こちらのお題に挑戦しました。
熱帯夜
熱帯夜
枕の上に氷を置く
頭を預けると
思考の熱が
少しずつ氷へ溶けていく
私はようやく
冷たい水の底へ沈む
音もなく
言葉もなく
朝までこのままでいたい
けれど夜中の三時
首筋を流れる汗に
意識が浮かび上がる
背中には
服が張りついている
冷風の時間切れ
枕の上の氷は
もう形を失っている
眠りの底まで
熱がじわじわ降りてくる
額に浮かぶ汗を拭うと
止まっていた思考まで
また沸きはじめる
冷たい水の底にいたはずなのに
今度は私のほうが蒸発しそう
熱帯夜とは
暑くて眠れない夜ではない
昼の熱が
人の形をしたまま
覆いかぶさってくることだ
#シロクマ文芸部