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危険なAI写真加工アプリを見分ける3つの視点で、家族の顔と情報を守る方法

スマホで顔を若返らせたり、AIで自分をアニメ風に変えてみたりしたこと、一度はありませんか。私自身も、SNSで流れてくる楽しそうな加工写真に、つい心を動かされることがあります。でも、その1枚をアプリに預けた瞬間、あなたの顔が「データ」として、どこか知らない場所に旅立っているとしたらどうでしょう。今日は、公認心理師として情報リテラシーに関わるなかで感じてきた、AI写真加工アプリの本当のリスクについて、できるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。


なぜ「ただの顔加工」がこれほど怖いのか


SNSを開くと、顔を若返らせたり、アニメ風に変換したり、旅行先にいるような背景に変えてくれるアプリの広告が、次々と流れてきます。楽しそうだから、つい試してみたくなる。その気持ちは、私にもよくわかります。

ただ、情報リテラシーというテーマに関わるなかで感じるのは、「AIで写真を加工するアプリ=危険」という単純な話ではないということです。本当に見るべきポイントは、その写真が端末の中だけで処理されているのか、それとも外部のサーバーに送られているのか、そして何日間保存され、AIの学習に使われるのかという「中身」の部分です。

ここを知らないまま「なんとなく怖いから使わない」「なんとなく大丈夫だろうと使う」を繰り返していると、いつか大切な情報を、気づかないうちに手放してしまうことになりかねません。まずは、その仕組みを一緒に見ていきましょう。

顔写真は、実は「取り替えのきかない生体情報」です


顔写真そのものと、顔認証に使われる生体データは、厳密には同じものではありません。しかしAIによる加工の過程では、目の位置や鼻の形、輪郭や骨格といった情報を数値化することがあります。

日本の個人情報保護委員会は、こうした顔の特徴から抽出され、本人を認証できる水準の情報を「個人識別符号」として位置づけています。つまり、私たちが何気なくアップロードした1枚の写真が、加工の過程で「あなたを特定できるデータ」に姿を変えている可能性があるのです。

私はよく、これをパスワードと比較してお伝えしています。パスワードは漏れても変更できますが、顔は変更できません。指紋のように、一生付き合っていく情報だからこそ、少し慎重に扱ってあげてほしいと思うのです。

大手3社を比べてみると、これほど違いがありました


実際に代表的なアプリのプライバシーポリシーを確認すると、同じ「顔加工アプリ」でも中身はかなり違います。

FaceAppは、選んだ写真だけをクラウド上で処理し、編集の完了から24時間から48時間程度で削除するとしています。写真や動画を、加工以外の目的には使わないと明記している点も、安心材料のひとつです。

Prismaは、処理を端末内で行うか、オンラインで行うかを選べる仕組みを持っています。初期設定ではAI学習への利用はオフになっており、オンライン処理を選んだ場合も、写真は原則24時間以内に自動削除されるとのことです。

一方でReminiは、顔の部位の位置や形といった「顔データ」を扱うことを明確に説明しており、機能によっては画像や顔データを1日から20日程度保存するとしています。同意した場合にはAIの学習に使われ、その際は最大1年ほどデータが保持される可能性もあるようです。「AI学習に同意しますか」という確認画面を、なんとなくオンにしてしまう前に、少し立ち止まってみてほしいと思います。

本当に怖いのは、有名アプリより「見せかけの無名アプリ」


ここが、私が一番お伝えしたいポイントです。

Meta社が過去に調査したところ、400以上ものアプリが、Facebookのログイン情報を盗む目的でつくられていたことがわかりました。その多くが「あなたを漫画のキャラクターにします」「写真をきれいに加工します」といった、まさに顔加工アプリの姿をしていたのです。

しかも、その一部は公式のアプリストアにも掲載されていたといいます。典型的な手口は、加工アプリをインストールしたあと、「Facebookでログインしてください」という画面が現れ、そこにIDとパスワードを直接入力させるというものです。

「SNSの広告で見かけたから安心」というのは、残念ながら大きな誤解です。写真加工アプリなのに、なぜFacebookのログイン情報が必要なのか。その違和感を、どうか見逃さないでください。

位置情報や家族の顔まで、一緒に渡してしまうかもしれません


スマートフォンの写真には、撮影日時や機種、時にはGPSの位置情報までが、目に見えないデータとして記録されています。顔写真と自宅周辺の位置情報が、セットで第三者に渡ってしまう可能性もゼロではありません。

さらに見落としがちなのが、自分以外の人の顔です。「家族全員を100歳にしてみた」というような写真をつくるとき、家族の顔もまとめてサーバーに送られていることがあります。本人は利用規約に同意していても、隣で写っているご家族や友人は、同意していません。特にお子さんの顔写真は、より慎重に考えていただきたいところです。

病院や職場では、特に慎重になってほしい理由


これは医療の現場に関わる者として、強くお伝えしたいことです。院内で撮った写真や、名札の映り込んだ集合写真を、「背景を消したいから」という理由だけで一般向けのAIアプリに預けてしまうと、それは第三者のクラウドへ情報を渡す行為になりかねません。

「背景を消すだけだから大丈夫」ではなく、組織で写真を扱うときは、端末内で処理が完結するツールや、組織として契約したAIサービスを選ぶ。この一手間が、思わぬ情報漏えいを防ぐ、いちばん確実な方法だと思います。

AIは「悪用する側」にも使われている、という現実


顔を合成する技術は、本人確認をすり抜けるためにも使われうるとして、アメリカのNIST(米国立標準技術研究所)が2025年に専用の指針を公表しました。FBIも同じ年、SNS上の顔写真を加工して偽の誘拐写真をつくり、身代金を要求するという事件について警告を出しています。

高画質な顔写真が何枚もそろい、そこに声のデータまで加われば、本人になりすました動画や音声をつくることも、以前よりずっと簡単になっています。「自分には関係ない」ではなく、「自分の情報も、材料になりうる」という視点を持っておくことが、これからの時代を生きる私たちにとって、ひとつの備えになるはずです。

危険度を3段階で考えると、迷わず判断できます


たくさんの視点をお伝えしてきましたが、実際にアプリを選ぶときは、次の3段階で考えると判断しやすくなります。

  • 比較的安心: 端末内だけで処理が完結し、選んだ写真だけにアクセスを許可でき、AI学習の設定をオフにでき、位置情報やFacebookログインを求めてこない

  • 注意して利用: クラウド処理を行い、数日から数週間ほど保存し、AI学習がオプトイン(同意すれば利用)になっている。FaceAppやPrisma、Reminiのような大手サービスの多くはここに当てはまります

  • 私なら使わない: 運営会社が不明、プライバシーポリシーが見当たらない、Facebookのパスワードを直接入力させる、「今すぐ試さないと消えます」と急かしてくる、無料をうたいながらクレジットカード登録を求めてくる

「危険なアプリ」と一括りにするより、「何を、どこまで預けるかを自分で選ぶ」という感覚を持つことが、いちばん現実的な備えだと思います。

利用規約でここだけは確認してほしいこと


長い利用規約をすべて読むのは大変ですから、私はいつも、次のような言葉で検索するようにしています。「AI training」「facial data」「retention」「third parties」「delete」「consent」

これらの単語のまわりに書かれている文章だけでも目を通せば、その写真がどこへ行き、いつ消えるのか、AIの学習に使われる可能性があるのかどうかが、ぐっと見えやすくなります。「サービス改善のために利用します」という一文だけで終わっている場合は、少し慎重に構えたほうがよいかもしれません。

私が本当に伝えたいこと


ここまで読んでくださって、「もうAIアプリは怖くて使えない」と感じてしまったとしたら、それは少し違います。私が伝えたいのは、我慢して距離を置くことではなく、知ったうえで選ぶという、ポジティブな一歩です。

人は誰でも、「今だけ」「あなただけ」といった言葉に心を動かされますし、見慣れたロゴやブランドらしい見た目に、つい安心してしまう生き物です。これは心理学的にもよく知られた反応で、あなたの注意力が足りないからではありません。だからこそ、ひと呼吸置いて確認するという小さな習慣が、大きな盾になります。

まとめ

  • 顔写真は、変更のきかない「生体情報」になりうること

  • 大手アプリでも、保存期間やAI学習の扱いはそれぞれ違うこと

  • 本当に危ないのは、有名アプリを装った無名の偽アプリであること

  • 家族や子どもの顔、位置情報まで一緒に渡さないよう気をつけること

  • 「知って選ぶ」という一手間が、いちばんの備えになること

あなたが今日、この記事を最後まで読んでくださったこと自体が、もう大きな一歩です。次にAIアプリを開いたとき、ほんの数秒立ち止まって確認する。それだけで、あなたと、あなたの大切な人たちの顔を、これからもしっかり守っていけると、私は思います。

最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます。今日の記事が、皆さんの明日以降の一歩を考えるきっかけになればうれしく思います。

#AIリテラシー #個人情報保護 #ディープフェイク #フィッシング詐欺 #デジタルリテラシー

参考にした情報源

  • 個人情報保護委員会「個人情報保護法ガイドライン」

  • https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/

  • 個人情報保護委員会「顔特徴データの安全管理」https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq1-q10-8/

  • Meta「写真加工アプリなど400以上の悪質アプリについて」https://about.fb.com/news/2022/10/protecting-people-from-malicious-account-compromise-apps/

  • FaceApp プライバシーポリシー https://www.faceapp.com/en/privacy/

  • Prisma プライバシーポリシー https://prisma-ai.com/privacy

  • Remini プライバシーポリシー https://support.bendingspoons.com/privacy?app=1470373330

  • NIST「顔写真モーフィング検知に関する指針」https://www.nist.gov/publications/considerations-implementing-morph-detection-operations

  • FBI「AI加工写真を利用した誘拐詐欺への警告」https://www.fbi.gov/investigate/cyber/alerts/2025/criminals-using-altered-proof-of-life-media-to-extort-victims-in-virtual-kidnapping-for-ransom-scams


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