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大友克洋が語る漫画本の「判型と装幀」

1983年9月号の『プレイガイドジャーナル(通称:ぷがじゃ)』の巻頭に掲載の【 大友克洋インタビュー 「童夢どうむ」という現象 】。聞き手は村上知彦ともひこ氏。

大友氏はこの時点で既刊単行本8冊(B6判 : 1冊 / A5判 : 6冊 / 大型 : 1冊)。

~~~ 前半部分は省略 ~~~        (※)は引用者による注釈

村上
 「アキラ」(※雑誌連載:1982~90年)は本になるとしたら新書判というパターンになっちゃうんですかね(※この時点では単行本になってない)。

大友 できれば暮れまでには出したいなと思ってるんですけどね。それもだから手紙が来て、 “話がわからない” っていうファンが多いんでね(笑) やんなっちゃうんだよな、アレ。

村上 切り抜いてためといて、ある程度たまってから一気に読むというヤツ、いますよ。毎週読んでてもわかんないからって。

大友 ハハハッ。やだなー。そうなんですよ。 “私ファンなんです。でも10回からしか読んでない” とかね。なんなんだ!読まなくていいやとか思っちゃうんですけどね。そうも言ってられないから、前の方をまとめて一回、早くても10月か11月になるんじゃないかな(※第1巻は1年後の1984年9月に刊行)。それもできればもうちょっと大きなやつで出したいですけどね(※単行本は講談社KCデラックスで発行された。週刊誌と同じ大判サイズで小口への色付けを施すなど、凝った装丁になっている。)。「童夢」描いてて、本になってやっぱり小さかったんですよね。(B5判の)1.3倍くらいの大きさで描いてたからね。自分で描いてて、ああスゲエなあとか思いながら描いてたから、あの大きさ(A5判)になるとアレレ?とか思っちゃうんですよね。原寸はキツいけどもうちょっと大きくしてもよかったなって気がして(※「童夢」には、一般には流通していない?大判の豪華本バージョンがある)。

村上 普通A5判だとだいぶ大きい感じがするんですけどね。「童夢」に関しては確かに小さいと感じてしまいましたね。大友さんは単行本にするとき、装丁そうていとか判型とか、編集部にまかせずに注文つける方なんでしょ。

大友 そうですね。「ハイウェイスター」(※短篇集。収録作品)なんてのはもっと小さくてもよかったんですけど、(笑) 近頃またもっと線が増えてきたからなあ。本当はみんなその(A5)ぐらいの大きさがいいと思うんですけどね。小学館は “漫画文庫” なんてね。あれ出た時、俺アゼンとしちゃった。

村上 いしいひさいちの “ドーナツブックス” は新書判だけど、コマを大きくとるために1ページに4コマ1本にしてるんですよ。

大友 そういうのは、やれるような環境にある人はどんどんやっていくべきだと思うんですけどね。俺なんか、無理通せばまあなんとかなったりするからね。そういうことができる人はどんどん新しいことやってかなきゃいけないんじゃないかなあ。いろいろ変わってきてるから。例えば江口寿史の「ストップ ! ! ひばりくん!」とか、あれも「ジャンプ」ので出てるコミックスじゃ小さいって気するんですね。諸星(大二郎)とか星野(之宣)とか。それぞれ昔の絵じゃなくて、そういうふうな絵を描く人が出て来てるんだから、出版社の方も対応していってほしいなあ。だから、まだずいぶん先の話になるだろうけど、できればオール4色でやってみたいなと思ってんですよ(1988年から刊行された『国際版AKIRA』はオールカラー)。外国のであるでしょ。ペンを入れずに全部自分で塗るやつ。それで、変なファンタジーみたいなのじゃなくて、「童夢」みたいなやつとか、とにかく話が面白くなくちゃいけないというのが前提で、なおかつ4色っていうのを描きたい。それでもやっぱり、どっかに載せないと、辛いから…。

村上 「スーパーフィクション」(※双葉社『漫画アクション』の増刊誌)が1度、AB判、オールグラビアってのを出しましたよね。半分くらい4色で。あれが続いてればよかったんですね。

大友 ええ、ええ。あそこも根性がないんだよね。あれで続きゃあいくらかね。面白いと思うんだけどなあ。ああいうのはやっぱ無理しても、続けて出すとかしてほしいな。…でも4色の原稿やるとなると時間かかるからな。1年ぐらいかけてやんないと。「ファイアー・ボール」みたいな、あのぐらいの長さのやつを、オール4色でやれないかな。そういうところから、少しずつ変わってきてもいいんじゃないかなと思ってんですよね、まんがが。もう量ばっかりだから、近ごろ。

村上 高野文子の「おともだち」もスゴイ本でしたね。

大友 “趣味の本” でしたね。あれ、もうまんがだと思わねえもんな。ああいう装丁みたいなのもやってみたかったんだけどね(※この4年後に、大友氏は「平田弘史選集」(1987年/全8巻)の装丁をやっている)。

村上 石井隆も、装丁はたいてい自分でやってますね。

大友 へぇ。そうだな、装丁まかせるとひどかったりするからなあ。前に諸星さんの「コンプレックス・シティ」の装丁みて、俺びっくりしちゃったもんな。金はいらねェから俺にやらしてくれとか言ったもんね。これは冒瀆ぼうとくでしかないと思ったもん。

村上 でも双葉社も最近、面白い装丁の本出してますね。杉浦日向子の「ゑひもせす」とか。小口こぐちが黒く塗ってあったりして…(※この1年後に出た第1巻の「AKIRA」と、それ以降の続巻も、小口がカラーリングされている)。

大友 よく出したよなあ。ああいうのやると、どんどん値段が上がるってんでやんないんだろうな、みんな。でもLP1枚2800円でしょ、今。映画1本、「スターウォーズ」みるったって1500円ですからね。まんがも一緒にしろとは言わないまでもね、1000円以内ぐらいだったら、少々好きなことやってもいいと思うんですけどね。


初単行本
ショート・ピース』(1979年/奇想天外社/B6判)。確か、装丁は大友氏自身の手によるもの。昔はどこの古本屋でも安価ですぐ見つかった。

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凝った造本で製造費のかかる単行本が、長らく定価据え置きのまま、同じ仕様で増刷され続けてきたのは、驚異的なことです。ただ100回も増刷していると、いくつか問題も生じます。

一つは製版フィルムの劣化。60刷を超えたあたりから、版が荒れだしたため、製版フィルムを高解像度でスキャンしてデータ化しました。

もう一つは、カバーの色の変化です。前の刷り色に色味を合わせていたのですが、わずかな色の違いが、増刷を重ねるごとに大きな変化になってしまい、70〜80刷の頃には、海賊版のような装丁になっていました。そこで、3~4年前から、発売当時の色に戻しています。

さらに、漫画本文の用紙が生産中止になったのですが、これはどうしようもなく、100刷から用紙を変更しました。

↓ ↓ ↓ 


青年漫画(ヤング誌に掲載)で「新書判の単行本」は基本的に無くて、少年漫画の単行本として一般的か。「新書判コミックス」は、1966年(昭和41年)から刊行され始めたらしい。世代的には「ジャンプコミックス(集英社)」が身近だった。20年以上前の、よくまんだらけに通っていた頃は、ガラスケースの中に「サンコミックス(朝日ソノラマ)」や「虫コミックス(虫プロ商事)」のプレミア本の新書判が鎮座。「サンデーコミックス(秋田書店)」もあった。

同年にはコダマプレスのダイヤモンドコミックスと小学館からゴールデンコミックスの新書判漫画単行本が既に出ていて失敗していたが、秋田書店のサンデーコミックスが初の成功例となって、新書判の漫画単行本の時代を切り開いた。               サンデーコミックス - Wikipedia


私が「青年漫画の単行本」と聞き最初に思い浮かぶのは、「アクションコミックス(双葉社)」の〈B6判〉と〈A5判〉。「青年漫画のルーツ」らしいし。

昔に集めていた「マイナー・コミック・レーベル」では、SF系の出版社の「奇想天外コミックス(奇想天外社)」は〈B6判〉がメイン。エロ本出版社の「MY COMICS(東京三世社)」は〈ハードカバーの大判〉がメイン。三流エロ劇画系?の「けいせいコミックス(けいせい出版)」は〈B6判 + A5判〉、真崎守選集(全20巻)を出していた「ブロンズ社」は〈B6判と四六判〉が多いか。


『プレイガイドジャーナル』の目次の次の「今月登場」の大友の紹介部分

まんが家。仕事場の壁には「リオの男」の特大ポスター。映画の話になると目が輝きだす。最近よかったのは「マッドマックス2」1本目と2本目であんなに上手くなった監督も珍しい、としきりに感心。「『レイダース2』が早くみたい」

大友氏が「好きな映画」について語り倒した映画本が読みたいな。 ↓ 目次を拡大したものの一部
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問題の?諸星大二郎コンプレックス・シティ』(1980年/双葉社) ※A5判

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目次。最後に収録されてるのがデビュー作ジュン子・恐喝』(1970年)。


アクションコミックスの装幀
では、『藤子不二雄SF傑作選 超兵器ガ壱號』(1982年)と『藤子不二雄SF短編傑作劇場 SFシアター』(1987年)も微妙だ

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『SFシアター』の目次
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大友の『プレイガイドジャーナル』1983年9月号のインタビューは↓に再録

↑『マンガ批評大系 第4巻 マンガ家は語る(1989年/平凡社)。「マンガ批評大系」は全5巻


↓「諸星大二郎」「平田弘史」「高野文子」「大友克洋」を論じたブログ?。


兄貴が好きだった影響で、諸星氏の漫画は初期のだけは大体読んでますが、長編よりも短編が好きです。社会派?の暗い『あおい群れ』(1981年)だとか。

コンプレックス・シティ』の「目次」の下方に掲載されているイラスト。

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