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あなたがいなくても、その会社は明日も動きますか?!

8%の男 ― 生かされた命が伝えたいこと ―

第15話
あなたがいなくても、その会社は明日も動きますか。

社長が会社を守るために、
元気なうちに考えておきたい
「自分がいない会社」のこと

社長、明日あなたが会社に来られなくなったら、どうなりますか。

社長。
少し嫌な質問をさせてください。

もし明日、
あなたが会社に来られなくなったら、
会社はいつも通り動きますか。

社員への指示は誰が出しますか。
銀行との話は誰がしますか。
大切なお客様との関係は誰が引き継ぎますか。
支払いの判断は誰がしますか。
会社の重要なパスワードや契約内容を、
誰か知っていますか。

そして何より、
「社長ならどう判断するか」
を分かっている人はいますか。

少し意地悪な質問かもしれません。

でも、経営者には一度、
元気なうちに考えてほしい質問なのです。


「自分がいなければ会社は回らない」は、本当に誇れることでしょうか

中小企業では、
「社長が全部知っている」
「最後は社長が決める」
という会社は珍しくありません。

私も長く税理士として経営者と接してきましたが、
「俺がいなければ、この会社は回らないよ」
という言葉を何度も耳にしてきました。

確かに、それだけ社長が頼りにされているのでしょう。

創業者なら、自分で営業し、自分で採用し、
自分で資金繰りをして、会社を育ててきた。

社長に仕事が集まるのは、ある意味当然なのです。

でも、今の私は、「俺がいなければ会社が回らない」
という言葉を聞くと、少し違うことを考えます。

「社長、それは少し危ないですよ」と。

それは、
「頼られている会社」なのでしょうか。

それとも、
「社長に依存している会社」なのでしょうか。

会社が成長したあとも、
その状態のままでいいのでしょうか。

私は「社長が突然いなくなる」ということを、自分の身体で知った

私は二度、心臓が止まりました。
だからこれは、経営書を読んで考えた話ではありません。

私は、自分が明日も会社に行けると思っていました。

予定もありました。
仕事もありました。
お客様との約束もありました。

でも、そんなよていとは関係なく、
私は突然、仕事ができなくなりました。

経営者が明日も会社に来られる保証はありません。

私は、それを自分の身体で知りました。
これは病気だけの話ではありません。

事故かもしれない。
家族の事情かもしれない。
あるいは、いつか、
「もう、この働き方は続けられない」
と思う日が来るかもしれません。

だから私は、
経営者の皆さんに伝えたいのです。

「自分がいない会社」のことを、
自分が元気なうちに考えてほしい。

倒れてからでは、
できることが限られてしまうからです。

会社に残すべきものは「仕事」だけではない

社長がいなくても会社が回るようにするというと、

マニュアル化。
権限委譲。
業務分担。
IT化、DX化。

そうしたことを考えるでしょう。

もちろんどれも大切です。
でも、それだけではありません。

私は、もう一つ会社に残してほしいものがあります。
それは、
「社長が何を大切にしてきたのか」ということです。

なぜ、このお客様を大切にするのか。
なぜ、この仕事は断るのか。
利益と社員のどちらかを選ばなければならない時、
何を基準に判断するのか。

迷った時に、何を優先する会社なのか。

残すべきなのは、
仕事のやり方だけではありません。

「判断の軸」も残してほしいのです。

私はそう思っています。

あなたがいなくても回る会社をつくることは、「自分を不要にすること」ではない

経営者の中には、
「人に任せたら、自分の存在価値がなくなる」
と、どこかで感じている人もいるかもしれません。

だから仕事を抱える。
全部報告させる。
最後は全部自分で決める。

でも私は、逆だと思います。

社長がいなくても回る会社をつくることは、
社長を不要にすることではありません。

社長にしかできない仕事に、社長の時間を戻すことです。

未来を考える。
新しい事業を考える。
大切なお客様に会う。
社員を育てる。
家族との時間を持つ。
そして、自分自身のこれからの人生を考える。

社長が抱え込んでいる仕事を一つ手放すことは、
仕事を放棄することではありません。

経営者にしかできない仕事を取り戻すことなのです。

社長、まず「1週間いなくても回る会社」を考えてみませんか

いきなり、
「自分がいなくても会社が回るようにしてください」
と言われても難しいでしょう。

そこで、もっと小さく考えてみてください。

「もし来週から、自分が1週間会社に来なかったら?」

その時、次の5つを考えてみてください。

①    あなたにしか分からない仕事は何か
②    あなたにしかできない判断は何か
③    あなたしか知らない取引先・銀行との関係は何か
④    あなたがいなければ止まる業務は何か
⑤    あなたの代わりに判断できる人は誰か

一つでも答えに詰まったら、
そこに、今の会社の「社長依存」
隠れているのかもしれません。

全部を明日変える必要はありません。

一つずつでいい。

「社長でなくてもできる仕事」を、
一つずつ社長の手から離していけばいいのです。

これは、事業承継やM&Aより前に考えること

事業承継というと、「まだ先だ」
M&Aというと、「会社を売るつもりはない」
と思う経営者がいます。

でも私は、もっと手前から考えてほしいと思っています。

「自分がいなくても、この会社の価値は残るのか。」

社長個人についているお客様。
社長しか知らない技術。
社長しかできない判断。
社長だけが持っている人脈。

それらがすべて社長個人の中にしかなければ、
社長がいなくなった時、
会社からも失われてしまいます。

私は、M&Aを単なる
「会社を売るための方法」
だとは考えていません。

大切なのは、社長がいなくなっても、
その会社の価値や、社長が大切にしてきたものを、
次の人へつないでいけるか。

会社を残すことだけが、事業承継ではない。
残すべきものを、未来へつなぐことも事業承継なのです。

だから事業承継もM&Aも、
社長が引退を決めてから始める話ではありません。

社長が元気な今だからこそ、考えられる経営の話なのです。

会社を守るために、あなた自身を会社から少しずつ自由にする

社長。

あなたが会社を守りたいと思うからこそ、
あなたがいなくても続く会社をつくってほしい。

あなたが社員を大切に思うからこそ、
あなた一人に依存しない会社をつくってほしい。

そして、あなた自身の人生を大切にするためにも、
会社から少しずつ自由になってほしい。

会社から自由になるとは、
会社を捨てることではありません。

何でも自分で抱えなければ会社が回らない状態から、
自分がいなくても会社が動き、
それでも自分は経営者として必要な仕事を
選べる状態へ変えていくこと。

私は、それも経営者の大切な仕事だと思っています。

最後に、一つだけ質問します。

もし来週、あなたが1週間会社を休むとしたら、
何が一番心配ですか。

その答えの中に、
あなたが最初に「社長依存」から抜け出すためのヒントが
隠れているのかもしれません。

今日の一言

強い会社とは、社長がいなくても続く会社。
そして強い経営とは、社長の人生まで守れる経営。


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