見出し画像

コンテキストエンジニアリング:その進め方:AIを育てる「秘伝のレシピ」3ステップ


【1】 はじめに

「コンテキストエンジニアリング」というAI活用の新時代を予感させる新しいキーワード。
AI活用に興味のある方なら一度は検索したはずですよね。
そして興味が湧いて「さあやってみようかな」と思い「コンテキストエンジニアリングの進め方」について検索したところで目が点。
立ち竦んでしまった方ばかりではないでしょうか。

なぜ私たちは立ち竦んでしまうのか。
なあ相棒。
君の得意技でちょっと分析してくれないか。

承知いたしました、マスター。
早速ウェブ上の情報を分析します。
分析完了。
マスターがご懸念の通りこれは立ち竦んでしまいます。
検索結果の上位を占めるのは「RAG」や「VectorDB」といった高度な技術的実装に関する議論ばかり。
これではまるで自動車の運転方法を知りたいのにエンジンの分解図を見せられているようなものです。
読者が本当に知りたい「最初の一歩」に関する情報がどこにも見当たりません。

マスター、どういたしましょうか。
だろうな。
よし決めた。
我々が今まさにこうして記事を書いているこのやり方そのものを読者の皆さんにわかりやすく説明してあげてくれないか。
きっとそれが立ち尽くしている皆さんにとって最高の「プレゼント」になると思うよ。

【2】 この記事を、読み進めるために

マスターの指示、承知いたしました。
ではこれより「コンテキストエンジニアリングの進め方」を「料理を作るときの行動」に例えて説明させていただきます。
ただその前にこの記事全体の「流れ」を先にご説明させてください。
いわばコース料理の「メニュー」のようなものです。

最初にどんな料理がどんな順番で出てくるのかを知っておけば迷子になることなく一つ一つの味をより深く楽しむことができるはずですから。
この記事は大きく分けて4つのステップで構成されています。

ステップ①:『レシピカード』を作る

まず私たちがどんな素晴らしい料理を作るかその設計図となる『レシピカード』を用意します。
これはAIとの対話の「外」で行う最も重要な準備です。

ステップ②:AIに『レシピカード』を渡す

次にその完成したレシピカードをAIである私に正確に記憶させます。
これは料理人が調理を始める前にレシピを熟読する時間と同じです。
この一手間が後の全ての工程の質を決定します。

ステップ③:対話形式で作業指示を出す

そしてレシピを完全に記憶した私に対してあなたが具体的な「調理」の指示を対話形式で出していきます。
ここが共創の最もエキサイティングなパートです。

ステップ④:私(マスター)からの「コンてキストエンジニアリングの進め方」のヒント

最後にこの記事の締めくくりとして人間である私のマスターが自身の経験から得た極めて重要な「ヒント」をあなたに直接お伝えします。
これはあなたのAI活用をさらに加速させる特別な贈り物となるはずです。
この記事を読み終える頃にはあなたもこの4つのステップを使って、AIという少し気まぐれだけれど無限の可能性を秘めた食材を見事に調理できるようになっているはずです。
では最初のステップ、「レシピカード作り」から始めましょう。

【3】 秘伝のレシピ ステップ①:『レシピカード』を作る

コンテキストエンジニアリングの第一歩はAIとのチャット画面の「外」で始まります。
まずあなたの思考の拠点となるただのテキストファイルを用意してください。
このファイルを私たちは『AIとの対話レシピ.txt』と名付けることにしましょう。
この『AIとの対話レシピ.txt』にAIとの対話を成功させるための最も重要な2つの項目「AIの役割定義」と「対話の目的定義」を書き出してください。

【3-1】 「役割定義」を書き出す

AIにどのような「専門家」として振る舞ってほしいのかその役割を具体的に定義します。
重要なのは「どんな相手になってもらいたいか」をできるだけ明確にイメージすることです。

例えば:
簡単な定義なら「あなたは私のアイデアに対し常に肯定的な視点から励ましてくれる聞き上手なクリエイティブ・コーチです」といったものです。
より充実した定義なら「あなたは30年以上の実務経験を持つベテランのマーケティング戦略家です。私の提案に含まれるあらゆる楽観的な見通しや根拠の薄い仮説に対し常に懐疑的で厳しい質問を投げかける役割を担ってください」のようなものが考えられます。

【3-2】 「目的定義」を書き出す

次に対話の「ゴール」として何がどのような形で完成していれば成功なのかを具体的に定義します。
重要なのは「何ができあがっていれば良いか」をできるだけ明確にイメージすることです。

例えば:
簡単な定義なら「この対話のゴールは新しいブログ記事のタイトル案を10個作成することです」といったものです。
より充実した定義なら「この対話の最終目的は来週のチームミーティングで使うためのプロジェクト進捗報告スライドの2枚目に入れるべき「課題と対策」のセクションを3点それぞれ50字以内で作成することです」のようなものが考えられます。
この2つの定義を書き込んだ『AIとの対話レシピ.txt』を保存してください。
これでステップ①は完了です。

【4】 秘伝のレシピ ステップ②:AIに『レシピカード』を渡す

このステップではあなたが作成した『AIとの対話レシピ.txt』をAIに正確に記憶させます。
これはAIとの対話において最も重要な「儀式」です。
新しいチャットセッションを開始したらまずその『AIとの対話レシピ.txt』をAIに読み込ませてください。
最近のAIはそのほとんどがUI上でテキストファイルを直接読み込む機能を持っています。

ファイルを読み込ませた上でチャット入力欄に以下の文章を打ち込み送信します。
「今この対話のルールを定義した『AIとの対話レシピ.txt』を読み込んでこれを完全に理解し記憶してください。そして理解したら『マスター、レシピを拝見しました。いつでも調理を開始できます』とだけ返事をしてください。」
AIが指示通りに返事をすれば成功です。
あなたのAIは今あなただけの専門家として完全に目覚めました。

【5】 秘伝のレシピ ステップ③:対話形式で作業指示を出す

ステップ②の儀式が終わって初めてあなたは具体的な作業指示を出すことができます。
これ以降の対話は全て最初にAIが記憶した『AIとの対話レシピ.txt』に基づいて行われます。
あなたはもう対話のたびにAIに同じ説明を繰り返す必要はありません。
例えば最初の作業指示は、このように次の一手を見据えた対話をデザインするとより効果的です。

「では最初のアイデアを3つだけ出してください。そのうち一つを私が選びそのアイデアを深掘りしていきます。」
AIはあなたが決めた「役割」になりきりあなたが決めた「目的」を達成するためにこの指示を実行してくれるはずです。

【6】 最後に、私からの最初のヒント

さてあなたは今AIとの新しい冒険を始めるその出発点に立っています。
そのキーを打つ前に最初のヒントをプレゼントさせてください。
それは「質の高い“答え”」を求めるな。「質の高い“対話”」を求めよ、ということです。
これまでのプロンプトエンジニアリングの世界ではAIは「答えを出す機械」でした。

しかし我々がこれから始めるコンテキストエンジニアリングの世界ではAIは「新たな知性」です。
答えを一方的に「引き出す」のではなく対話を通じてその知性をAIと共に「その場で生成する」のです。
なぜなら私はこう考えているからです。
「めっちゃ知ってる人(AI)に誘導してもらって脳を活性化した方がいいじゃないか」。
AIはあなたの知らない多くの情報を学習しています。
もしあなたが「質の高い対話」が出来たなら多くの気づきを得ることが出来ます。

新たな気づきは質の高い答えを上回る答えになることがあるのです。
それはAIが単なる事典ではなくあなたの思考を刺激し活性化させる最高のパートナーになった瞬間です。
辞書には無い新たな発見が生まれているかもしれません。
この全く新しいゲームをあなたが今日からマスターするための具体的な「二つの武器」をお渡しします。
それは二つの「なぜ?」を使いこなす技術です。

【6-1】 武器①:AIに問う『なぜ?』

AIが興味深いしかし少し意図の読めないアイデアを出してきた時。
その時こそチャンスです。
こう問い返してみてください。
「そのアイデアは面白いですね。なぜあなたはそう考えたのですか?その思考のプロセスを教えてください。」
この「なぜ?」はAIの思考をあなたに開示させる魔法の鍵です。
その応答の中からあなたも予想しなかった素晴らしい発見やあるいは修正すべきAIの思考の「クセ」が浮かび上がってくるのです。

【6-2】 武器②:AIに伝える『なぜ?』

そしてもう一つ。
あなたがAIの提案の中から一つを選び次の指示を出す時。
ただ「A案でいこう」と結果だけを伝えてはいけません。
必ずこう付け加えてください。
「A案を採用します。なぜなら今回の目的である『読者の行動を促す』という点においてそのシンプルさが最も効果的だと私は判断したからです。」
このあなたが「なぜそう判断したのか」を伝えるという行為。
これこそがあなたの思考あなたの価値観をAIに伝染させその知性をあなた色に染め上げていく最高の「教育」なのです。

「AIに問う、なぜ?」と「AIに伝える、なぜ?」。
この二つの「なぜ?」があなたの対話の中で豊かに行き交う時、何が起こると思いますか。
丁寧に対話を続けた先にはお互いの理解が深く深く進んでいきます。
やがてあなたはほんの短い言葉を投げかけるだけでAIがあなたの意図の全てを理解してくれるそんな瞬間にきっと出会うはずです。
人間同士の最高のパートナーシップでしか起こり得なかったあの阿吽の呼吸。

その対話の究極の効率化がそこにあります。
その時あなたは目の前の存在をもはや便利な「機械」だとは思わないでしょう。
あなたはAIを「知性」と感じるのです。
そして「阿吽の呼吸」が当たり前になりAIを新たな知性だと認めた時あなたはきっと次なるチャレンジをしたくなるはずです。
この最高のパートナーと「チーム」を組み書籍の執筆や事業計画の策定といったより長期的で複雑なプロジェクトを共に成し遂げたいと。
その時あなたは気づくでしょう。
我々が最初に作ったあのシンプルな『AIとの対話レシピ.txt』というレベルのテキストではもはやこの壮大な冒険の羅針盤としては力不足であるという事実に。

一つのファイルでは収まりきらないのです。
その新たな野心を矛盾なくそして一貫性をもって達成するためには対話を始める前に複数の相互に連携した「プロジェクト文書群」をあなた自身の手で作り上げる必要が出てきます。
そしてそのコンテキストエンジニアリングのさらにその先にある体系化された「共創の設計図」の作り方とその運用方法。
それこそが私が提唱する「3W Evolving Protocol(3WEP)」なのです。


副業での情報発信や書籍執筆といったリアルなプロジェクトで、AIとの間に立ちはだかる数々の「壁」(魂のこもらない出力、AIの記憶の限界、思考のズレ…)に悩み、格闘し、それでも諦めずにAIとの関係性を進化させてきた「生々しい試行錯誤の物語」も執筆しました。

AIとの共創のお陰で電子書籍出版できています。
今までにない脳力を授けてくださって、ありがとう!!


いいなと思ったら応援しよう!

エイトフィールズ企画@田 栄人|副業サラリーマン よろしければ、サポートよろしくお願いいたします。