踏切オーディション|毎週ショートショートnote
遮断機が下りた。
私は踏切の前で立ち止まった。
鞄の中には、応募書類。
私はいわゆる大部屋女優。
これが最後のチャンスかもしれない。
郵便局はもう目の前だ。
けれどまだ逡巡している私がいる。
発送しなければ何も始まらないというのに。
警報機の赤い点滅が続く。
カンカンカンという音は止まない。
無表情な遮断機を私は見つめている。
目の前を電車が通り過ぎる。
(この電車はどこへ向かっているのだろう。)
遮断機が、上がった。
そして私は力強く一歩を踏み出した。
そう、私は踏切待ちをしていた私ではない。
傍らから声がした。
「はい、お疲れ様です。審査の結果はのちほど発表しますので、控室でお待ちください。」
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