見出し画像

移住日記/Week27_健康診断で英語の伸びなさを実感しました

インフルエンザのワクチン代/0ドル

ダラスに戻ってきて、あっという間に一週間が過ぎた。
日中は40度を超えるような日もあるのだが、湿度が低いため、木陰に入ると意外と歩ける。日本の夏との一番の違いはやはり湿度なのだろう。昔、日本のジメジメした暑さに耐えかねて、「除湿機を一日中動かせば、エアコンをあまり使わなくても快適なのではないか」と思いついたことがある。しかし、除湿機そのものが熱を発するという重大な事実を考慮しておらず、部屋は乾燥した代わりに暑くなった。何をしているのかわからない。
あのとき実現できなかった「カラッとした暑さ」をダラスで体験してみると、なるほど、確かにこれは楽である。アメリカに来てから、「ちょっとしたパーティー」とか「カラッとした暑さ」とか、これまで言葉だけで聞いていたものを一つずつ実物で確認している気がする。

そんな中、ダラスに戻ってきたので、かかりつけ医の健康診断へ行ってきた。
相方の保険のおかげなのか、こちらでは定期的に医者に診てもらう機会がある。健康診断といっても、採血をして、血圧を測って、体重を量るくらいなのだが、定期的に数字を確認してもらえるのはありがたい。
そして、この先生がよくしゃべる。
私が日本人だと知ると、
「私の娘が日本へ旅行してね。すごく素敵な国だって言ってたよ」
と話し始めた。
ちなみに、この病院へ来るのは二回目である。
前回も聞いた。
「日本の北のほうでね、森と神社がたくさんあるところへ行ったんだよ」
これも聞いた。
「娘がホテルとか全部手配してね」
これも聞いた。
「今はシカゴに住んでるんだ」
これは初めて聞いた。
新情報である。
私が来週から一時帰国すると話すと、今度は「どの航空会社で帰るの?」と聞かれた。JALだと答えると、「JALはいいよねぇ。アメリカンとは全然違う」と言う。ちなみにJALはいいよねぇはなしは前も聞いた記憶がある。

ちなみに友人のCさんもこの先生に診てもらっているのだが、Cさんによると、「自分にも毎回同じ話をしてくる。患者ごとに何を話したかカルテに書いてるんじゃない?」とのことだった。
そういえば先生担当の看護師さんが「他の先生は電子カルテなんだけど、この先生は頑なに紙で書きたがるのよねぇ。」と愚痴っていたことを思い出す。これが、先生の患者把握術なんだろうか。
だとすると、次回も私は娘さんの日本旅行の話を聞くことになるのだろう。
それは別に構わない。
ただ、そろそろ「日本の北のほうで森と神社がたくさんある場所」がどこなのかを知りたい。
相方は日光ではないかと言う。私は平泉あたりではないかと思っているのだが、それではさすがに旅先の選択が渋すぎる気もする。

そんなことを考えているうちに診察は終わり、結果は良好だった。体重も血圧も前回より下がっており、体重に至ってはアメリカへ来てから5キロ以上減っている。
アメリカに移住して健康になる。
なんとなく逆の展開を想像していた。
おそらく外食をほとんどしなくなったせいだと思う。

その後、採血室へ移動した。
この採血室には二人の担当者がいるのだが、二人の関係が妙なのである。
どのくらい妙かというと、これまで二人が会話しているところをほとんど見たことがない。
相方に言わせると、
「あの二人、絶対仲悪いよ。一人はイケイケな感じだけど、もう一人はすごいオタクっぽいじゃん」
とのこと。
根拠としてはだいぶ弱いが、私もなんとなくそんな気がしている。
その日、私の採血を担当したのはオタクっぽいほうだった。
採血が終わったところで、突然、
「Do you have イヤリング?」
と聞かれた。
イヤリング?
私は耳に何もつけていない。
というか、そもそもなぜ採血後にイヤリングの有無を確認されるのだろう。
「イヤリング?」
と聞き返す。
無表情にうなずくオタク氏。
“Yes.”
沈黙。
その間に、別の患者がイケイケ氏のところへ小さなカップを持っていった。
そこで突然、すべてがつながった。
イヤリング。
ユーリン。
Urine。
尿である。
つまり「尿検査のカップは持っていますか」と聞かれていたのだった。
英語というのは不思議である。
わからないときは何もわからないのに、一度わかると、なぜそれまでイヤリングだと思っていたのか自分でもわからなくなる。

健康診断を終えたあとは、処方箋が出ていたので薬局へ向かった。
薬の受け取り手続きはすんなり終わったのだが、受付端末に「少し待ってください。薬剤師と話があります」との表示が。
しばらくすると薬剤師さんがやってきて、端末を操作しながら、
「Do you need ブローシャー?」
と聞いてきた。
ブローシャー。
Brochureだろうか。
薬の説明書か何かかもしれない。
しかも何やら「無料」という言葉まで聞こえた。
無料ならもらっておこう。
この判断だけは早い。
“Yes.”
と答えた。
すると、その場でしばらく待つように言われた。
薬剤師さんは端末をカタカタと操作している。
しかし、どう見てもパンフレットを印刷している感じではない。
何かがおかしい。
さっきの「ブローシャー」は本当にBrochureだったのだろうか。
だんだん不安になってきた私は、
「ブローシャー、いらないです」
というようなことを言った。
今度は薬剤師さんが、
「Brochure?」
とぽかんとした。
沈黙。
この日二度目である。
そして薬剤師さんが言った。
「Flu shot.」
フルーショット。
インフルエンザのワクチンである。
Brochureではなかった。
そういえば前日の夜、NHKニュースで日本ではインフルエンザが流行期に入ったというニュースを見たばかりだった。
ちょうどいい。
結果的にはものすごく都合がいい。
というわけで、そのままワクチンを打ってもらうことにした。
看護師さんは、私のたどたどしい質問にも丁寧に答えてくれ、接種もあっという間に終わった。しかも保険のおかげで料金は0ドルで、最後には割引クーポンまでもらった。
Urineをイヤリングと聞き間違え、Flu shotをBrochureと聞き間違えた一日だったが、健康診断の結果は良好で、ワクチンまで無料で打ってもらえた。
英語力については健康診断の項目になかったので、今回は異常なしということにしておきたい。

日中は35度を超えても日陰は涼しい、、、

いいなと思ったら応援しよう!