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NVIDIAのGPUは1個850万ドル、成長率70%——ジェンスン・フアン氏が語る「未来が見える」根拠と死角

GPU399ドルから850万ドルへ

木曜日、ゴールドマン・サックス主催のCommunacopia + Technologyカンファレンスに登壇したジェンスン・フアンCEOは、NVIDIAの優位性が来年末まで続くという見通しを、自信たっぷりに語りました。

彼はいつもの調子で、Nvidiaが作っているのはもはや「チップ」ではなく、輸送に飛行機が要るほど巨大なシステムなのだと表現しました。かつて399ドルで売られていたゲーマー向けGPUは、いまや850万ドルの巨大システムへと姿を変えています。NVLinkで200万個の部品を束ね、消費電力は25万キロワットに達するといいます。

その象徴が、36基のGrace CPUと72基のBlackwell GPUを組み合わせたGB200 NVL72です。この製品だけで月間売上高が27%伸びているとフアン氏は明かしました。ラック丸ごとを1台の巨大GPUとして扱うという発想は、以前このマガジンでも取り上げた「AIファクトリー」構想そのものです。

「70%成長」の中身

フアン氏が改めて口にしたのが、来年度の売上高が前年比70%伸びるという見通しです。先月の決算発表で初めて示された数字で、木曜日は自信を持っていると言い切りました。アナリスト予想では今期の売上高が約4000億ドルとされているため、70%成長なら来年は約6800億ドルに達する計算になります。

数字だけを見ると強気にも映りますが、フアン氏の論拠は単なる期待値ではありません。あらゆるAI研究所がNvidiaを使っているという現状把握が土台にあります。AnthropicやOpenAI、Googleのモデルはもちろん、オープンウェイトのモデルまで含め、世界中のGPU・電力・データセンター用地の状況を追跡していると彼は述べています。取引先のクラウド事業者やOEM、いわゆるニアクラウドから逐一情報が集まってくるため、「業界のどこに何があるか、だいたい把握している」というわけです。

循環取引ではない、という反論

同社をめぐる最大の論点は、いわゆる循環取引です。Nvidiaが出資した企業が、そのままNvidia製品を買い戻す構図は、投資家の間で以前から懸念材料になってきました。

https://www.bloomberg.com/news/newsletters/2026-07-28/ai-s-circular-financing-is-back-with-nvidia-s-latest-deals

フアン氏の切り返しはいつも軽妙です。1ドル出資して100ドル戻ってくるならむしろ歓迎すべきだ、という趣旨の発言で会場を沸かせつつ、投資先には必ず実需に基づく契約があると強調し、その総額はすでに1000億ドルに達していると明かしました。ウォール街の受け止め方は割れていて、ベンダーファイナンスからの転換だと好意的に評価するアナリストがいる一方、懐疑的な見方も根強く残っています。

顧客が競合になっていく

もう一つの死角は、Nvidiaの最大顧客たちが同時に最大の競合になりつつあることです。Amazon、Microsoft、Googleは自社チップの開発を進め、AI研究所側もそれに続いています。OpenAIは今年6月、推論に特化した自社設計チップ「Jalapeño」をBroadcomと共同で発表しました。

nthropicも今年春ごろから、専用AIチップの内製化を初期段階で検討していると報じられました。設計コストは5億ドル以上とされ、現状はAWSのTrainiumやGoogleのTPU、NVIDIAのGPUを併用しながら、外部供給への依存度を下げる道を探っているといいます。

興味深いのは、どのルートで自社チップを設計しても、製造自体は結局TSMCに委ねる可能性が高いという点です。GoogleのTPUも、OpenAIのJalapeñoも、最終的な製造工程はTSMCが担っています。つまり「NVIDIA一強からの脱却」という物語の裏側で、誰が勝ってもTSMCが恩恵を受けるという、もう一段別の構造が透けて見えるのです。

さらに、新規上場を果たしたCerebrasや、評価額50億ドルに達したEtchedのような新興勢力も存在感を強めています。こうした顧客の内製化の動きは、GPU1個850万ドルという価格設定そのものへの、静かな抵抗のようにも読めます。

筆者なりの見立て

白状すると、フアン氏の「未来が見える」という表現には、頼もしさと危うさが同居しているように感じます。あらゆる企業のインフラ計画を把握しているという事実は、裏を返せば、需要予測の多くがNvidia自身の視点に依存しているということでもあるからです。

フアン氏自身も認めているように、いまのAI成長の少なくない部分は、AIネイティブなスタートアップが巨額の資金を自社のAI利用に注ぎ込むことで生まれています。業界が成熟し、インフラやトークンの使い方が効率化されていけば、この「支出が支出を生む」構造は少しずつ姿を変えていくはずです。70%成長という数字が来年もそのまま成立するかどうかは、Nvidiaの技術力そのものよりも、顧客企業がどれだけ「賢く使う」方向へ舵を切るかにかかっているように思えます。

参考記事

〇Jensen Huang explains why Nvidia will grow an "astounding" 70% next year(2026年9月10日)

〇NVIDIAは「半導体×AI」をどう作り替えるのか——"AIファクトリー"の地殻変動を読み解く(2025年10月)

〇AI's Circular Financing Is Back With Nvidia's Latest Deals(2026年7月28日)

https://www.bloomberg.com/news/newsletters/2026-07-28/ai-s-circular-financing-is-back-with-nvidia-s-latest-deals

〇Nvidia is trying to quiet 'circular financing' accusations. Wall Street is unsure it will(2026年8月11日)

〇OpenAI unveils its first custom chip, built by Broadcom(2026年6月24日)

〇Anthropic自社半導体検討|AIチップ戦争の新展開(2026年5月)


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