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ネット小説は「密室の文化」になった

私は最近、Web小説の人気を見ていて、一つのことを考えるようになりました。

それは、ネット小説は「密室で消費される文化」になったのではないか、ということです。

ここでいう密室とは、もちろん部屋のことではありません。

スマートフォンという、一人だけの空間です。

昔は、テレビを家族で見ました。本屋で買った小説も、机の上に置けば家族の目に入ります。読んでいる本は、良くも悪くも他人の視線にさらされていました。

ところが今は違います。

スマートフォンの画面の中には、自分しかいません。

何を読み、何を楽しみ、どんな作品に熱中しているのかを、他人に知られることはほとんどありません。

この変化は、小説の内容にも少しずつ影響を与えているように私は感じています。

例えば、「なろう」と検索すると、「気持ち悪い」という関連ワードが表示されることがあります。その理由を調べると、主人公の極端な行動や倫理観に違和感を覚えるという意見が少なくありません。

もちろん、これは一部の作品について語られていることであり、すべてのWeb小説に当てはまる話ではありません。

優れた恋愛小説もありますし、本格ミステリーも、青春小説もあります。

しかし、ランキング上位には、圧倒的な力を持った主人公や、極端な勧善懲悪、読者の快感を強く意識した作品が目立つこともあります。奴隷が出てくる小説もあります。

私は、それを単純に悪いとは思いません。

むしろ、その背景には現代社会があるのではないかと考えています。

努力しても報われるとは限らない。

社会への信頼が以前ほど強くない。

だからこそ、物語の中では絶対に負けない主人公や、自分だけが認められる世界を求める気持ちは、ごく自然なものなのかもしれません。

ただ、そのような作品だけが読まれる市場になると、少し心配になることがあります。

投稿サイトでは、人気作品と似た作品がさらに人気を集める傾向があります。

読者は安心して読める作品を選び、作者も読まれる形式を参考にします。

その循環は悪いことではありません。

しかし、循環が強くなりすぎると、市場全体の多様性は失われていきます。

恋愛小説、社会派小説、歴史小説、本格ミステリー、ヒューマンドラマ。

そうした作品に出会う機会が少なくなれば、新しい読者も入りにくくなります。

私はネット小説を書く人間として、それが少し惜しいと感じています。

近年、小説投稿サイトは成熟期に入り、市場全体も大きな転換点を迎えています。

だからこそ、今後は一つの人気ジャンルだけではなく、さまざまな作品が自然に読まれる環境が必要なのではないでしょうか。

Web小説という文化は、日本の出版に新しい可能性をもたらしました。

新人作家が生まれる場所になり、多くの読者が読書を始める入口にもなっています。

だから私は、この文化がもっと長く続いてほしいと思っています。

そのためには、「密室」の中だけで完結する文化ではなく、さまざまな価値観を持つ読者が集まる開かれた場所になってほしい。

恋愛小説も、ミステリーも、ファンタジーも、社会派小説も、それぞれが同じように読まれる世界になれば、ネット小説はさらに豊かな文化へ成長していくはずです。

私は最近、そんなことを考えるようになりました。

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