やさしいままで
恋愛は難しい
私は恋愛が苦手だ。
そもそも、私はなかなか人を好きにならない人間である。
やっと好きな人ができても、こちらを好きになってもらうことは難しかったし、素敵な人が私のことを好きになってくれても、その思いに応えられなかった。
だからこそ、高校や大学で、次々に恋人ができる友人たちを不思議に思っていた。
家族や友人がたくさん愛を与えてくれたから、自分のことは嫌いではなかったけれど、「好きな人に好きになってもらえない自分は欠陥品なのかな?」と思うことがあった。恋愛話は好きだったけれど、友人と楽しく話した帰り道の電車で、なんとなく悲しくなってため息をついてしまうこともあった。
そんな私だから、生涯にわたって一緒にいたいと思えて、相手も同じように思ってくれるパートナーが見つかるなんて奇跡が起こるわけがないと思っていた。
:
:
:
初めての恋人
そんな私に、初めての恋人ができた。
生まれて初めて、好きな人に好きになってもらえるという奇跡が起きたから。
彼は、初めて会った時に、この人を私が幸せにしたいと思った人だ。
今まで出会った大好きな人たちはみんな幸せになってほしいと思っている。
しかし、自分が誰かを幸せにしたいと思ったのは、人生で初めてだった。
付き合うようになってから、一緒にいると、どんどん無邪気になっている自分に気がついた。そんな私に対して、彼はいつもあたたかくて、やさしい笑顔を向けてくれる。
私はつい見栄を張ってしまう人間だし、コツコツ頑張ることが苦手で、一点集中で物事を突破してきたタイプだ。そんな自分の姿勢に落ち込んだり、何もできなくなる日があったりする。
彼は、賢くて物知りなのに、知らないことに対しては素直に知らないと言って学ぶ姿勢があり、こつこつと愚直に頑張りつづけられる人間である。
彼の姿を近くで見ていて、なんて素敵なんだろう、私も彼のように素直に学びたい、頑張りたいと思えた。(時々、「なんてすごい人なんだ…」と眩しくなってしまうことも事実だけど。(笑))
彼は、会ったり、電話で話したりするだけで、私の心を温めて、エネルギーを満タンにしてくれて、明日も頑張ろう!って思わせてくれる、真冬に食べる鍋焼きうどんみたいな存在だ。
恋愛感情抜きでも、人として彼のことをこの上なく尊敬している。
出会ってくれてありがとう。
:
:
:
なんのために結婚するんだろう
私は大学院生である。
4年制大学を卒業して就職していれば、社会人4年目の年。
今年に入ってから、大学時代の友人たちが4人も結婚報告をしてくれた。自分は変わらず大学にいるのに、同級生に転職する人や結婚する人が増えてきている現状に、確実に時間は進んでいるのだなと実感する。
怒涛の結婚ラッシュを間近に見て、人生で初めて「結婚」というものを意識した。
私は、結婚相手のような生涯のパートナーは、
①「血のつながりがなかった相手と家族になる」という社会的な要素
②「家庭生活を営むための共同経営者になる」という経済的な要素
③「絶対的な味方が増える」という安心感をもたらす精神的な要素
という3つの要素によって形成されているものであると考えている。
人によって重視する要素は異なるし、絶対的な正解はない。
私の場合は、友人の結婚報告に対して、おめでとうと告げるたびに、ごくシンプルに、「私も彼に絶対的な味方になってほしいし、私もそうなりたいな」という気持ちが大きくなっていった。
:
:
:
夏の終わりの日、居酒屋にて
先日、彼とふたりで居酒屋でご飯を食べている時に、「私はあなたといるときの自分が好きで、ずっと一緒にいたいから、結婚したいと思ってる…」と気がついたら口にしていた。
しまった、早まった。付き合ってからそんなに経っているわけではないし、私たちは学生である上に、あなたは私の2歳下で、結婚なんて現実的じゃない年頃だろうに。穴があったら入りたい…という後悔の念が駆け巡る。
そうしたら彼は、ごく普通の声色で、「結婚は、自分一人の気持ちで決められることじゃないと思ってた。いつぐらいにしようか?」と言った。
さも、結婚することはすでに決まっているかのように。
ほっとした気持ちと、え?そんなにあっさり?という気持ちがないまぜになって、なんだか拍子抜けしてしまった。
牛すじ煮込みをつつきながら、ぽつぽつと、いつまでに結婚したいか、どこに住みたいか、なんていう話をした。
まさか、こんなに将来の話をする日になるとは。
:
:
:
やさしいままで
私たちはお互いまだ学生で、将来も確定していないし、現実的に結婚できる経済的自立が実現できているわけではない。
だけど、いつだって私を光の方へ連れて行ってくれる相手が恋人になってくれて、生涯の伴侶になりうる関係性を構築するチャンスをもらっている。
そして、何より、彼はできることはできる、できないことはできないとはっきり言う性格で、その分約束したことは必ず実行してくれる人だ。
そんな彼が、今後も関係性を続けることについて前向きに考えてくれているということが、ほんとうにうれしかった。
やっぱり、私はあなたと、生涯にわたるパートナーでありたい。
たとえ、いつか別れがやってきたとしても、あなたと過ごした時間は自分にとって絶対にプラスの経験になる自信があるんだ。
恋愛は苦手だったけど、今まで悩んできたのは、あなたという人とじっくり向き合うための力を蓄えるためだったんじゃないかなと思えるの。
結婚が現実となるように、そして私が彼にとって誇らしい存在に思えるように、改めて目の前のことを頑張ろうと決意した。
待っててね、あなたより早く、私がプロポーズしてみせるから。
そうしたら、私に、あなたのやさしい笑顔をずっと見せてくれたらうれしいな。
《あとがき》
本作の題名はこちらの曲からいただきました。
聴いていると、心がほぐれて、涙がほろりとこぼれそうになる大好きな曲です。よろしければ、ぜひ聴いてみてください。
↓ 本編に出てくる彼との出会い編はこちら
いいなと思ったら応援しよう!
noteという大きな海の中で、私を見つけてくださったあなたに感謝を。
頂いたサポートは創作活動に必ず還元させていただきます。