約束の眠る庭~琥珀色の花守り~episode.2
【時を超えた再会】
「……ねえ。まさか、君の仕業じゃないよね?」木の根元の小さな穴に向かって私は行き場のない独り言をこぼしました。
もちろん、答えなんて期待していません。
「そろそろ戻らなくちゃ」……そう思い立ち上がった次の瞬間、信じられない奇跡が、足元で目を覚ましたのでした。
小さな穴の中から、不意に一対の「尖った耳」がピョコンと飛び出したのです。
ずっと記憶の奥底で眠っていた「コボルト」が穴の縁にちょこんと腰を掛け、私をじっと見上げています。
どこか不機嫌そうな、けれど悪戯っぽく笑っているような、奇妙で愛嬌のある小さな人形。
驚いたことに、その小さな瞳には深い琥珀色の光が宿っていました。
そしてその口元は、「ずいぶん待たせたじゃないか」とでも言いたげな、少し生意気で不敵な笑みが浮かんでいます。
「……本当に?君なの?」
震える声が漏れた瞬間、立ち込めていた霧が晴れるかように幼い日の記憶が鮮やかによみがえりました。
あの時交わした小さな一つの「願い」と「約束」の記憶がよみがえったのです。
『コボルトさん。寂しいけどおうちに返してあげるね。でもひとつだけお願いがあるの。私がもしも一人ぼっちで泣いていたら……その時は、また私に会いにきてね』
いつからでしょうか。
一人ぼっちの大人になった私は 、見上げる空の青さも、揺れる花々の甘く優しい香りの風も、 どこか遠い国の出来事のようにすっかり忘れてしまっていたのです。
深い琥珀色の瞳は、そんな私の寂しく乾ききった心の内をすべて優しく見透かしているようでした。
To be continued
