こっちそっちどっち
美術館のエントランスにいた犬たち
目が星の形に光っていた
これには落ち着きのない犬の雰囲気がある
それが好ましかった
今夜はとなりのトトロを観ている
もう何回観ただろう、100には達していそうだ
テレビの横の棚から自分の好きなVHSを取り出してきて「再生・巻き戻し・再生」をするのを1日中繰り返す遊びを、4歳くらいから一人でやっていた
その記憶の時代には、すでに「となりのトトロ」のVHSが家にあって、ケースをバコン!と開けてビデオをデッキにつっこんでいた
成長とともに家にいる時間が短くなって、そのうちテレビ番組を見ることや携帯型ゲームをすることを覚えてからは、4歳当時のときほど同じビデオをヘビロテしなくなった
そして、VHSデッキが家から無くなっても、VHSで持っている映画をDVDやBDで買い直すことはしなかったので、家でトトロを観ることも無くなった
それでもたぶん
4歳から6歳くらいまでの短い期間で100回は確実に観てる気がする
トトロのVHSを1日3周していたと想定して、他にも気に入って観ていたピングーやライオンキング、音楽ファンタジーゆめ等のVHSを同じように繰り返し再生していたのを加味しても、あの頻度とあのペースなら100は余裕で超えていたんじゃないだろうか
ワンシーンごとの記憶の鮮やかさがその証明だと思う
忘れているシーンがひとつもないのだから
父方の実家は山奥にあり、家そのものも古くからあるものだったから、サツキとめいの家の中の構造とよく似ていた
木の棒をガタンと動かして開ける戸も、一段一段が大きくて2階が暗くなっている階段も、丸いタイルのお風呂場も、“うちのばあちゃんち”を思わせた
ばあちゃんちに行くと「トトロみたいだ」と思って、2階のあの暗いところから、まっくろくろすけが降りてくるんじゃないかと怖がっていた
まっくろくろすけは人が居る家には棲まないので、そんなことはないのだけれど
2階からどんぐりが落ちてくるかもと思って、ジーッと待ってみたこともあった
あのころ、まだ小学校に上がる前くらいまでの私は、家族から「めいちゃんみたい」とよく言われていた
トトロを観ると、思い出す
あの頃のわたしはトトロの世界に住んでいた
