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【創作】信号機ぶどう味

#毎週ショートショートnote
#信号機ぶどう味


学校からの帰り道、
信号が赤に変わって立ち止まった。

そのとき、お腹が鳴った。
しかも大きく。

よりによって
隣に近所のお兄さんがいた。
目が合って死にたくなった。

お兄さんは笑顔で、
グミを私に一つ差し出した。

ぶどう味だった。

次の日も同じ信号で一緒になった。
「いる?」
今度はぶどう味のラムネだった。
その次はキャンディ。
その次はガム。

いつも違うお菓子なのに、
いつも同じぶどう味だった。

一緒に信号待ちをする度、
お兄さんは私に、
ぶどう味のお菓子と笑顔をくれた。

私は小さく頭を下げる。
いつも耳が真っ赤になった。
どうか気づかれませんように。
でも、真っ赤な耳に気づいてほしくもあった。

すぐに、あの交差点に近づくと毎回、
赤信号になりますように、
と祈るようになっていた。

春が来て、
お兄さんは大学に受かって街を出た。

信号は変わらず赤になる。
それなのに立ち止まるたびに、
口の中にぶどうの味が広がった。

今でも私の信号機は、ぶどう味だ。


本文文字数…404文字/410文字



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