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考察探究型 道徳の学術的バックボーン ~なぜ、心情依存からの脱却なのか~

「考察探究型道徳」のアプローチは、決して唐突に生まれたものではありません。日本の道徳教育学・発達心理学において長年提示されてきた「従来の心情依存型道徳への危機感」と「探究的・構造的学びへの転換」という正統な理論的系譜の上に成り立っています。

藤永保 氏(発達心理学)

藤永氏は『心の発達と道徳教育』等において、発達段階を無視した「過度な心情移入・自我関与の早期強要」が子どもの認知発達を阻害する点を批判しました。
高学年以降の思考発達(客観的・多角的な認知能力)を重視し、「場面の感情当てクイズ」から脱却すべきだとする点で考察探究型の道徳授業と共通の考えに立っています。

藤永氏の指摘は、心理学的・批判的アプローチが中心になっています。
これに対して考察探究型は、それを踏まえ、「では教室で具体的にどう問うか(ざっくり発問・三段階の学習過程)」「どう見取るか(道徳科感想分析法)」という授業技術・評価システムへと具体化しています。

藤永保 - Wikipedia

走井洋一 氏(価値理解の構造化)

走井氏は、心情の察しや生活反省に留まる道徳を批判し、道徳的価値の概念的理解(価値の構造化)や、価値の持つ多面的・多角的な意味を捉える授業論を提唱しました。
「感情(気持ち)」ではなく「価値(概念)」を授業の中心に据え、子どもが問題の構造(条件・比較・相反する価値)を読み解く点で、考察探究型の道徳授業と一致しています。

考察探究型では、走井氏の提唱する「価値の概念的理解」や「価値の持つ多面的・多角的な意味を捉える授業論」の趣旨と共通するの考えの下、子ども自身が自発的に行えるよう「二項対比」「多項比較」「因果関係分析」「深層理解」等の17種類の授業類型(思考操作の方法)としてマニュアル化・パターン化し、ほとんどの教科書教材で対応できるようにしています。

研究者詳細 - 走井 洋一

考察探究型道徳とは、先人たちが切り開いてきた「情動依存(心情至上主義)から、知性的で豊かな価値の探究へ」という先駆的な理論群を、現代の「見取り(評価)」と「授業構造」の技術として具体化した実践体系なのです。


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