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『宝島』(2019)ギヨーム・ブラック~自然の緑と光と水辺の夏~

写真引用(C)bathysphere 2018

フランスのギヨーム・ブラックの映画は初めて見た。ずっと見たいと思っていた映画監督だ。U-NEXTで見ることが出来た。濱口竜介監督の『急に具合が悪くなる』を観て以来、映画を一つの形に押し込めて考える必要がないと感じたから、彼の映画も見てみたくなったのだ。ギヨーム・ブラックの映画は、フィクションでありながらドキュメンタリーのように撮影している。この映画は少なくともプロの役者が台詞を語り演じているようには見えない。

フランスの夏のバカンスの映画であり、エリック・ロメール映画のように森の緑と太陽の光と水辺が美しい。ロメールの『友だちの恋人』(2007)の舞台として知られ、ブラック監督自身も幼少時に頻繁に訪れたというパリ郊外のセルジー=ポントワーズのレジャー・アイランド。自然の森と水辺を活かしつつ、人工湖やビーチを整備したレジャー・アイランド施設には、ひと夏に様々な人たちがやって来る。そのひと夏のレジャー・アイランドにカメラが入り込み、様々な人たちのそれぞれの夏を描いて見せた。入場料金は1日15ユーロ(3,000円くらい)。

保護者同伴じゃないと入場できないと言われ、3時間もかけてやって来た少年たちは、川を泳いで渡り無断で施設内に侵入する。ドキドキの冒険。しかし、アッサリ警備員に捕まる。施設の人間たちは天気予報の気温を見ながら今週の人員態勢を決めている。施設内で若者たちは女の子たちをナンパし、閉園後のデートに誘う。少女は将来の夢を母に語りながら朝一番で施設にやって来る。歩く母娘を捉えたロングショットがいい。人工の水辺で水着で遊ぶ人だかりと、あまり人がいない美しい自然の水辺が交互に描かれる。飛び込み禁止の橋の上から次々と川へジャンプする若者たち、遊泳禁止区域で泳ぐ人をボートで注意する警備アルバイト、白鳥と泳ぐ老人、若い娘と過ごしたバカンスの思い出を語る老人。ドキュメンタリーのようにカメラに向かって時には話し、女の子に声をかける設定だけ与えられて若者たちが演じている場合もある。ナンパに成功したカップルは閉園後の施設で、高い場所から一緒に水に飛び込む。冒険、出会い、恋、夏の想い出、静かに一人過ごす老人・・・。

レジャー施設になる前の自然のままが良かったと呟く老人。フェンスを乗り越え警備員に説教される少年たち。「レイシストたちめ」と怒る少年もいるが、「ただ見つかってバレただけだ。レイシストじゃない」と言い返す少年もいる。夜に施設に忍び込み警備員の目をすり抜け水辺でスリルを味わう若者たちは、「生きている実感」が大切だと言う。夜に警備する男は、かつて教育大臣を批判して教員をクビになってこの場所に辿り着いた話をする。森で食事をしながら歌を歌って寛ぐ人たち、小さな弟と二人で遊ぶ黒人の兄弟、アフガニスタンからの移民の苦労話と故郷に似ている山と川の景色。そして雷と豪雨で誰もいなくなった施設内の水辺。夏が終わり、レジャー・アイランドも閉める。最後に黒人の幼い兄弟が小高い山を登り、見晴らしの良い場所に立つ。「弟クレモンと永遠の子供時代に捧ぐ」という献辞が出て映画は終わる。

ギヨーム・ブラックの若くして亡くなった弟に捧げられているようだ。自分の個人的な思い出と、人々が様々な理由でこの夏の「宝島」に集まってくる不思議さと魅力を描いたのだろう。さまざまな出会いと冒険があり、束の間の恋や失敗や犯罪や逃避や幻想がある。一方で管理や規則があり、塀があり、監視カメラがあり、経済があり、人工的な作られた夢でもある。それでも自然の緑と光と水は美しい。


2019年製作/97分/フランス
原題または英題:L'Ile au tresor
配給:エタンチェ

監督:ギヨーム・ブラック
製作:ニコラ・アントメ
撮影:マルタン・リット
音楽:チョン・ヨンジン


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