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移住日記/Week16_アイスクリームの闇を垣間見ました

ALDIの激安アイス/2.95ドル

マサチューセッツのノーサンプトンにやってきて2週間がたった。
現地はとても爽やかで緑も鮮やか。調べたところ北海道の室蘭と同じくらいの緯度らしい。
そして、この2週間でわかったことがある。
どんなに美しい景色も見飽きるということだ。
最初の1週間は感動の連続だった。
どこを歩いても絵になるのである。
芝生は鮮やかな緑だし、遊歩道ではセントバーナードみたいな大型犬とすれ違うし、池では木々が鏡のように水面に映る。
「俺の人生に、こんなところを散歩する時間がやってくるとは」などと、少々うっとりしながら写真を撮りまくっていた。
しかし人間というのは贅沢な生き物である。
飽きた。
正確には景色に飽きたというより、「おぉー!」という感動に慣れてしまった。
そして追い打ちをかけるように熱波が来た。
北海道の室蘭と同じ緯度、と聞くと爽やかな初夏を想像する。
しかし今週のノーサンプトンは違った。
最高気温は30度を超え、この原稿を書いている前日は35度近くまで上がった。
「ダラスより暑いんじゃないの」と本気で思った。
しかも蒸す。
テキサスは暑いが乾燥しているので木陰に入ると助かる。
こちらは違う。
木陰に入ってもモワッとしている。
そうなると景色の見え方も変わってくる。
青々とした芝生は「暑そう」に見えるし、遊歩道を歩く大型犬たちも全員やる気がない。
あまりにもやる気がないので、私は勝手にお気に入りのセントバーナードを「福ちゃん」と呼ぶことにした。
今朝も福ちゃんはいた。
舌を出しながら川辺をのっそり歩き、途中で立ち止まり、水面を眺めている。
その後ろ姿からは、
「ほんま、この暑さかなわんわ」
という気持ちしか伝わってこない。
福ちゃん、わかる。

そして暑くなると、アイスが食べたくなるのが人間だ。(おおげさ)
というわけで、先週も話題に登場したALDIへ買い物に行った。
すると、とんでもなく安いアイスを発見した。
48オンス。約1.4リットル。それで2.95ドル。
ハーゲンダッツが14オンスで4ドル前後なので、単純計算すると4分の1くらいの価格である。
とにかく安い。もう計算が合っているのかどうかすら怪しい。そして当然のように買った。
ところが食べ始めてすぐに違和感があった。
スプーンがやたら入るのである。
高級アイスというのは固い。
新幹線で売られていたスジャータのアイスなど、場合によっては凶器として利用できるのではないかと思うほど固かった。
しかしこちらは違う。
スルッ。
どんどん入る。
それに、妙に食べやすい。あっさりしている。
「ラクトアイスみたいな感じなのかな」などと言いながら食べていた。
体に良さそうな気さえする。
スプーンが入りやすいだけで健康的だと思い込むのだから、人間というのは本当に都合の良い生き物である。
しかし、その謎は相方によって解明された。
成分表を見ていた相方が言う。
「このアイス、コーンシロップ使ってる」
調べてみると、コーンシロップはとうもろこし由来の甘味料で、凍りにくくなったり、ねっとりした食感になったりするらしい。だからスプーンも入る。
その一方で「肝臓に負担をかける」「依存症になりやすい」などいろいろと書かれてる。
だから気づくとどんどん食べている。

翌朝。
罪滅ぼしのために散歩へ出る。
モワッとした空気。
やる気のない木々。
やる気のない私。
そして相方が突然言った。
「昔ね、コーンシロップの依存性を利用して人類滅亡を企む映画かドラマがあったの」
「へぇ」
「結構面白かった気がする」
「タイトルは?」
「なんだっけ」
一番大事なところが出てこない。
人類滅亡より先に記憶が滅亡している。
そのタイミングで福ちゃんが現れた。
相変わらずのっそり歩いている。
「どうでもいいけど暑いなぁ」
福ちゃんの後ろ姿はそう言っていた。

こんな遊歩道を毎日散歩してるけど、画像と違って意外と蒸している!

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