🧑🧑🧒 #5 夫という生き物 ―ヒゲと妖怪ねずみ小僧―
うちの夫は、
ヒゲが似合わない。
こんばんは。
深夜の小さな会議へようこそ。
ベトナムでの長旅。
その結果——
夫のヒゲは、
極限まで伸びていた。
しかし。
もともと夫は、
ヒゲがあまり似合わないタイプである。
生えても、まだら。
整う気配はなく、
どちらかというと——
中国マフィアの雑魚キャラ。
過去には一度、
ヒゲを伸ばしてみたことがあった。
その時、職場で言われた一言。
「妖怪ねずみ男みたいだね」

その日を境に、
ヒゲは封印された。
そんな妖怪ねずみ男——
いや、夫。
帰国した翌日。
さっそくヒゲを剃っていた。
「ゆっか!みてみてみて!」
洗面台から、
なぜか颯爽とキッチンへやってくる夫。
しかし——
ずっと右を向いている。
「わかる?わかる?」
今度は、左を向く。
右。
左。
右。
左。
何度も向きを変えながら、
なぜかとても楽しそうである。
よく見ると——
片側だけ、ヒゲが剃られている。
つまり。
片方妖怪ねずみ男、
片方ただの夫。
どうやら一人で、
二役を楽しんでいたらしい。
楽しそうで何よりである。
妖怪ねずみ男よ。
ひとしきり笑ったあと、
夫は少し名残惜しそうに、
残りのヒゲも剃りに戻っていった。
本日のまとめ
夫という生き物は、
ヒゲひとつでも遊び始める。
寝不足のあなたへ、
妖怪ねずみ男が消えた会議室より。

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