止渇:喉の渇きを潤す。
皮や種も漢方や生薬として活用される非常に有用な食材。
豊富なカリウムがむくみを解消。

エビ

生命力の源である「腎」を補い、
体を芯から温めスタミナをサポート。
タウリンが肝機能をサポートし、
睡眠をサポートするグリシン、
抗酸化のアスタキサンチン、
で疲労回復を担います。

オクラ

ペクチン(水溶性食物繊維)の粘性が胃腸を保護し、整えます。
体の余分な熱を鎮め、潤いを与えます。

なす

ナスニンが抗酸化作用を発揮。
体内の余分な熱を排出し冷まします。

ヤングコーン

胃腸の働きを支え、余分な水分を排出。むくみを改善。


 

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