青い草を挿せばいい
八坂神社の隣の道を上って、職場を過ぎてぐんぐん上って、大谷祖廟まで行く。
そこまで行くとほとんど人がいない。
大きな参道は木々に囲まれていて、ベンチがいくつかあるけど誰も座っていない。
僕はそこにたまに座る。
プラスチックのじゃなく、木のベンチを選ぶ。
気が向いたらもっと上まで行って、街を見下ろす。
ここで生きているんだと思う。
僕はGO!GO!7188が大好きだ。
椎名林檎よりジュディマリよりチャットモンチーよりカネコアヤノより好きだ。
女が作った音楽の中でいちばん好きだ。
誤解されてもいい。
そんな気分にもなってくる。
鋼っぽいギターと地鳴りみたいなベースの音。
それよりも尖っている日本語。
とんでもないこと。
冬の明るい時間に聴くのが特に好きだと気付いたのは去年のことだった。
神様のヒマつぶし。
瑠璃色。
サンダーガール(感電バージョン)。
大好き。
黄色く染まった背の高い木をさらさらと揺らす風が、何にも邪魔されない空に浮かぶ雲をゆっくりと運んでいる。
僕はそれを眺めながら、月と甲羅を聴いて泣いた。
しばらくぼーっと泣いて、時間になったので仕事に行った。
よく働いた。
お見送りが終わって部屋を片付けていたら店長さんが来て、「なんか今日ぽやぽやしてない?大丈夫?」って言った。
僕はこういうことに弱い。
そして店長さんにはよく気付かれる。
多分それだから僕は嫌いになれない。
大谷祖廟に寄ることも、ベンチに座ることも、泣くことも、とっても久しぶりだった。
なんかおかしいなと思いながらも、なんとかやれたと思ってた。
目を合わせたら涙が出そうなので一生懸命そらしながらしゃべった。
ちょっとふざけた感じで。
でもそういうのも全部バレてるんだろうなと思った。
それも嬉しかった。
東大の数学者の人から聞いた話をしてくれた。
お風呂に浸かったらアイデアがぽこぽこ浮かぶんだって。
銭湯にでも行ったら?と言われて、明日のお休みは銭湯に行くことに決めました。
大きな問題があるわけじゃない。
いつも悩みは一つだけ。
すごく好きだと思った歌詞が空耳だったことを、いま知った。
ほんとに自殺する勇気なんかなかったことを思い出していた。
