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移住日記/Week9_ちょっとずつ人脈を広げ始めました


片栗粉/3.59ドル

「ところ変われば品変わる」という言葉を知ったのは、子供の頃に読んだ本だった。
内容はほとんど覚えていないのだが、「おでんを関西では関東煮という」という一文だけがなぜか頭に残っている。子供心に、「なんでそんな面倒なことをするのか」と思った記憶がある。名前くらい揃えればいいのに、という実に合理性だけでできた感想である。
そういえば、大学の学部内だけで通じる言葉というのがあって、それがコミュニティの結束に寄与する、というようなテレビ番組を見たこともある。
昔でいう「山」「川」みたいな符丁の話だろうか。何の話だ。
完全に寄り道をした。
本題は、片栗粉が切れたということである。
片栗粉。いかにも日本である。
これはさすがに日系スーパーでしか手に入らないのでは、と思い、例によってChatGPTに聞いてみたところ、「Potato Starchです」と言われた。
本当に?
長年「太郎」として付き合ってきた友人に、「実は英語名スティーブンやねん」と突然告白されたときのような違和感である。そんなことあるか。
一応、近所のスーパーで買えるらしいので、その話を相方にすると、「同じ名前でも、なんか違う気がする」と言われた。
そうなのか。
名前が違うだけではないのか。
しかしそう言われると、なんとなくそんな気もしてくる。人はすぐ揺らぐ。先日見たテレビで、「東京で働きたかったのに多摩センター勤務になって思っていたのと違った」という話をしている人がいたが、あれに近いのだろうか。いや、違う気もする。
混乱してきた。
そんな状態で、あるパーティーでこの話をしたところ、「片栗粉ってもともとカタクリの球根から作ってたけど、アメリカのポテトスターチの存在を知ってじゃがいもに代わったんだよ」と教えてもらった。
そうなのか。
片栗粉、おまえ。
名前どころか中身まで変わっていたのか。
太郎がスティーブンを名乗るどころか、スティーブンそのものになっていたということか。いや、それはちょっと違うか。なんだか最近よくあるリブート作品の話みたいになってきたが、うまくまとまらない。
その後、日系スーパーに行く機会があり、「ジャガイモ100%」と書かれた片栗粉を無事に購入した。
結局、違いはよくわかっていない。

北海道産、馬鈴薯!

日本人会の参加費/15ドル

引っ越してきて早くも2か月が過ぎてしまった。
ここ最近の日記では半径5キロ圏内が行動範囲等と言っているが、正確には半径3キロくらいで住んでいる。この前など、家のごみ捨てに玄関を出た以外、文字通り一歩も外に出なかった日もあった。
さすがにこのままだと人脈も行動範囲も狭すぎる、ということで、日本人会の交流会に参加することにした。
こういう場は、正直苦手である。
理由は明確で、自己紹介が苦手だからだ。
思えば中学生の頃から、自己紹介はだいたい滑っていた。別に面白いことを言おうとしているわけでもないのに、タイミングを外したり、直前の人が笑いを取ってしまったりして、結果として空気が微妙になる。今思い出しても若干動悸がする(やや誇張)。
そんなわけで、「会員でなくても15ドルで参加できる」という言葉に背中を押され、緊張しながら会場へ向かった。
いや、正確には「軽食付き」に惹かれた部分もある。人間は正直だ。

会場ではいろいろな方と話ができて、それ自体はとても有意義だった。
ただ、住んでいる場所の話になると、なぜか皆が言うのである。
「本当のダラスなんですね」
本当のダラス?
確かに、日本人が多いのはプレイノやフリスコあたりで、自分の住んでいるエリアではほとんど日本人を見かけない。
それはわかる。
だが、別の人に言われた
「ほっっんとのダラスですね」
この強調の仕方が、妙に印象に残っている。
何がそんなに“本当”なのか。
ともあれ、いろいろな人と知り合えたのはよかった。
今後この縁がどうなるかはわからないが、とりあえず活かしたいとは思っている。
その前に、半径3キロ以内で生活が完結してしまう癖をなんとかしなければならない。

歯科検診/40ドル?

歯科検診に行った。
2か月前に日本で検診を受けていたので、正直そこまで必要性を感じていなかったのだが、この判断は完全に誤りだった。
普通に虫歯が見つかった。
今回の検診の予約も1か月以上前に相方に連れられて予約に行ったときに提示された日付で、1か月もかかるのかと妙に印象に残っていた。
予約自体は1か月以上前に取っていたので、治療もかなり先になるのではと覚悟していたが、あっさり翌週の予約が取れた。
このあたりのスピード感は予想外である。
それよりも驚いたのは、検診のプロセスだった。
レントゲンまでは日本と同じなのだが、その後、よくわからない装置を口に入れられ、ひたすら写真を撮られる。
「オープン、マウス(口、開けて)」
「バイト、ダウン(噛んで)」を繰り返すこと十数回。
気づくと、自分の歯の立体画像が出来上がっていた。
ちょっとしたSFである。
その映像を見ながら、自分の歯茎がやや痩せていることに気づき、昔見た大竹しのぶさんのCMを思い出した。
「歯茎が痩せてきたら〜」というあれである。
他人事だと思っていたが、しっかり当事者になっていた。
さらに驚いたのが、その画像をAIが解析して虫歯を指摘してきたことである。
歯医者が何か説明しているのだが、「キャビア」と言っているように聞こえた。
キャビア?食べたこともないのに?
と思い、後でChatGPTに聞いたところ、「それ、Caries(カリエス)です」と教えられた。
なるほど虫歯である。

ありがとうChatGPT。
こういうときのために君はいる。

その後、「コーディネーター」と呼ばれる人が登場し、治療費について説明を受けた。要するにお金の話をする人である。
レントゲンなどの初診費用は40ドルとのことだった。
日本と違い、その場で支払いが発生しないので、正直なところ最終的にいくらかかるのかよくわかっていない。ただ、目が飛び出るほどではなさそうなので、とりあえず安心している。
来週の治療が、無事に終わることを願うばかりである。

振り向けばそこには立体映像の歯が!


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