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【おはなし頭とおしゃべり魔女】でびっどバ〜ン! これでイーノだ!

キーワードは「越境」と「統合」

1980年前後に制作され、当時の音楽シーンにおいて革新的な実験性を発揮した、David ByrneBrian Eno及びその周辺の人脈による一連の作品群があります。

これら一連のアルバム群には、西洋のロックからアフリカ〜中東へ、構築された楽曲から断片的な素材のコラージュへという「越境」の感覚に満ちています。それは、80年代におけるワールド・ミュージックの勃興、ロックにおける電子音楽の隆盛といったパラダイム・シフトを先取りしたものであり、今日に続くオルタナティブ音楽の多様性の礎となっています。

そして、ボーダーを超えて発見された異質なもの同士、アフリカ〜中東と西洋ポップ文化、身体性と反復構造、機械的な構造とプリミティブな感情の「統合」を試みた意欲的で実験的な作品群でした。


Talking Heads “Remain in Light”(1980)

Talking Headsの4枚目のアルバム。1979年の“Fear of Music”に続き、Brian Enoが共同プロデュースし、明らかにFela Kutiに代表されるアフロビートの影響下に制作された、言わずと知れた傑作です。

ニュー・ウェイヴがファンクやエスニック音楽と結びついた代表例であり、ロックの歴史を通じた名盤としてあまりにも有名です。ポリリズムとループ構造ミニマリズムと反復と変奏によって、トランシーな高揚感を喚起させられます。Adrian BelewJon HassellNona Hendryxらが参加。


David Byrne & Brian Eno “My Life in the Bush of Ghosts”(1981年)

“Remain in Light”と並行するように制作された、David ByrneとBrian Enoの共同名義のコラボレーション・アルバム。“Remain in Light”とは兄弟のような音盤と言えます。

サンプラーが一般化される以前に、中東の祈祷やラジオの説教などの既存の音源を大胆に拝借し、トラックの中心に据えるという手法は、当時としては極めて先鋭的でした。反復によるグルーヴは“Remain in Light”に通じていますが、より抽象的で無国籍な音像が脳ミソを刺激します。Robert FrippBill LaswellDavid Van Tieghemらが参加。


Tom Tom Club “Tom Tom Club”(1981年)

同時期にDavid Byrneとは別行動で、バンドのベーシストTina WeymouthとドラマーChris Frantz夫妻が中心となりTom Tom Clubを結成。この1stアルバムは、“Remain in Light”とは従兄弟同士でしょうかね。

‘Wordy Rappinghood’や、後に数多くサンプリングされた‘Genius of Love’のように、ラップ/ヒップホップの影響を垣間見ることができますが、この魔女たちのおしゃべりはそこに留まらず、“My Life in the Bush of Ghosts”にも通じるエスニックで呪術的な感覚を持って迫ってきます。“Remain in Light”と同様にバハマのコンパス・ポイントで制作され、Adrian Belewも参加しています。


David Byrne “Catherine Wheel”(1981年)

振付家Twyla Tharpのコンテンポラリー・ダンス作品のために書き下ろされた舞台音楽。ダンス音楽という性格上からか、“Remain in Light”や“My Life in the Bush of Ghosts”よりも音数が少なく、核となるリズムがよりクリアに見える印象です。

それでも、複数のパーカッションと短い単音のギター・カッティングが重なる様は、前述の二つのアルバムとの共通性とともに、制作過程におけるDavid Byrneの役割が透けて見えてきます。‘Big Business’‘What a Day That Was’などの楽曲は、Talking Headsのライブセットにも取り込まれました。


The B-52’s “Mesopotamia”(1982年)

“Wild Planet”に続くEP作品で、“Catherine Wheel”制作中のDavid Byrneがプロデュースを担当。それまでの明解でガレージバンド然としたロックとは一線を画すサウンド・プロダクションとなっています。

‘Mesopotamia’‘Cake’では、シンセやパーカッション、アフロ・ファンク的なリズムを導入し、Talking Headsに通じる世界観を醸し出しています。個人的には、ゆったりとしたテンポに、美しいピアノのフレーズが乗る‘Deep Sleep’がお気に入りです。


【番外編】矢野顕子 ‘Rose Garden’(1981年)

“Remain in Light”のアフリカとは一味違う強烈なポリリズムと深いエフェクトの掛かったヴォーカル、エキセントリックな歌詞。坂本龍一との共同プロデュースによるアルバム『ただいま。』のラストを飾るとても印象的な楽曲です。

教授曰く、Talking Headsなどの同時代の最新の洋楽から得た着想を、あっこちゃんや大貫妙子さんで試していたのだそう。このアルバムでは、一風堂の土屋昌巳Adrian Belewの役割を担っています。


*この投稿は、予告なく改訂することがあります。

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