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「もう少し考える」が時間を奪う?分からない問題を飛ばすのも一つの力

問題を解いていると、手が止まる瞬間があります。

「もう少しで分かりそう」「ここまで考えたんだから、自分で解きたい!」

その気持ちはとても大切です。すぐに答えを見るのではなく、自分で考えてみる時間が理解につながることもあります。

ただ、教室で生徒を見ていると、その

「もう少し」

が長くなりすぎることがあります。
一問に10分以上かかっている。英語の長文で一つの単語に引っかかり、ずっと先へ進めない。理科の計算問題を考え続けて、他の問題に手がつかない。

本人は真面目に取り組んでいます。でも、その間にも使える時間は減っていきます。

「粘ること」と「止まり続けること」

似ているようですが、この2つの違いは非常に大きいです。

まだ考えている?それとも止まっている?

生徒が一つの問題に時間をかけているからといって、すぐに声をかけるわけではありません。

例えば数学なら、式を書き直している。図を書いている。前に解いた問題と比べている。「これかな」と試しながら手を動かしている。

こういうときは、もう少し待つことがあります。自分で考えている途中だからです。

一方で、鉛筆が止まったまま同じところをずっと見ている。消しゴムやシャーペンを触り始める。だんだん問題から視線が外れてくる。

こうなると、「考えている」というより「どうしたらいいか分からず止まっている」状態かもしれません。

そこで、
「ここ、どうだろう?難しい?」

と声をかける。

「うん」

「もう少し考える?それとも、いったん次に行く?」

すると、

「もうちょっと考えたらできそう」

と返ってくることもあります。

この「もうちょっと」が難しいところです。

「ここまで考えたから」が離れにくくする

5分考えた問題を途中でやめるのは、少しもったいない気がします。

「ここまで考えたんだから、あと少しやれば解けるかもしれない」

そう思うのは自然なことです。

行動経済学には「サンクコスト」という考え方があります。すでに使ってしまって取り戻せない時間やお金、労力のことです。人は、すでに多くのものを費やしているほど、「ここでやめたらもったいない」と、その後の判断にも影響を受けることがあります。

学習中の一問をすべてこの考え方で説明できるわけではありません。ただ、「もう5分考えたから」「ここまでやったから」と、使った時間そのものが離れにくさにつながることはありそうです。

大切なのは、これまで何分使ったかだけではなく、

「ここから、さらに時間を使うべきか」

と考えることです。

「今は飛ばす」という選択

教室では、ときどき、

「これはいったん飛ばして、次をやろうか」

と声をかけます。

これは「分からないからあきらめよう」という意味ではありません。

「今は時間がかかりそうだから、いったん次へ進む」。そして、あとで戻ってくる。

この判断も学習の一つだと考えています。

実際、一度離れて別の問題を解いてから戻ると、さっきまで分からなかった問題が解けることもあります。似た考え方の問題を途中で解いたことで、ヒントが見つかることもあります。

何より、一問で学習全体が止まらなくなります。

粘ることだけを良いことにしてしまうと、「分からない問題の前で長く止まる」ことまで頑張りになってしまいます。

そうではなく、「今は離れる」も選べるようにする。

教室では、そこも大切にしています。

テストでは「飛ばす力」がもっと必要になる

この判断は、テストになるとさらに重要です。

テストには制限時間があります。一問に時間を使いすぎれば、後ろに自分が解ける問題があっても、そこまでたどり着けないことがあります。

模試などでも、難しい問題に長く時間を使った結果、最後の比較的取り組みやすい問題がほとんどできなかった、ということがあります。

これはかなりもったいない。

テストで必要なのは、問題を最初から最後まで順番通りに解くことではありません。限られた時間の中で、自分が取れる問題を確実に取ることも大切です。

少し考える。時間がかかりそうなら印をつける。いったん飛ばす。できる問題を進めて、時間が残ったら戻る。

こうした判断も、テストで力を発揮するための一つの技術です。

「飛ばしていいよ」から「あとで戻る」へ

最初は、こちらから「いったん次へ行こう」と言わないと、一問にずっと止まってしまう生徒もいます。

でも、何度か経験していくと、自分から問題に印をつけて次へ進むことがあります。

「これ、あとで戻る」

そう言って、次の問題へ行く。

私は、これも一つの変化だと思っています。

分からない問題から逃げたのではありません。今の自分の状態と残り時間を見て、「今はここに時間を使わない」と判断したからです。

そして、できる問題を終えてから、さっきの問題に戻ってくる。
「先生、これやっぱり分からん」
となれば、そこで一緒に確認すればいい。

反対に、
「あ、分かった」
と自分で解けることもあります。


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