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余白のある部屋は、呼吸がしやすい “A Room with Space to Breathe”

宮古島の旅から始まったこの話も、
氣づけば、ずいぶん部屋の中まで戻ってきました。

海を眺めながら、何もしない時間を過ごしたこと。
空が広いだけで、呼吸が少し深くなったこと。

そして、その心地よさは旅先だけのものではなく、
暮らしの中にも少し持ち帰れるのではないか。

そんなことを考えながら、
光のこと、椅子のこと、植物のことを書いてきました。

でも、ここまで書いてきて、
もうひとつ大切なものが残っていることに氣づきました。

それは、
「何もない場所」です。

インテリアというと、
どうしても「何を置くか」を考えます。

どんな家具を置くか
どんな照明を選ぶか
どんな植物を育てるか

でも、心地いい部屋をつくるためには、

「何を置かないか」

も同じくらい大切なのかもしれません。


Today’s topic
心地いい部屋には、なぜ「何もない場所」が必要なのだろう?


家具を販売していた頃、
海外のインテリア雑誌をよく眺めていました。

壁いっぱいにアートやオブジェを飾った部屋もあれば、白い壁に、絵が一枚だけ飾られている部屋もある。

どちらにも、それぞれのおもしろさがあります。

でも僕は、後者のような空間を見ると、
どこかゆとりを感じました。

何かが足りないのではなく、
何もないところまで、デザインされている。

そんな感じがしたのです。


社会人になった頃から、
好きで何度も訪れている場所があります。

パーク ハイアット 東京です。

シンプルな空間に、必要な家具があり、
そこにアートが少しだけある。

今振り返ってみると、
僕が心地いいと感じていた理由のひとつは、
そこに「余白」があったからなのかもしれません。

京都のお寺にも、似た感覚があります。

好きな場所のひとつ、大徳寺の大仙院。

枯山水の庭を眺めていると、
そこにはたくさんの「余白」があります。

石があり、砂があり、
その「あわい」に、何も置かれていない場所がある。

でも、その何もない場所があるからこそ、
石の存在まで美しく見えてくる。

余白は、
何かが足りない状態ではないのだと思います。


僕自身、ごちゃごちゃした部屋は昔からあまり得意ではありません。

ホテルのような、
必要なものだけが静かに置かれた空間が好きです。

自宅でも、置くものはなるべく必要最低限にしています。

壁にはアートを飾りますが、
すべてを埋めることはしません。

額縁と額縁の間にも、
ホワイトスペースを残します。

そして週に一度、掃除をする。

ほんの小さなことですが、
部屋がすっきりすると、気持ちに余白ができて、
頭の中まで少し静かになる感覚があります。


もちろん、余白が多ければ多いほどいい、
という話でもありません。

たとえばカフェなら、
少しモノがあったり、人の気配があったりする方が落ち着くこともあると思います。

一方、美術館にはいつも大きな余白があって、それが、展示されている作品の一部でもあったりします。

アマン東京のラウンジのように、
天井が高く、縦方向に大きな余白がある空間も、最初は少し怖いんですが、後になんだか心地よさを感じます。

つまり、

心地いい余白は、
人によっても、場所によっても違う。

そこがおもしろいところです。


インテリアは、
自分を最大限に表現できる場所だと思っています。

好きな家具
好きなアート
好きな植物
好きな光

それらを置くことで、
その人らしい空間ができていく。

でも、すべてを好きなもので埋めてしまわず、
少しだけ「余白」を残してみる。

すると不思議なことに、

部屋そのものではなく、
そこにいる自分が主人公になる。

そんな感覚があります。

余白という言葉は、
時間や思考のカテゴリーについてもよく使われます。

予定を詰め込みすぎないこと
考えすぎないこと
何もしない時間を持つこと

僕も、そういう余白は大切だと思うし、好きです。

でも僕がこれまでインテリアを通して触れてきたのは、もっと物理的な余白でした。

家具と家具の間
アートとアートの間
窓の前
床の上
そして、部屋の中に残された何もない場所。

そこを意識して残すことで、

光が入り、
風が通り、
視線が休まる。

そう考えると、余白は無駄ではなく、
目には見えないもの達の、通り道なのかもしれません。


宮古島で感じた、あの心地よさもそうでした。

海があり、

空があり、

風がある。

そして何より、
何もしなくてもいい時間がありました。

旅で出会った余白から、暮らしの中の余白へ。

ずっと外の世界について書いていたようで、
氣づけば、自分のいる場所へ戻ってきました。

そして今、

何も置いていない場所とは、どんな場所だろう?
と考えてみると、

僕には、「これから何かが生まれる場所」のように思えます。

もちろん、答えは人それぞれでいい。

何もないことに安心する人もいれば、
少し寂しく感じる人もいるでしょう。

その感じ方も含めて、
その人の暮らしなのだと思います。

余白は、空っぽではありません。

光が入り、
風が通り、
まだ名前のない何かが生まれる場所。

部屋に少し余白を残すことは、
自分の中にも、何かが入ってこられる余白を、残しておくことに繋がるのかもしれません。

そんな余白を、
これからも暮らしの中に残しておきたいと思います。





それでは、またです。
Let there be prosperity.


寛(Hiro)|心をひらく旅と日常の整え


寛(Hiro)研究所 ー人生を整える小さな実験室ー


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