☕️恋にもならないラブソング
去年の秋に投稿した
『恋にもならない』というエッセイ。
まだスマホもLINEもなかった90年代。
旅行に出かける早朝の駅で
朝帰りのほろ酔い男
(通称:ミスターばってん)に絡まれ
挙句の果てに友達に
電話番号までバラされ
コールがきてしまうという
今思い出しても
「疲れる」実体験を綴ったものです。
このたび
瀬尾ユタカ様が
このエッセイから着想を得て
音楽を作ってくださいました。
瀬尾様が小説やエッセイの世界を
「音」で描き出す新プロジェクト
『音の葉』
を始動させる
その大きなインスピレーションの源が
このエッセイだったということ。
記事の冒頭でそれを知り
書き手として
身の引き締まる思いがしました。
そんな実話が曲になった
驚きと可笑しさ。
どんな風になっているのか
ドキドキして再生を押してみました。
おぉ…、想像を超えてきたー。
なんと
「わたし目線」
「男目線」
「デュエット」の豪華3曲構成です。
まず「わたし目線」は
凛としていてクール。
芯が通っていて
揺るがない仕上がり。
「ネタにされるくらいなら切っちゃうわ」
と歌っている。
…うん、まあ、その通りでした。
否定はしない。
2曲目
ミスターばってん目線のソロ曲は
洒落たシティポップ調。
……あの朝帰りほろ酔い男が
こんなに爽やかに昇華されていいのか。
「改札に消えた後ろ姿が焼き付いてるんだ」
本人がそう言ったのは
事実なんだけど
曲になると
不思議とロマンチックに聴こえてしまう。
記憶美化の魔法は
音楽にまで及ぶのかと
妙に感心してしまいました。
そしてデュエット版は
さらに格好よくて
ぐっと洗練されたアーバンなサウンド。
娘に聴かせてみると
「え、AAA(トリプル・エー)みたいじゃん!」と一言。
たしかに。
男女のスタイリッシュな掛け合いと
この都会的なグルーヴ感。
あの日の「迷惑な電話」が
令和のステージで
スポットライトを浴びているような
不思議な感覚に陥りました。
聴きながら
わたし、気づいちゃいました。
あ、
これ“3年目の浮気”になる前の
掛け合いソングだ、と。
もしあのままくっついていたら
数年後には
あの泥沼な世界線に
突入していたのかもしれない。
でも——
ならなかったから
「疲れる思い出」で済んだ。
それにしても
瀬尾様の解釈が面白かったです。
「決して交わらない認識のズレ」を
デュエットで表現するという発想。
わたしにとっては
迷惑な記憶でも
向こうには「運命」として刻まれていた。
その絶望的なすれ違いこそが
この話の核心だったのだと
曲を通して改めて気づかされました。
実話が
こんなふうに
ラブソングになる日が来るとは
思っていませんでした。
恋にもならなかったのに
曲にはなった。
ミスターばってん
出世しすぎ(笑)
迷惑行為→シティポップ→デュエット主役
キャリアアップえぐっ(苦笑)
人生、何が起こるかわからないものです。
