うつと私 逃病から闘病へ
1. はじめに ― 本との出会いと心に残った言葉
「幸福とは、嫌なことを意味あるものとして受け止め、乗り越える力である」
この言葉に、私は立ち止まりました。
海原純子さんの『幸福力』は、ストレスや不安が日常に染み込んでいるような私の暮らしに、ひと筋の光のような問いを投げかけてくれました。
「自分にとっての幸せとは何か」「本当に必要なものを選び取る力とは何か」今の私が一番必要としていた言葉が、ぎっしりと詰まっていました。
本を読み進める中で、自分の中の弱さや逃げ癖、そしてそれでも何度でも立ち上がってきた自分のことを、少しずつ客観視できるようになってきた気がします。
2. うつとのこれまでの関係 ― 「逃病」の日々
私はこれまでに、5回うつ状態を経験してきました。
ここで言う「うつ」は、気力がなくなり、体が動かなくなり、涙が止まらなくなる状態です。

1回目:中高生のころ
家庭環境が不安定で、毎日布団の中で泣いてばかりいました。でも誰にも言えず、「これは甘えだ」と思い込んでいました。
2回目:大学時代
恋人に別れを告げられ、「自分には価値がない」と思い込み、引きこもりました。
3回目:大学休学中〜専門学校時代
やりたかった美術の道を諦めていた自分に葛藤し、現状に不安を感じて通学も困難に。
この頃まで、私は一度も診察を受けたことがありませんでした。自分の心のSOSに気づかないふりをしていたのだと思います。
4回目:社会人1年目
初めての就職。毎日の通勤と過労で、ついに体が動かなくなり、1ヶ月ほど寝たきりに。初めて心療内科を受診し、治療を始めましたが、半年ほどで「もう大丈夫だろう」と自分で通院をやめてしまいました。
5回目:2社目の仕事
「この仕事は社会に貢献できているのか」「これは私が目指していた道なのか」。答えの出ない問いに押しつぶされ、再び体が動かなくなりました。
今はこの5回目のうつに向き合っている最中です。
3. 『幸福力』がくれたヒント ― 変わり始めた私
『幸福力』を読んで心に刺さったのは、「ストレスを解消するよりも、ストレスの根っこに向き合うことが大切」という言葉でした。
私はこれまで、「とにかく元気にならなきゃ」「早く社会復帰しなきゃ」と焦ってばかりいました。でもその前に、自分が何に傷つき、何を我慢してきたのかを見つめ直すことが、まず必要だったのだと気づきました。
「ネコの視点で生きる」という提案も印象的でした。
「しなきゃいけない」ではなく、「したいからする」という発想。
最近、イラストを描いたり、英語を勉強したりと、好きなことに少しずつエネルギーを使えるようになってきました。
また、自分の感情を紙に書いたり、信頼できる人と話すことで、初めて気づく本音もありました。
「怒りの根源には何があるのか」「本当は何を求めていたのか」
感情を見つめる作業は、まるで心の掃除のようです。
4. 今の私 ― 「闘病」の現在地
2025年1月末、5度目のうつ症状が出ました。2月中旬に心療内科を受診し、4月中旬まで休職。現在は勤務時間を減らしながら、少しずつ職場に戻っています。通院も月1回、続けています。
今回は、「もう逃げない」と決めました。
「うつ」とは一度きりで終わるものではなく、きっとこれからも波のようにやってくる。
でも私は、その波にただ飲まれるのではなく、サーフィンするように、付き合っていけるようになりたい。
PERMA(Positive emotion/Engagement/Relationship/Meaning/Achievement)という考え方も、今の私を支えてくれています。
完璧じゃなくていい。少しずつ、日々の中に「うれしい」「集中できた」「つながれた」「意味があった」「やり遂げた」と感じられる瞬間を見つけていけたら、それが「幸せ」なんだと。
5. おわりに ― 私が願うウェルビーイング
私は「うつ」を、もう嫌な過去として切り捨てたくありません。
それは確かにつらい体験でした。でも、そこから自分を見つめ直すきっかけにもなりました。
「自分が本当に心地よく生きるためには何が必要か」を、これからも探していきたいと思います。
小さくても、自分で選び取った幸せを積み重ねていくこと。
それが、私の「幸福力」です。
そして今、少しずつ「社会に貢献すること」や「人と支え合うこと」にも目を向けられるようになりました。誰かにやさしくすることは、自分自身の幸せにもつながるのだと感じています。
これからも、うつとともに、でもうつに支配されずに、私は生きていきます。
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