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月刊プレイリストボーイ2026年1月号

【今月のプレイリスト】

1.Everybody Laugh / デヴィッド・バーン
年末までは浮かれているのに、年が明けると決まって調子を崩す。今年は初詣に珍しくカメラを持ち出したらレンズキャップを二度落とし、初出勤した夜には高熱、成人の日は死にそうな頭痛で悶絶していた。それでも、それ以上のいいことも、ちゃんとあった。きっと、オレの2026年は明るいにちがいない。みんな、笑えよー。

2.楽園 / フジファブリック
2026年の年頭から、米国のBOSSは発狂。ベネズエラに火の雨を降らせ、大統領を野蛮に引きずり出し、イランの反政府デモには軍事介入をいけしゃあしゃあ仄めかす(かと思ったら、核を理由に政府へは開戦レベルの恫喝を投げる)。ミネアポリスでのICEをめぐる惨劇に至っては、もはやこの世ではない。もし西半球が、あの男の私物に成り下がるのなら、「楽園」は東半球にしか残らないということか。フジファブリックの「楽園」が、袋小路に追い詰められた者の「逃げ場」に聴こえたとして、それが積極的選択であれば……万事休す。

3.Golden / HUNTR/X
一方、我が国のボスは、李在明大統領とドラムセッションに興じたという。あの大人気アニメ『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』の劇中歌まで披露したらしい。つくづく、派手なことがお好きだ。そりゃ結構。だが、国民の命や暮らしに直結する予算を棚上げにしての衆院電撃解散は、あたかもデーモンにでも取り憑かれたかのような振る舞いだがな。控えめに言って。

4.反省と後悔 / KIRINJI
1月9日リリースの新譜から。『キリンジ』が『KIRINJI』になってから、いちばん好きなアルバムになった。まず9曲入りというのがいい。90分の映画くらい、いい。高樹さんがひとりでコツコツ組み上げたであろう密室的なベーシックトラックを、生ドラムと手練れの各種ウワモノが風通しを与える感触がまさに「TOWN BEAT」。今回刺さった言葉は「やらかしたけど やってよかった」。自己肯定感は高めるもんじゃない。自己は、こうやって肯定するんだ。

5.消しゴム / aiko
1月14日リリースのEPから。イントロのピアノは休符が多く、リズムの全貌が見えない。が、スネアのロールとハネる16分音符が合流した途端、セカンドラインになり、驚いた。捲し立てる譜割りで転がるBメロからサビへのブリッジ、「このメロディはとまらなぁーい」でボニー・レイトみたいにブルージーに決まるのが2度目の驚き。相変わらず、聴き手を先回りする展開の鮮やかさ。消しゴムの角。好きな人になら、使われても許せるってことか。

6.Morning People / リトル・クリーチャーズ
1月17日。新しく買った18㎜(35㎜換算27㎜)レンズを、朝の公園散歩に連れ出す。ファインダーを覗き、AFロックをするだけで嬉しい。考えてみれば、若い頃に初めて触ったフィルム一眼レフも28㎜だった。この画角が、ファインダー越しに見るオレの視野なのだ。朝焼けの紫とオレンジの空。フェンスに並ぶ鳩の群れに向けてなんとなくシャッターを切る。うん、ええやん。

7.Ebony and Ivory / ポール・マッカートニー&スティービー・ワンダー
1月18日。今回で最後の出演となった南森町シカゴロックのライブには、いろんな国のboys & girlsが集まった。台湾もフランスも、ブラックの彼女もラテンっぽい彼も、思い思いに体を揺らして楽しんでくれた。音楽にとって大事なのは、調和=Harmony。『Ebony and Ivory』とは黒鍵と白鍵のことだが、音楽史的というより、あの夜の実感として、これ以上ない言葉だった。つくづく、見事なタイトルだ。

8.Just A Sittin’ And A Rockin’ / ケニー・バレル
シカゴロックでのライブの時に、5月に逝去されたギタリストでレコード収集家の武田昭一さんのコレクションから、ケニー・バレル『A Night at the Vanguard』のCDを買った。ギタートリオなのに、音がやけに豊かだ。ロッキングチェアに座って揺れてるくらいの緩いシャッフルに、パッセージの「間」。大人の音楽とは、この鷹揚さ。

9.おもて寒いよね(Baby It's Cold Outside) /
吾妻光良 & The Swinging Boppers

1月20日は「大寒」。ちょうどその頃から大寒波が来て、各地で激しく雪が降った。仕事で行った滋賀では、粒立ちの大きい、寒冷地らしい雪に遭遇。ちょっとだけ浮かれた気分になった。ルイ・ジョーダン&エラ・フィッツジェラルドのユーモアとペーソスを血肉化した、見事な日本語カバーである。もっとも、寒さにかこつけたダンディズムが、色気として成立した時代は、とっくに溶けて消えた。

10.そこにあなたの場所はありますか / 坂本慎太郎
1月23日リリースの新譜から。トレモロギターとリズム体の空間配置だけで、もう9割成立している音像。これ、ファーストの頃、もっと言えば「空洞です」から変わってない気もする。GSやムード歌謡めいたフレージングも、「はいはいまたこれね」と思ったが、結局、癖になる。誰かの演説を野次馬みたいに聞いてみたら、最後に「居場所、ねーな」と気づく感じ?――衆院選、大阪ダブル選。あーもうウンザリや。

11. If You Were There / ワム
1月25日。本町FUNDELIでのライブ。対バンの「迷える執事」というバンドがシュガー・ベイブの「DOWN TOWN」をカバーしていた。「イントロのギター、かっこいいですよね」というところまでは話も弾んだが、「元ネタはアイズレー・ブラザーズの If You Were There で……」と口にした途端、きれいにスルーされてしまった。この日、自分たちはジョージ・マイケルをカバーしていたので、ワムのバージョンを。折衷案というより、誰にも拾われなかった話題の、せめてもの着地点として。

12.First Fire of Winter / ニール・ヤング
コード進行のせいもあってか、「Helpless」とほとんど区別がつかない曲だが、タイトルがいい。80歳を迎えたニール・ヤングは、トランプに対して吠え続け、音楽を即時に消費し忘却していくサブスクには、いまも距離を取る。諦観と同時に、まだ火を焚く意思。世界が回り続けるなか、こちらは動かず、冬の最初の火を守る。「OLD MAN」がまだ火を焚くのなら、たかが50過ぎの若輩が燻っていてどうする。

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