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【創作】七夕の歩幅

#毎週ショートショートnote
#七夕の歩幅


天の川の橋の上で、
彦星は腕を組んで待っていた。

息を切らしながら現れた織姫に、
思わず「遅い」と漏らす。
織姫は「えへへ」と笑顔を浮かべる。
「ごめんね、急いでたんだけどね」
「急いでたなら、なんで遅いんだよ」
彦星は顔を逸らす。
織姫に会えて緩んだ顔を見られたくない。
「彦星くんのこと考えてたら、
 にやにやが止まらなくなっちゃって」
「…は?」
「去年一緒に見た星のこととか、
 一昨年、彦星くんが照れて怒ったこととか。
 全部思い出してたら嬉しくなっちゃって、
 気が付いたら足が止まっちゃってたの」
「…なんだよ」

彦星は黙った。
こいつは歩いてくる間、
ずっとオレのこと思い出して、
にやにやしていたのか。
オレはただ早く会いたくて走ってきたのに。

「もう天の川で会うの、やめよう」
織姫の目が大きくなる。

「来年から、オレがお前んとこ行く。
 お前はゆっくり待ってろ」
「彦星くん……」
「にやにやしながら待ってろ、バカ」
彦星は顔を背けた。
耳が赤い。


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