入塾したら、みんな別次元だった。小学校受験の初授業で撃沈【小学校受験|第10話】
第9話で、私は決めた。
「入ろう。」
娘が楽しそうだった。
だったら、やってみよう。
そう思って帰宅。
そして目の前に広がったのは、
大量の入塾書類。
……来た。
現実。
書類をめくる。
「基礎コース」
「私国立コース」
「難関コース」
……。
コース?
小学校受験って、
コースあるの?
しかも、授業料も時間も、教室もコースによってそれぞれ違う。
さらに、毎月の模擬テストの結果によって、入れるコースが決まるらしい。
授業は週1回、100分〜。
教材費は含まれている。ほう。
模擬テスト代は別。ほう。ほう。
そして、肝心の授業料を見る。
……
高い。
その瞬間、面接のときのことが、走馬灯のように蘇った。
体験授業での面接。
こちらが緊張しながら質問する中、
先生は、
眉毛ひとつ動かさず、表情ひとつ変えず、淡々と。
「小学校受験は大学受験と違って、浪人はできません。」
「その年齢の歳に一度しか受けられませんから、後悔なされないように。」
……。
あのときは、
「そうですよね……」
と聞いていた私。
今になって、
その言葉の重みが、
じわじわ来る。
そして、長男の頃見てきた、
中学受験。
「○○ちゃんが受験するから、うちも。」
だったのが、
いつの間にか、
「みんな受験するから、うちも。」
になっていく。
塾。
講習。
模試。
教材。
そして、
受験課金地獄。
私は、その世界を知っていた。
だからこそ、
日本の学校に通う限り、一度は必ず経験する「受験」という、避けられないビッグイベント。
そのために、
1年間くらいは塾に通えるお金をコツコツ貯めていた最中。
まさか、
小学校受験で使うことになるとは思っていなかった。
でも、貯めている。
だったら……
今がチャンス!
恐ろしいほどの
こじつけポジティブ。
「失敗してもまた貯める期間は充分あるよね。」
「一生に一度の経験!」
「今しかできない!」
母、
必死に自分を納得させている。
そして迎えた、
入塾手続きの日。
この日は、娘の初めての授業の日でもあった。
受付には、我が家を含めて3組。
説明を受け、
書類を確認し、
あっという間に終了。
そして受付の方が、
「あ、お母さんと娘さん、覚えていますよ。」
と。
……。
そりゃ覚えているよね。
前回、
紺、紺、紺の世界にベージュの母。
そして娘、
キティちゃん。
忘れようがない笑
でも、この日は違う。
娘、
きちんと紺色の受験服。
白い上履き。
私も、
バッチリ。
今日は母も娘も、
完全なる受験スタイル。
よし。
準備は完璧。
いざ、入室。
私は教室の裏側にある、
マジックミラー越しに見学。
教室の前に立つ娘。
先生が、
「こんにちは。」
そして、
「お名前を言ってください。」
「今日、頑張りたいことを言ってください。」
「よろしくお願いします、と言って入室してください。」
……
娘、
フリーズ。
止まった。
完全に止まった。
すると、次のお友達がやってきた。
「○○です。」
「今日頑張りたいことは○○です。」
「よろしくお願いします。」
……
スラスラ。
次のお友達も、
スラスラ。
また次のお友達も、
スラスラ。
え。
みんな、
できるじゃん。
どうやら皆さん、
古株らしい。
娘はその横で、
じーーーっと観察。
そして、ようやく。
蚊の鳴くような声で、
「……○○です。」
「よろしく……いします。」
くらい。
言えた。
母、
マジックミラーの向こうで、
心の中で拍手。
よく言った!
しかし先生は、
「はい!それではー!」
と、
どんどん進む。
待って。
今、娘、
ものすごく頑張ったんですけど。
受験の世界、
容赦ない。
次の指示。
「まずはバッグを置いて、ドアの入り口に並んでください。」
すると、
子どもたちが、
スッ。
バッグを置く。
並ぶ。
一糸乱れず。
……。
娘、
また、
ぽかーん。
私も、
ぽかーん。
先生が、
「今日はボール遊びをしましょう!」
と、ボールの入ったカゴを持ってくる。
ボール遊び。
保育士の私としては、
「ボールで遊ぶよー!」
「いえーい!」
からの、
「先着順」
「取り合い。」
「私の!」
「貸して!」
「やだ!」
うまくいって、
じゃんけん。
そんな光景を想像していた。
ところが。
子どもたちが、
「みんなで並ぼう!」
「うん!」
「お先にどうぞ!」
「ありがとう!」
と、
とびきりの笑顔で声を掛け合いながら並んでいく。
……。
娘、
ぽかーん。
母、
さらにぽかーん。
そしてボールを受け取る際に
「ボール貸してください。」
先生が、
「どうぞ。」
すると、
「ありがとうございます。」
と受け取る。
次の子も、
「ボール貸してください。」
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
……
全員できてる。
しかも、
笑顔。
自然。
当たり前のようにやっている。
私は思った。
いや、
待って。
これ、
大人でもできる人、そんなに多くないよ。
そして次は運動。
ボールをドリブルしながら、
まっすぐ進む。
フラフープの中にボールを入れる。
次は、
ケンケンパ。
スキップ。
平均台。
そしてジャンプ。
先生がお手本を一回見せる。
「はい、やってみましょう。」
すると、
みんな、
すぐやる。
できる。
当たり前のように、
できる。
そして娘。
ドリブルで、
つまずく。
……
母、
静かに決意。
帰ったら特訓しよう!
そして次に始まったのが、
ペーパー。
「まあ、これは……なんとかなるかな。」
と、どこかで思っていた。
……
甘かった。
娘、
思っていた以上に、
何もできない。
マジックミラーの向こうで、
母、
固まる。
「……え?」
いや。
ちょっと待って。
これは……
次回にしよう。
初めての授業。
母が思っていた以上に、
小学校受験の世界は、
ずっと先を走っていた。
そして私は、
ようやく気づく。
「これ、本当に今から間に合うの?」
つづく
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
ちなみに母はこの日、
「帰ったらドリブル特訓だ!」
と燃えていました。
そしてペーパーを見て、
「……こっちはどう特訓するんだ?」
となりました。
というわけで、
我が家の迷走はまだ始まったばかりです。
次回、ペーパー編。
親子揃って大撃沈!
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
また読みに来てもらえたら嬉しいです。
\小学校受験、何も知らない母の迷走記/
ここから始まった、母の迷走記
第1話から読む → https://note.com/3ji_ojuken/n/n36ad78dff0b0
