移住日記/Week17_カレーライスは和食なのかについて考えました
エスビー食品 ゴールデンカレーのカレールー/7.99ドル
熱波は案外あっさり去っていった。
そして再び、爽やかな初夏が戻ってきた。
人間というのは単純な生き物で、天気が良いだけで機嫌が良くなる。
先週まで「暑い暑い」と文句を言っていた私も、気温が下がった途端に散歩へ出かけ、「いやぁ、ノーサンプトンはいいところだなぁ」などと手のひらを返している。
我ながら現金なものである。
そして、それは人間だけではないらしい。
先週から散歩道で見かけるようになったバーニーズマウンテンドッグの福ちゃんも、暑さが去った途端にシャキッとしていた。
先週までは、「ほんま、この暑さかなわんわ」という感じで、川辺でぼんやりしていたのだが、今週は違う。
草むらの匂いを熱心に嗅ぎまわっている。
そういえば以前見ていた犬系YouTuberが、この行動を「クン活」と呼んでいた。
なんでも犬は匂いを嗅ぐことでストレス解消をするらしい。
犬もストレスが溜まるのか。
そりゃそうか。
毎日散歩して、ご飯を食べて、昼寝をしているだけに見えても、犬なりに色々あるのだろう。
今週は相方の古くからの友人であるS氏のお宅へお邪魔することになった。
日本食を振る舞うという話になったのである。
しかし困った。私はそこまで料理が得意ではない。時々自炊する程度の腕前である。
おまけに得意料理というと煮物だ。肉と野菜を出汁で煮る。めんつゆに助けられて生きている。
もし、神様が、「お前のここで生活している間、何か1つだけただで好きなだけあげよう」といってきたら、迷わず「めんつゆ」と答えるほどである。
神様もそんな事言われても困るかもしれないが。
相方からは「そういえば出てくる料理、茶色が多いね」とこの前言われたが、すべてはめんつゆの思し召しである。仕方がない。
そんな食材をめんつゆで煮込んだ料理が自分では好きなのだが、アメリカ人が喜ぶのかはわからない。
というわけで、悩んだ末にカレーライスにした。
カレーライスは偉大である。
大抵のものはカレールーと一緒に煮込めば形になる。
失敗もしにくい。
そして大体みんなが受け入れられる味付けだ。
ある意味めんつゆ並みに懐が深い。茶色なのは仕方がない。
しかしここで疑問が浮かぶ。
カレーライスは和食なのだろうか。
そして、「日本食をごちそうする」といってカレーを出すときに感じるそこはかとない後ろめたさはなんだろうか。
少しだけ騙しているような気がする。
そして、これが、ハヤシライスだったらこの後ろめたさはもっと強い気がする。
逆の立場で考えたら、「アメリカ料理をごちそうするね」といわれてカリフォルニアロールが出てくるようなものだろうか。いや、違うか。
ところでカレーについて考え始めるとまだ謎も多い。
カレールーで有名なハウスバーモントカレーの「バーモント」とは何なのだろう。
バーモント州の人はそんなにリンゴとハチミツを食べているのだろうか。
バーモント州はここからそんなに遠くない。
もし本当にリンゴとハチミツだらけだったら面白い。
だが、地図で見るとカナダと国境を接している州だ。
はちみつよりもメープルシロップばかりだったらどうしよう。
そんなことを考えながらS氏宅へ到着。
カレーを作ると伝えたとき、一瞬だけ残念そうな顔をしたように見えたのだが、気のせいだろうか。
そして、箸を用意してくれていて「使う?」と聞いてきた様子に、罪悪感が少し増す。
会食は楽しんでもらえて嬉しかった。
しかし、カレーライスは和食なのか問題にはまだ決着がついていない。
今度はもっと本格的な日本食でS氏を招きたいと相方と言葉を交わす。
ここはめんつゆの出番だろうか。

しかし、商品札はバーモントカレーという謎。
