【令和8年度】世田谷区保活データ分析|公開データから見えた今年の3つの変化
はじめに
世田谷区から、保育園情報一覧や入園申込み状況など、保活に関するさまざまなデータが公開されました。
「保育入園に関する情報とりまとめ」というページを新設したそうです。
保活中の方なら、
「今年は入りやすくなりそう?」
「1歳児はやっぱり厳しい?」
「去年と比べて何が変わった?」
と気になっている方も多いのではないでしょうか。
私自身、今年度の保活を世田谷区で経験しました。
そのときは、正直データはあまり見ていませんでした。
いや、一応チェックはしたけど、
待機児童者数と指数分布を確認したくらいで、
そもそもそんなに資料を見つけられなかったような気がします。
知ってたのは
「世田谷区の待機児童がコロナ明けから少しずつ増えてきていること」
それくらい。
「保活激戦区だし、今年も厳しくなるんでしょ」
と思って終わりにした気がします。
なので、実際に保活を進め、
「想像以上に厳しい戦いになりそうだ」と感じる場面が増えても、それをデータでみようとは思っていませんでした。
最近、「昨年の今頃保活は始めていたなあ」と
考えていたところにデータが公開されたので、
振り返りも兼ねて見てみることにしました。
一覧を見て思ったのは、
「こんなにたくさんのデータが公開されたんだ」という驚きでした。
当時このデータを見ていたとしても、保活に活かせていたかは正直わかりません。
でも、ひとまず保活を一度終えた今、
「今年度の保活は、数字ではどう表れていたんだろう。」
「そして、今後の保活では何が起きるんだろう。」
そんなことが気になり、
公開資料を見てみることにしました。

この記事では、公開データをもとに、
特に気になった3つの変化をまとめています。
なお、この記事は公開データから読み取れる傾向を整理・考察したものです。
「今後の保活は必ずこうなる」と断定するものではありませんが、これから保活を進めるうえで、データを見るときの一つの参考になれば嬉しいです。
今回は、次の5つの公開資料を確認しました。
また、令和7年度・令和8年度の園別資料をもとに、地域別×年齢別の希望申込件数を独自に集計しています。
* 就学前人口の動向
* 4月一次申込者数の推移
* 保育施設利用意向率の推移
* 認可保育施設入園可能数
* 保育の需要量見込みと保育の定員確保の取り組み
この6つを組み合わせることで、
* 少子化なのに申込者数は増えている理由
* 1歳児保活がさらに厳しくなった理由
* 区が新たな対策を打ち出した背景
が見えてきました。
まず結論
今回公開されたデータを見て、私が特に注目したポイントは3つありました。
① 少子化でも、世田谷区の保育園の申込者数は過去5年で最多になった
少子化が進んでいるにもかかわらず、申込者数は過去5年間で最も多くなっていました。
② 特に1歳児の保活は昨年以上に厳しくなっている
申込者数の増加に対して、入園可能数の増加が追いついておらず、1歳児の厳しさが数字にも表れています。
③ 保育需要は区の想定以上に高まり、行政も対策を見直し始めている
区も想定以上の保育需要を踏まえ、新たな対策を打ち出しています。
では公開データを見ながら
・なぜ少子化でも申込者数が増えたのか
・なぜ1歳児はさらに厳しくなったのか
・行政はその変化をどう受け止めているのか
を確認していきます。
① 少子化でも、世田谷区の保育園の申込者数は過去5年で最多になった
まず確認したのは、世田谷区の就学前人口です。
「子どもの数が減っているなら、保育園も入りやすくなるのでは」と思いますが、実際の数字はそれほど単純ではありませんでした。
データ1. 就学前人口の動向

※R9.1(2027年1月)以降は推測値です。
直近5年は就学前の人口が減少しており、世田谷区としても2031年まで減少すると推測しているようです。
年齢別に令和7年度と令和8年度を比較してみたのが以下の表です。

就学前人口全体は前年より478人減少しました。
しかし、その内訳を見ると様子が変わります。
保育園の利用が多い0歳・1歳は、それぞれ138人、118人増加していました。
一方で減少しているのは2〜5歳です。
つまり、「就学前人口全体は減っているけど、4月入園の申込みが集中しやすい0歳・1歳人口は、前年より増えていた」という状況だったことが分かります。
では、この0・1歳人口の増加は、実際の入園申込みにどう表れていたのでしょうか。
データ2. 4月1次申込者数の推移
みなさんご存知でしょうか..
令和8年度4月入園の申込者数はなんと過去最高だったそうです。

配信されたメッセージ
(↑これ、送られてきたときは本当に絶望しました..)
以下が世田谷区が公開しているデータです。

これだけだと、ふーん、で終わっちゃったので、
令和7年度と令和8年度の認可保育施設入園申込者数4月1次を元に、
地域×年齢別にどれくらい申込者数が増えたのか
を独自に算出してみました。
データ3. 地域別×年齢別増減
申込者数が増えたと言っても、区全体で均等に増えたわけではなく、地域別・年齢別でかなり偏りがあることが分かりました。

※申込数=一人が複数園を希望した場合に、その希望園ごとに計上される数字
園ごとの「全希望順位申込数」を地域別・年齢別に集計すると、
玉川地域では前年より+1,313件で、5地域で最も大きく増加しました。
特に1歳児は+916件となっており、今回の申込件数増加を大きく押し上げています。
一方で、世田谷地域も+1,188件と大幅に増加。
こちらも0歳・1歳の伸びが非常に大きく、乳児クラスへの需要が高まっていることが分かります。
さらに、烏山地域も+705件となり、想像以上に申込数が増えています。
逆に、砧地域は+37件、北沢地域は+238件と比較的増加幅は小さく、地域によって保育需要の伸び方に差があることも見えてきました。
そしてもう一つ注目したいのが、1歳児です。
5地域すべてで前年より申込件数が増加しており、
特に
* 玉川 +916件
* 世田谷 +680件
* 烏山 +330件
と大きく増えています。
一方で3歳児は減少している地域も多く、今回の申込者増加は主に0〜1歳児が牽引していることが読み取れます。
データ4. 保育園施設利用意向率の推移
では、なぜ子どもの数は減っているのに、申込者数は増えているのでしょうか。
その背景の一つとして考えられるのが、「保育施設利用意向率」の上昇です。

世田谷区の資料を見ると、保育施設を利用したい家庭の割合は年々高まっています。
就学前人口が減少する一方で、保育施設の利用を希望する家庭の割合は上昇しています。
0・1歳人口の増加と利用意向率の上昇が重なり、申込者数の増加につながったと考えられます。
その結果、就学前人口は減少しているにもかかわらず、4月一次申込者数は過去最多となりました。
② 特に1歳児の保活は昨年以上に厳しくなっている
ここまで「申込数がどれだけ増えたのか、なぜ増えているのか」を見てきました。
申込みが増えていても、受入枠も同じだけ増えていれば、必ずしも入園が厳しくなるとは限りません。
そこで次に、令和7年度と令和8年度の4月一次入園可能数を比較しました。
データ5. 認可保育施設入園可能数

この表を見ると、区全体では入園可能数はわずか10人の増加でした。
しかし、その内訳を見ると年齢によって大きな違いがあります。
* 0歳児:+28人
* 1歳児:-14人
* 2歳児:-2人
* 3〜5歳児:ほぼ横ばい
つまり、定員は増えているように見えても、増えたのは主に0歳児枠であり、1歳児枠はむしろ減少しています。
さらに地域別に見ると、
* 砧地域は+31人
* 世田谷地域は+6人
* 一方で北沢地域は−17人
* 玉川・烏山地域もそれぞれ−5人
となっており、地域によっても差が見られました。
つまり、
「区全体では定員が増えたから入りやすくなった」
とは言えず、
1歳児を希望する家庭にとっては、前年より競争が厳しくなった地域があることが数字から読み取れます。
そして実際に今年は、申込者数が過去5年で最多となり、地域別×年齢別の入園申込数を見ても、1歳児は特に増えています。

1歳児の希望申込件数が全地域で増える一方、入園可能数は区全体で減少しました。
少なくとも、前年より競争が緩和したとは考えにくく、1歳児保活の厳しさが増した可能性が高いと読み取れます。
③ 行政も保育需要の予測を修正し始めている
ここまで見てきたように、
* 就学前人口は減少している
* しかし4月一次申込者数は過去最多となった
* 特に1歳児の申込者数は大きく増加している
という状況がデータから分かりました。
つまり、「子どもの数」と「保育需要」は必ずしも一致しなくなっているということです。
世田谷区は保育需要の予測方法そのものを見直し始めています。
データ6. 保育の需要量見込みと保育の定員確保の取り組み
13_hoikunojuyoryonomikomitoteiinkakuhonotorikumi.pdf
この資料で重要なのは、従来の需要見込みと実績に乖離が生じたことを受け、区が需要量を再推計し、定員確保策を強化した点です。
それでは、なぜ保育需要の見直しに至ったのでしょうか。
世田谷区では、令和7年4月入園で待機児童が発生し、
* 人口推計
* 保育利用意向率
の予測が実際とズレていたことが判明しました。
そのため、令和7年7月に保育需要を再推計しています。
区は従来から、将来人口と利用意向率をもとに需要を見込んでいました。
しかし今後は、それだけでは捉えきれない制度変更や政策による需要増も見込み、定員確保を進める方針を示しています。
* 育児休業給付金の支給対象期間延長手続きに関する制度変更
* 第一子の保育料無償化
* 実際の申込状況・入園実績
なども踏まえ、需要がさらに増えることを想定しています。
つまり
「人口は減るから大丈夫」
とは考えていないということです。
今後の方針としては、
1歳・2歳児を重点的に増やす方針となっているようです。
しかも目標は
需要予測よりさらに3%以上多い定員を確保する
としています。
けれどその後、令和8年4月一次申込では
6,741件で過去最多となり、
特に0歳・1歳が大幅増となったことを受けて
定員確保策を前倒しすることを決定しました。
具体的には、令和9年4月開設に向け
* 玉川・砧・烏山を中心とした私立認可保育園10園程度整備
* 1歳児100人以上の定員増を目標
としています。
さらに
* 空き定員への補助
* 1・2歳児受入補助
* 定期利用保育
も拡充するそうです。
実際私自身、認可保育園に入れなかった後、
一時保育や定期利用保育、こども誰でも通園制度などの案内に触れました。
認可保育園だけではなく、複数の保育サービスを組み合わせて支える方向に動いていることを、実体験としても感じています。
最後に
今回公開された資料を分析すると、次の3点が見えてきました。
就学前人口全体は減少している一方、令和8年度の4月一次申込者数は過去5年で最多だった
特に1歳児では、全地域で希望申込件数が増える一方、区全体の入園可能数は前年より減っていた
世田谷区も従来の需要見込みと実績の乖離を受け、1・2歳児を中心とした定員確保策を前倒ししている
「少子化だから、今後の保活は楽になる」とは
公開データを見る限り、少なくとも現時点では、そう単純には言えなさそうです。
子どもの総数だけでなく、年齢別の人口、保育施設の利用意向、申込状況、受入枠を組み合わせて見ることで、実際の保育需要が見えてきます。
一方で、令和8年度入園児の選考指数分布は、この記事を書いている時点ではまだ公表されていません。
今後この資料が公開されれば、
入園児のうち105点がどの程度を占めたのか
105点以上の高指数帯は前年より増えたのか
地域ごとの指数分布にどのような差があったのか
も分析できます。
公開された際には、今回の記事の続編として、できるだけ早くまとめたいと思います。
この記事が、これから世田谷区で保活を始める方にとって、公開データを読み解く一つの参考になれば嬉しいです。
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