好きな服を着る
昨年、一着のワンピースを購入した。
黒いノースリーブのティアードワンピースで、たまたまネットで見つけたのだけど、見た瞬間、図々しくも私に似合いそう!と思った。
着用していたモデルさんは高身長。私が着たらマキシ丈になるだろう。
それもまた素敵だね!
どうしよう。欲しいな。買おうかな。
うーん、でもお値段が…私が持っている服に比べるとなかなかで…
結局その日は購入するに至らなかった。
でも翌日から、ふとした時にそのワンピースの事を考えている自分がいて、迷いながらも「購入する」に気持ちが傾き始めていた。
そして数日後、ワンピースを販売しているサイトをのぞいてみた。
すると、夏のセールということで、ほんの少しだけ割引になっていた。
しかも残りわずかと書いてあった。
もうこれは買いなさいという事では?
心がささやき始めた。
誕生日が近かったのと、夫が早期退職する事が決まっていたので、うん、なんていうか私の退職金代わりということで買っちゃおう!
ポチッとカートに入れて、到着を楽しみに待っていた。
ピンポーン。
待ちに待ったワンピースが届いた。
慎重にダンボールを開けると、きれいにたたまれたワンピースが入っていた。
ネットで見たよりも、実物の方が何倍も素敵だった。
スカートにボリュームがあってかわいい。
でも色は黒でシックだし、50歳でも全然大丈夫だよね?と、鏡の前でクルクル回りながら考えていた。
気分はそう。
SATCのキャリーだった。
ただ一つ問題があった。
このワンピースをどこへ着て行くかだった。
父の介護問題なんかもあり、去年の夏は少し忙しく、結局そのワンピースを着て出かける事のないまま夏は終わってしまった。
そして今年の夏。
一年寝かせてしまったけれど、ついに着て出かける事が出来た。
一番はじめに着て行ったのは美容室だった。
美容室へ行く時は、いつも黒い服を着て行くのと、長時間座っていてもワンピースなら楽だなと思ったからだ。
美容室は街中にあるので、周辺におしゃれな人がたくさん歩いているのもあり、ワンピースデビューはこの日に決めた。
40代からは二の腕を出すなとかなんとか言われているけれど、その日、お気に入りのワンピースを着て歩いているだけなのに、ものすごく気分が良くて楽しかった。
いつもより背筋も伸びている気もした。
50代になってから、顔と着たい服が合わなくなって来た気がしていた。
無難で、なるべく老けて見えないようなそんな服ばかり選んでいた。
でもすれ違う人なんて、他人の服なんて見ていないものだよな。と思った。
現に自分がそうだから。
おしゃれな人、素敵な人はつい目で追ってしまうけれど、それ以外は見ていない。
若さがなくなった今だからこそ、好きな服を着て気分を上げる。
そっちの方が大切。
誰のためでもなく、自分のために。
