部屋の空気は、光から変わる “How Light Changes the Way a Room Feels.”
部屋の空気を変えたいと思った時、
家具をすぐに買い替える必要はないのかもしれません。
照明を少し暗くする。
たったそれだけで、
いつもの部屋が、少し違って見えることがあります。
そして不思議なことに、
部屋の空気が変わると、
自分の呼吸まで変わっていく。
今回は、そんな「光と心地よさ」について
書いてみたいと思います。
海外へ行くと、ホテルの部屋で驚くことがあります。
それは、夜になると、
思っていた以上に暗いこと。
以前、アメリカのノースカロライナ州へ、
家具の見本市を見るために出張したことがありました。
その時に泊まったホテルもそうでした。
バリ島のリゾート地や、
フランスのニースを訪れた時にも、
同じようなことを感じました。
日本の部屋のように、
天井から全体を明るく照らすのではなく、
必要なところに、必要なだけ光がある。
最初は、
「ちょっと暗いな」
と思います。
でも、不思議なことに、
しばらくその中にいると目が慣れてきます。
そして、目が慣れてくると、
今度はその暗さが、心地よく感じられてくる。
その経験から、自宅の照明についても
少しずつ考えるようになりました。
今、僕の部屋では、
メインの照明をオレンジ色に近い暖かな光にして、
明るさもかなり落としています。
そして、一つの照明だけで部屋全体を照らすのではなく、小さな灯りを、いくつか置いています。
部屋の中には、
明るいところと、暗いところがある。
その「あわい」にいると、なぜか落ち着きます。
すべてがはっきり見えなくてもいい。
むしろ少し見えないところがある方が、
空間にはおもむきが生まれるような気がします。
最近、もう一つ始めたことがあります。
寝る前の、
キャンドルタイムです。
部屋の照明を落として、キャンドルに火を灯す。
ただ、それだけです。
炎は、電球のように一定ではありません。
小さく揺れたり、
少し明るくなったり、
また静かになったりする。
そのうつろいをぼんやり眺めていると、
一日の中で外側へ向かっていた意識が、
少しずつ自分のところへ戻ってくるような感覚があります。
何かを考えるための時間ではありません。
むしろ、
何も考えなくていい時間。
そんな時間が、眠る前に少しあるだけでも
いいのかもしれません。
僕が昔から好きな照明ブランドに、
北欧のルイスポールセンがあります。
デザインが美しいんです。
でも僕がもっと惹かれるのは、
「光そのものが美しい」
ということです。
北欧は、冬になると日照時間がとても短くなります。
だからこそ、
室内で過ごす時間と、その空間をつくる灯りが、
暮らしの中で大切にされてきたのでしょう。
部屋全体をただ明るくするのではなく、
食卓には、食卓の光
椅子のそばには、本を読むための光
壁には、壁をやわらかく照らす光
光にも、それぞれ居場所がある。
そんな考え方に僕は惹かれます。
考えてみれば、日本の昔の暮らしにも
似たものがありました。
障子を通して入ってくる、やわらかな光
夜になれば、行灯の小さな灯りや月明かり
今の住宅から考えれば、ずいぶん暗かったはずです。
でも、暗いからこそ感じられるものもあったのではないでしょうか。
陰影
静けさ
ものの優しい輪郭
夜が夜であること。
僕たちは便利になるにつれて、
「暗さ」をなくしすぎてしまったのかもしれません。
インテリアを変えるというと、
家具を買ったり、
カーテンを変えたり、
ものを飾ったりすることを思い浮かべます。
でも、もっと簡単に変えられるものがあります。
光です。
夜になったら、
いつもの照明を少しだけ落としてみる。
小さなスタンドを一つ灯してみる。
時にはキャンドルを灯してみる。
それだけで、
いつもの部屋に、少し違う空気が流れ始めます。
少し暗くしてみることで、
初めて見えてくるものもある。
一日の終わりに、
部屋の光を少し落としてみる。
すると、
外の世界に向いていた自分が、
静かに、自分のところへ還ってくる。
そんな灯りが家のどこかに一つあれば、
そこは、小さな「まほろば」になるのかもしれません。
※日本の古語の一つ。
「美しく、暮らしやすい理想的な土地や場所」という意味。
それでは、またです。
Let there be prosperity.
寛(Hiro)|心をひらく旅と日常の整え
寛(Hiro)研究所 ー人生を整える小さな実験室ー
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